第118話(その1):《大地保育》と《ハート》の画家を訪ねて
     -画家川崎満孝〜心の旅〜北アルプス展望美術館-

 50年の親交がある友人の画家川崎満孝さん(77歳)がこのたび、
北アルプス展望美術館(池田町立美術館=長野県北安曇野郡池田町)で、
総合芸術展〜心の旅〜の個展をひらくというのでじゅっぺちゃん(85歳)は、
奥さんと12月5日〜6日の2日間、個展を見に行ってきました。

◎ 川崎さんの総合芸術展のパンフレットより
 【川崎さんは求道の芸術家として、東南アジア・インド・ネパールなどの
中近東方面23ケ国を放浪した後、池田町の雪深い山奥に移住し、
77歳になる今日まで制作を続けています。
 絵画・板画・陶芸などの作品は、色鮮やかで独特な雰囲気をかもしだしており、
旅をしてきた国々の影響が強く感じられ、人々の心を惹きつけます。
 音楽は本人が作詞作曲した楽曲を録音し、その曲に合わせて歌い踊ります。
チンドン屋スタイルで行われるとてもユニークなパフォーマンスです。
 人生を賭して芸術活動を続ける川崎満孝のこれまでの集大成をご覧ください。】
 
【写真1】をご覧ください。
 川崎さんが『大地保育』を絵に描いてくれました。



この絵のモデルとなったのは信州の安曇野の大地の風景です。
汲みつくすことのできない大自然の恵み「大地保育」が象徴的に描かれています。
それぞれ異なったきれいな花々は、
一人一人の子どもたちの個性と能力と可能性が美しく描かれています。
どの子もみんな素晴らしいという大地保育の哲学は「どの花見ても綺麗だな!」と。
たくさんの子どもたちの異なる人格が、たくさんの色とりどりの花々で描かれていま
す。
2つの大きなハートは、お父さん お母さん 保育士さん 大人たちの温かい見守り

《2つの愛のハート》で象徴的に描かれています。
じゅっぺ先生はこの「大地保育の絵」の深い意味に感動! 
いつまでもこの絵の前から立ち去ることができませんでした。

大地保育 [Daichi Hoiku, nature child care]とは,

太陽、水、どろんこ、土、草や花や木々、小動物などの自然環境を最重視し、
大地を土台に展開される子ども主体の自由保育方式の保育の総称です。
大地保育の創始者は塩川豊子(1915〜1999)で1953(昭和28)年に開園した
野中保育園(現:野中こども園)の実践を理論化して、

『汲みつくすことのできない宝庫である大自然に挑む中で、
           子どもたちが育てられていく保育』と定義しました。

乳幼児の発達には、自由な体験学習が必要であると考え、そこで、
そのための体験の場として保育環境と言う「大地を象徴的に主張したもの」です。
 大地と言う大自然に向かって子どもたちが自発的に挑戦することを通して、
自ら個性と能力を引き出していく保育で、
大地教育研究所所長の塩川寿平(1938〜)の著書、フレーベル館出版の
「どろんこ保育」「名のない遊び」「大地保育環境論(こども環境学会論文賞受
賞)」は有名です。
 また、大地保育夏期セミナー(第1回1982年〜第22回2003年・完了)
「自由保育の理論と実践」を野中保育園を主会場に、大地保育の公開セミナーを開催
し、
全国の保育者と共に大地保育を学び合いました。

【写真2】をご覧ください。



 今から70年前、 昭和28年(1953)に野中保育園が誕生したころの日本の農村風景
です。
じゅっぺ先生の家は農家でこの絵と全く同じでした。
この絵を見てじゅっぺ先生はビックリしました。
思い出します。じゅっぺ先生が中学生の14歳の時に自分の家が保育園になったので
す。
野中保育園の第1号園舎はこの絵にあるのと同じ米蔵でした。
第2号園舎はじゅっぺ先生たちが生活していた母屋で、この同じです。
その時代の日本では1年に200万人〜250万人の赤ちゃんが生まれていました。
(ちなみに、2023年の日本では1年間に約70万人しか赤ちゃんが生まれません。)
野中保育園の園児は40名からスタートして、ピーク時には280名の園児さんが在園し
ました。
だから園舎が足りなくて第3号園舎は納屋。第4号園舎は牛舎を改造して間に合わせま
した。
じゅっぺ先生のお家は江戸時代から続く庄屋さんで広い屋敷・田んぼ・柿の果樹園が
ありました。
子育てをする保育環境論としてはこの絵と同じで最高の環境でした。
やがて1969年には社会福祉法人認可となり、果樹園の柿の果樹園から名前をいただい
て、
「社会福祉法人 柿ノ木会 野中保育園」となりました。
川崎さんのこの絵を見ながら大地保育の原点とその歴史に涙が止まりませんでした。

【写真3・4】をご覧ください。
 北アルプス展望美術館(長野県安曇野郡池田町)の展覧会場です。
川崎さんは《ハートの画家》とも呼ばれています。
川崎さんとじゅっぺ先生と奥さんと《ハートの絵》の前で記念写真を撮りました。


 

 



【写真5・6・7・8】をご覧ください。
 じゅっぺ先生が初代園長(2006開園〜2012=7年間)となった
社会福祉法人 柿ノ木会 大中里こども園には川崎さんの許可を得て、
大中里こども園のシンボルマーク《ハートの絵》があります。
園舎の正面玄関にも《ハートの絵》があります。
ハートホール(遊戯室・多目的ホール)にも《ハートの絵》があります。

《 ハートホールの命名の由来》
保育は愛である=大中里こども園は愛のある保育するところです。
大地保育の創始者塩川豊子初代理事長は愛情のいっぱいある保育者でした。
子どもを愛し。大地を愛し。自然を愛し。平和を愛した人です。
ハートホールの名前は塩川豊子さんの大地保育から命名しました。

命名者:大中里こども園 創立初代園長と2代目園長夫妻 
     塩川寿平 塩川恵美子の命名です。
   -ホールお披露目 2023年2月21日 吉日-