赤城大空原作の人気ライトノベルを実写映画化した『二度めの夏、二度と会えない君』は、不治の病を患う転校生・森山燐(吉田円佳)と彼女に恋心を抱く男子高校生・篠原智の関係を描いた青春純愛ストーリー。

 

本作で、燐の死の間際に伝えた言葉を後悔し、葛藤しながらも「2度めの夏」を送る主人公・智を演じるのが俳優の村上虹郎。映画『2つ目の窓』『武曲 MUKOKU』などで圧倒的な存在感を見せつけ、注目を集めている村上に、本作の魅力や、役者として学んだこと、そして昨年放送されたTBS日曜劇場『仰げば尊し』で共演した同世代の役者たちとの交流について話を聞いてきた。

 

 

■女の子には「振り回されたいですね」

 

ーー『二度めの夏、二度と会えない君』は、学生生活でのタイムリープ、友情に恋愛に音楽に…と青春が詰まった作品ですが、オファーを受けたときはいかがでしたか?

 

村上:メインが文化祭ということもあって、本当にありとあらゆる青春が詰まっているお話だなと思いました。学生ものの作品はある程度若いうちにしかできないと思いますし、純粋に嬉しかったです。

 

 

ーー村上さんが演じられた篠原智は、常に悩みを抱えている役柄でしたね。

 

村上:智は、ナレーションとモノローグがとても多いんです。なので、現場ではセリフをたくさん話したり、動いたりということよりも、”表情を撮られているだけ”という瞬間のほうが多くて。その場では、正解が分からなかったので、「とにかく監督の指示通りにやってみるしかない」という気持ちで演じていました。

 

(C)赤城大空・小学館/ 『二度めの夏、二度と会えない君』パートナーズ

 

ーー私も映画を拝見させていただいたのですが、智の心情を描くシーンなどは、村上さんの寄りの画が多かった気がします。

 

村上:ほんとですよね。アップが多いのかなと、現場でも薄々感じてはいたのですが、まさかあんなに使われているとは(笑)。僕は、みなさんが僕の顔のアップに、2時間も耐えられるかどうか心配です…。

 

 

ーーとても素敵でしたよ(笑)!そういった智の葛藤する姿を含めて、他のタイムリープものの作品と比べても、より繊細な印象を受けました。

 

村上:5年前、10年前とかではなく、半年前というのが絶妙なタイムリープですよね。半年前だから本人もけっこういろいろなことを覚えているけど、その中でもちょっとした言葉やリアクションですら、その世界が変わってしまう。そんな怖さのような緻密で繊細な部分が描かれているのかなって思います。

 

 

ーー智に共感できる部分はありましたか?

 

村上:智のような一面は自分にもあるなと思います。思ったことをうまく伝えられなかったり、言葉を間違えてしまったり。そういった不器用な感じは共感できました。

 

 

ーー村上さんも、悩んでいることがあったら、智のように1人で抱え込むタイプですか?

 

村上:人に相談することはあまりないですね。

 

 

ーー悩みごとがあっても、自分で解決したり?

 

村上:それか、やってみて間違いを犯しても別にいいかなという。さすがに、大きな間違えはしてはいけないと思いますが、基本的には行動してみるほうです。

 


 

ーーなるほど。智はバンドのヴォーカルであり、恋の相手でもある森山燐(吉田円佳)に振り回されっぱなしですが、女の子に振り回されるという部分はいかがでしょう?

 

村上:振り回されたいですね。僕、すごくおしゃべりなので、女の子のほうが喋ってくれる関係がいいんです。そのほうが僕のおしゃべりが沈みますし(笑)。

 

(C)赤城大空・小学館/ 『二度めの夏、二度と会えない君』パートナーズ

 

ーー元気で明るい女性が好みなのですね。

 

村上:あとは、自分を持っている女性は魅力的だなと思います。好きなものがはっきりしていたり。それが僕と合わなくてもいいし、むしろ違うほうが面白いとも思います。

 

 

 

■舞台を経験して学んだ「芝居をする」意味

 

 

ーー村上さんのお気に入りのシーンを教えてください。

 

村上:やっぱり演奏シーンです。他のシーンは悩んでいることが多くて、演じていても正解が分からなかったのですが、演奏シーンは正解があるというか。曲が弾けていて、みんなで気持ちよくなれていればそれが正解だと思うので。

 

 

ーー特に文化祭での演奏シーンなんかは、THE青春!という感じがして、感動してしまいました。あれは、実際にキャストのみなさんが演奏されているのでしょうか?

 

村上:本当に弾いていますし、叩いていますし、歌っています。山ちゃん(山田裕貴)や、金城さん(金城茉奈)はほぼ初めてということで、3~4ヶ月前から練習し始めていたそうです。僕は、ギターを弾いたことはあったのですが、それでも5曲もあったのでこんがらがりました。

 

(C)赤城大空・小学館/ 『二度めの夏、二度と会えない君』パートナーズ

 

ーーそうだったのですね!本当に素晴らしい演奏でした。村上さんはギター経験者ということですが、バンドは初めてですか?

 

村上:バンドは初めてでした。すごく楽しかったです。しかも、女子と男子が混ざるようなユニットというのが、またいいですよね。いい意味で学生っぽくて。

 

 

ーー燐を演じられた吉田円佳さんの歌声を間近で聞いてみて、いかがでしたか?

 

村上:すごく伝わりやすい、素直な歌い方をするなと感じました。それはお芝居にも通ずるものがあって。円佳さんは、そういった素直な部分も含めてもともと燐らしさを持っている方なんです。本人は、緊張しているし、燐ほど明るい人間ではないと言っていましたが、僕からすればだいぶ明るい方だなって思います(笑)。

 

 

ーー演奏シーンはもちろんですが、個人的には、屋上での智と燐のシーンもとても印象的でした。

 

村上:あのシーンは、実は撮影2日目に撮ったんです。

 

 

ーー確か最後のほうのシーンだった気がするのですが…。

 

村上:そうです、クライマックスにかけてのシーンなのですが、2日目に撮りました。大詰めのシーンや、セリフが長い重要なシーンを先に撮ることもあるんです。

 

(C)赤城大空・小学館/ 『二度めの夏、二度と会えない君』パートナーズ

 

ーーそれは、気持ちを作るのが難しそうです。

 

村上:簡単ではないですね(笑)。でも、舞台を経験してからは少し慣れてきたような気がします。この撮影のときは、まだ1回しか舞台を経験していなかったのですが、そのあと2回くらいやらせていただいて。

 

 

ーー舞台を経験して、どのように変わったのでしょう?

 

村上:舞台だと、稽古で「ここのシーンやるよ」と言われてやるのが当たり前なんです。だから、その場で感情を作る瞬発力というのが、前よりもついてきた気がします。

 

 

ーーでは、屋上のシーンも瞬発力を活かして?

 

村上:そうですね。最近は、先に大事なシーンをやるのもいいなと思えるようになりました。自分が演じる役がどんな役かも掴めますし、あとあと大変になると精神的にも辛くなりますし(笑)。

 

 

■新田真剣佑とは「次の作品で会えるまで」

 

 

ーー昨年、話題になったドラマ『仰げば尊し』(TBS)からもう1年が経ちましたね。

 

村上:ちょうどこの間、匠海(北村匠海)と真剣佑(新田真剣佑)が話している記事をSNSで見ました(笑)。

 

 

ーーみなさんで集まることは?

 

村上:みんな忙しいのでなかなか会うことはできないんです。でも5人組は仲が良いです。匠海とはもともと仲が良いし、がっくん(佐野岳)の舞台を観に行ったりもしたし、太賀くんとは奈良に旅行も行きました。

 

 

ーー奈良では観光を?

 

村上:奈良の平城宮跡で維新派という劇団がやられている舞台を観に行きました。あとは、ゲストハウスを借りて泊まったり、銭湯に行ったり…。

 

 

ーー充実されていますね。ちなみに、新田真剣佑さんとは…?

 

村上:真剣佑とは会わないですね。前に他の取材のときに話したんです、次に会うときは違う作品で会いたいねって。全然仲が悪いとかではないのですが、真剣佑とは絶妙な距離感をとっていて(笑)。それはそれで面白いし、そういう関係も僕はすごく好きなんです。とにかく次の作品で会えるまでは、死ぬなよっていう。

 

 

ーーお二人が共演される日を楽しみにしています。最後に、10年後はどんな役者さんになっていたいかを教えてください。

 

村上:「あの人、面白いな」と思われるような人でいたいです。人として面白ければ、芝居も面白いと思っていて。最近、ジム・ジャームッシュ監督の『ダウン・バイ・ロー』(1986年)という作品を観たのですが、主演のトム・ウェイツさんはもともとミュージシャンの方で俳優ではないんです。でも、お芝居がうまいかどうかってことよりも、ただそこにいるだけで面白い。沈黙ですら面白いんです。それは、その人自身の魅力なんだろうなって。だから、僕もそういう人間になりたいなと思います。

 

 

Photography=Mayuko Yamaguchi
Interview=Ameba

 

 

映画『二度めの夏、二度と会えない君』は、9月1日(金)より新宿バルト9他全国ロードショー

 

 

 

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