第112話: こども環境学会2023年大会(沖縄)に参加して

―じゅっぺちゃん夫妻の学びと沖縄見聞録―



こども環境学会2023年大会(沖縄)の司会者として
那覇に行ってきました。
会場:
アイムユニバースてだこホール(沖縄県浦添市仲間1-9-3)

じゅっぺちゃん夫妻は学会出席と見聞旅行で、
7月6~12日(6泊7日)沖縄におりました。

【じゅっぺちゃんの体験その1 】こども環境学会での司会者 

ポスターセッション2:
7月9日【学び・教育Ⅱ】会場=同ホール ホワイエ
司会者 塩川寿平(大地教育研究所) 
副司会者 薮田弘美(美作大学・美作大学短期大学部)

司会した5編の発表の中で最も私が注目した論文の1つを紹介します。

発表Eー10
  自然教育と体験型ワークショップ(WS)の共同実施
   による子どもの自発的行動への影響について
—東松山市野蒜地区における地域協働WSの実践を通して—

発表者:
◎嵐陽向(早稲田大学・助手)   大石耕太朗(早稲田大学・修士1年)
栗林陽光(早稲田大学・修士1年) 池田理哲(早稲田大学・助手)
宮嶋春風(早稲田大学・助教)   古谷誠章(早稲田大学・教授)

①研究の背景
 「『森が学校』計画産学協同研究会」では、C.W.ニコル氏が掲げる
「自然からの学び」を基とし、「学校を超えた学校・地域の核と
なる学校」のあり方を研究している。東日本大震災後から東松山
市立宮野森小学校に隣接する森(復興の森)で活動してきた。
 震災から11年、移住してきた家族や震災後疎開してきた家族が
戻りつつある中で、新型コロナウイルスの感染拡大が地域の交流に
大きな影響を与えている。こうした背景を含め、子どもが自然に
学び、それを見守る地域を継続してつくり上げていくための試み
として「親子で復興の森のベンチを作ろう! ベンチを組み立て
+ 復興の森散策ワークショップ」を開催した。

②研究の目的
 「復興の森」を中心にワークショップ(以下WSとする)を行う
ことで、地域内自然を学習環境として捉える意識を地域住民に伝播
させることを目的とする。特に、子どもの自然体験に対する要求や、
自発的行動の調査のため実践検証を行った。

③研究の方法
*WS参加者
・参加者:宮野森小学校に通う小学生7名(1-4年生)・保護者5名。
・企画、進行、児童補助:早稲田大学 大学院生・留学生
・炊き出し:野蒜地区主婦の会の皆様
・荷物運搬:地域住民の方は6名

**三つの自然教育・体験プログラム
・「復興の森」および宮野森小学校で使用する木材ベンチの
 組み立て。
・大澤渉氏解説のもと「復興の森」を散策。
・ 散策時に拾った森の中の材料を用いて木工看板製作。

④研究の結果
子どもたちの自発的行動の創発
・看板を製作する際、平面的ではなく立体的に構成する。
・できなかったことに何度も挑戦する(ボルト緊結)。
・木を切る際、他の人とは違う(太い・長い)枝を選ぶ。
・大学院生相手に自分の知識を教える。
・待機時間にみんなで鬼ごっこを始める。

⑤研究の考察
子どもたちの自発的行動を促す要因:
「成功体験・指導体験・異端性」が挙げられる。
他者より難しい体験、知識を人に教える等の体験は子どもの
満足感を高めている。特に「学校で習わない自己選択で創り
上げる」プログラムを多数用意したことが影響していると
考える。・・・・・(以下省略)
                       
《その他のじゅっぺちゃんの体験》
【体験その2】基地拡張「辺野古」浦添沖49ヘクタールの視察
【体験その3 】沖縄・琉球王朝の歴史博物館見学 
【体験その4 】山と水と森の世界自然遺産やんばるの森視察
【体験その5】2019年の火災からの復興工事中の「首里城」見学
 ・・・・・以上。


さて、
学ぶことの多い「こども環境学会2023沖縄大会」でした。
その中でも じゅっぺちゃんが 一番考えさせられた事は、

【体験その2 】の目の前で見た辺野古の海の埋め立てです。
かけがえのない美しい海が米軍の滑走路になる。
日本にある米軍基地の70%は沖縄に集中的にあること。
そして今、
ロシアのウクライナ侵略。
中国の武力による台湾奪還作戦の予告。
北朝鮮の核開発と日本を脅かすロケット発射実験。
等々の状況の中で、
沖縄の米軍基地の強化。
自衛隊の沖縄諸島への兵器配備強化。
等々が現実に進められています。

私は、胸を引きちぎられる痛さを感じながら。
戦争は二度としないと言う平和憲法を堅持し。
現実から目をそらさず! どうしたらよいか?
考え続けて「責任をとれる日本国民になること」を誓いました。

また【体験その4 】の沖縄北部やんばる世界自然遺産の
  『山と水と森』に圧倒されました。
豊かな山と水と森が支えてきた村人の生活。
豊かな山と水と森が支えてきた植物の種類の豊富さ。
豊かな山と水と森が支えてきた動物の種類の豊富さ。
豊かな山と水と森が支えてきた昆虫の種類の豊富さ等々。
沖縄県国頭(クニガミ)郡の大自然にたたずんで実感したこと。
自然の大切さを身に染みて痛感しました。

結論:驚くばかりの壮大な大地保育環境でした。

長くなりますのでこの辺で一旦筆を止めます。
塩川寿平

 

こども環境学会2023年大会(沖縄)に参加して

【写真1】
こども環境学会2023年大会の会場
「アイムユニバースてだこホール」
 沖縄県浦添市仲間1−9−3

【写真2】
シンポジウム「地域に生きるこども」

 

 

写真2−1

写真2−1の左側
コーディネーター清水肇(琉球大学工学部建築学教授・工学博士)
京都大学大学院を経て1992年より琉球大学。
沖縄県内で地域の生活空間史と改変まちづくり、
居場所と生活空間のあり方などをテーマに研究活動を重ねる。

写真2−1の右側
コーディネーター木下勇(大妻女子大学社会情報学部教授・千葉大学名誉教授・工学
博士)
東京工業大学で建築学を学び、 1984年に博士号学位取得。
世田谷区にて冒険遊び場づくりの支援とともに3世代遊び場マップ作りや
こども参画のまちづくりを進める。


写真2−2


パネリスト1 汐見稔幸(東京大学名誉教授・日本保育学会前会長)
東京大学教育学部卒、同大学博士課程満期退学。
専門は教育人間学、保育学。教育を新しいコミュニティーづくりと考えて、
まちづくりの諸実践に関心を持つ。保育が看護や社会福祉等と同等のレベル
の専門職として認知されるようになることを願って活動中。


写真2−3

 


写真2−3の左側
パネリスト2 山城康代(一般社団法人りあん代表理事・みどり町児童センター館長
            ・児童健全育成指導士・公認心理士)
平成14年に子育て支援サークルりんく・いしかわを立ち上げ子ども達の居場所つく
り。
子育て支援アドバイザーとして石川市(現うるま市)で勤務。うるま市内児童館と
併設学童クラブ3カ所・うるま市の貧困対策事業子どもの第3の居場所を運営。

 

 

写真2−3の右側
パネリスト3 盛口満(沖縄大学人文学部こども文化学科教授)
1985年千葉大学生物学科卒。私立自由の森学園中・高等学校の教員を経て、
2000年に沖縄に移住。 NPO珊瑚舎スコーレの活動に関わる。
2019〜22年沖縄大学学長。主な著書『めんそーれ!化学(岩波ジュニア新書)』
『ものが語る教室(岩波書店)』など。

【写真3】
ポスター発表会場の司会者塩川寿平を囲んで

【写真4】
エクスカーション
「沖縄島北部のやんばる世界自然遺産研修のみなさん」