第119話:輝け! 大地保育
ー新春随想ー(岳南朝日新聞= 2024年1月3日掲載)

◎コロナに負けるな!
 ようやく日本中のあちこちの保育園で、こども園で、幼稚園で、本来の元気な運動
会が戻ってきました。
今年はいっそう元気を取り戻そう。
子どもの元気な大声と笑顔が戻ってくると大人も社会も元気になります。
新型コロナウィルス時代の過去4年間、みんなよくコロナ予防と取り組みました。
コロナなんかに負けないぞ!

◎大自然に挑む
 子どもが元気になる秘訣は自然の中で思い切り遊ぶことです。
遊びの中に学びが山ほどあります。
だから頭も良くなるし、体も丈夫になります。
私の母であり、同時に私の幼児教育の師匠塩川豊子(1915〜1999)は、
大地保育の哲学「汲みつくすことのできない宝庫である大自然に挑む中で、
子どもたちが育てられていく保育」と定義しました。

◎ AIの前に群れて遊ぼう
 今年こそは、コロナの終焉に伴って友だち作りに取り組もう。
何よりも大切な事は群れて遊ぶ友だち作りです。
子どもにとってコロナ時代の最大の悲劇は集団で遊べなかったことです。
コロナのために人間関係はズタズタになってしまった。
AIによる教育の前に「心と心をぶつけ合って」「体と体をぶつけ合って」
友だち作りから始めよう。《おしくらまんじゅう》と言う遊びの精神が大切なんだ
よ。
だって人生で一番大切なのは友だちなんだから。

◎ AIの前に体験学習を取り戻そう
 幼児教育は体験学習なくして不可能です。
コロナ時代には禁止されてしまった遊びを取り戻そう。それは大人たちの責任です。
どろんこ遊びを体験しよう。犬や猫の小動物と触れ合う体験を取り戻そう。
大人と一緒に花壇を作って花を育てよう。
きゅうりやトマトなどの野菜作りの体験をしよう。

◎年の初めに教育論を
 自然から学ぶ大地保育の哲学を全国に広めようと、
私は52年間の長きにわたって大学等で教師をしてきました。
幼児教育にとって何が大切か考え続けてきました。
85歳になった現在も全国で活躍する教え子と保育環境論を論じ合っています。
幼稚園教育要領には「環境による教育」の大切さが説かれています。
大人たちの仕事は「豊かな保育環境」を準備すること。
子どもたちは自然を主とした保育環境に自ら挑戦し、自ら個性と能力を引き出してい
く。
子どもが主体的に育つ教育が、子どもたちの無限の個性と能力をは引き出していくの
です。

◎今年こそ本気で少子化対策を
 この問題は全く大人の責任です。この問題は全く政治の問題です。
子どもは国の宝です。昨年は約70万人しか子どもが生まれませんでした。
このまま行けば日本の国は必ず滅びます。
子どもが大好きで、子どもを生みたい人が、子どもを育てられる社会をつくりましょ
う。
若者が結婚できる経済環境と、生まれた子どもが夢を育てられる日本の国のを作りま
しょう。
教育費がかかりすぎると言われています。
教育の無償化を進める責任は大人にあります。頑張りましょう。

 

 

【写真1】をご覧ください。

 



どろんこ大好きの大中里こども園(静岡県富士宮市大中里)の
じゅっぺ園長(2006年創立 初代園長塩川寿平)は、
縦3メートル×横3メートル×深さ50センチの「どろ場(砂場を真似した造語)」を作
りました。
5月になるとじゅっぺ園長と保育士さんと一緒に「どろ場」を耕します。
農民出身のじゅっぺ園長さんの得意な保育する姿で、お気に入りのファッションで
す。

【写真2・3・4・5・6】をご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


保育環境論〜地の神〜に育てられる姿です。
「どろんこ」と「こども達の肉体」が1つになって、そこに壁(養老猛哲学)はあり
ません。
全身全霊 五感を 通して大地=自然を味わい学んでいきます。
つる つる ぬる ぬる べちゃ べちゃの体験学習はAIでは学べません。
園児たちは『チョコレート工場!』とか『ソフトクリーム!』と喜んでいます。
子どもたちの大地=自然との出会いの姿です。
大人の先入観は、黒い・汚い・汚れる・みっともない・大腸菌がいるです。
もしも子どもが大人と同じように感じたならば決してどろんこに入らないでしょう
ね!

【写真7・8・9】をご覧ください。

 

 

 


長靴を履いて、スコップを持って、バンザイするじゅっぺ園長さん。
大地を愛する保育者はこうこなくっちゃと、農作業をするじゅっぺちゃんの得意の
ポーズです。
いつもニコニコじゅっぺ園長は、子どもたちと一緒にお花を植えます。
いつもサツマイモ掘りを提供してくださる山田さんファミリーご夫妻の畑で、
サツマイモ掘りと格闘する。『オオキイ!』と収穫の喜びを体験する。
大人たちが保育環境を用意してくださるわけですが、何事にも変えられない尊い体験
学習です。
子どもたちのこの笑顔をご覧ください。

【写真10 ・11・ 12】をご覧ください。

 

 

 

 

 


動物と共に暮らす生活は、過去のものにしてはならない保育です。
犬や猫や山羊やブタさんと共にある保育を取り戻さなくてはいけません。
かつて日本中の幼稚園や保育園に山羊さんがいました。
この写真の「動物と一緒に暮らす保育」はじゅっぺちゃん園長が経験してきた保育で
す。
タブレットやAIで保育はできないと言う証拠の大地保育の写真です。
高名な養老先生が『壁を作っては良くない』と示唆してくれました。
犬と子どもと壁がない。
ブタと子どもと壁がない。
ヤギと子どもと壁がない。
『輝け!大地保育』は壁を作らない保育哲学です。