ドラマ『リーガル・ハイ』シリーズ、『デート〜恋とはどんなものかしら〜』(2015年)、映画『エイプリルフールズ』(2015年)などの古沢良太が脚本を手掛けた映画『ミックス。』は、失恋して無職となった元天才卓球少女・富田多満子(新垣結衣)が、偶然出会った落ちぶれた元プロボクサー・萩原久(瑛太)と卓球の男女混合(ミックス)ダブルスを組み、人生に小さな"奇跡"を起こす新感覚・ロマンティックコメディ。

 

本作でW主演を務めたのが、意外にも初共演だという新垣結衣と瑛太。絶妙な空気感で、息ぴったりのやりとりを繰り広げる二人に、お互いの印象や映画の魅力、撮影現場でのエピソードなどを語ってもらった。

 

 

■「ハギは全てを受け止めてくれる優しい人」(新垣)

 

ーー失恋して無職の元天才卓球少女の多満子と、落ちぶれた元プロボクサーの萩原。お二人はそれぞれのキャラクターをどのように捉えて演じられましたか?

 

新垣:多満子はすごく不器用な女の子。普通に生きようとしているのに、ヤマンバになってしまったり、失恋して大暴れしたり、その時々の自分の気持ちに素直に振り回されてしまう。常に0か100かというタイプなんです(笑)。でも不器用ながらも一生懸命だから、応援したくなるというか…そういうところが可愛らしいなと思って演じていました。

 

瑛太:僕が演じた萩原は元プロボクサーということで、精神面の強さも持っているし、なにかを悟っている人間な気がしていて。トラブルが起きたときはこうしなきゃいけない、という答えを感覚的に知っているような男なんです。でもどこか不器用なところもあって、そこは多満子と似ているのかもしれないですね。

 

 

ーーそんな多満子と萩原は卓球のミックスペアを組むことになり徐々に惹かれ合っていくわけですが、お互いのキャラクターの魅力はどういうところにあると思いますか?

 

新垣:ハギはすごく優しい男性だと思います。多満子を通してハギを見ているというのもあるかもしれないですけど、不器用な中にある言動や触れ方がとても優しい。

 

 

ーー多満子は良い意味でも、悪い意味でもハギの前では素直でいますよね。

 

新垣:それもハギの優しさがあるからだと思うんです。甘えられる、全てを受け止めてくれるハギだからこそ、素直な多満子でいられるのかなって。

 

 

ーー一方、多満子の魅力はいかがでしょう?

 

瑛太:電車で偶然出会って、卓球場で再会して、そこからお互いの抱えているものを解消するためにミックスペアを組んで…と、これだけ偶然が重なるってことは2人は運命の相手だったんだろうなと感じました。まぁ何と言っても、多満子の一番の魅力はガッキーが演じたというところです(笑)。

 

新垣:ありがとうございます(笑)。

 

 

■「ガッキーを質問攻めにしました(笑)」(瑛太)

 

(C)2017『ミックス。』製作委員会

 

ーーお二人は、意外にも今回が初共演ということですが、お互いの印象はいかがでしたか?

 

新垣:初めてお会いしたのが撮影に入る前の卓球の練習のときだったんですけど、二人で横に並んでミックスっぽく打ち合ってみたら、瑛太さんが「楽しい!」「これは、いける気がする!」と大きな声で言ってくださって。すごく嬉しかったのを覚えています。撮影に入ってからも作品への思いをたくさんお話してくださる姿を見て、お芝居にたいしてとても熱い方なんだなと思いました。

 

瑛太:僕は(新垣と)いつか共演したいと思っていたので、今回のオファーがきたときも、すぐに出演を決めました。実際に会ってみたガッキーは自然体で嘘のない方。無理に気を遣うこともないですし、いつもナチュラルでいてくれるんです。

 

 

ーーいまのお二人の様子を見ていても、自然体な感じが伝わってきます。どのようにして、距離を縮めていったのでしょう?

 

瑛太:この作品には、スポ根、コメディ、恋愛と様々な要素がありますが、その根底には多満子と萩原の信頼関係があって、二人の距離感というのがとても重要になってくる。そこに嘘はつきたくないと思って、心の底からガッキーのことを信頼しきろうとチャンスを見つけては話しかけにいきました。質問攻めにしてやろうと(笑)。

 

新垣:瑛太さんは自ら発信もしてくれますし、こちらが発信するものもどんなに小さいことでも受け取ろうとしてくれるんです。瑛太さんのおかげでミックスのように同じ方向を向いて、一緒に前に進んでいきたいなという気持ちになりました。

 

 

ーーお二人のシーンでは、アドリブなども多かったと伺ったのですが。

 

瑛太:アドリブというか衝動みたいなものですね。多満子とハギがどういう距離感でいるか、どういう感情でいるか…ということがセリフではないところでも伝わったらいいなと思って、僕なりにちょっとした触れ方などで表現していました。

 

 

ーーそれは、その場のライブ感で?

 

瑛太:本番でこういうことをしたら、ガッキーはどういう顔をするかな?とか(笑)。

 

 

ーー新垣さんはそれにたいしてスムーズに答えられましたか?

 

新垣:自分なりには……(笑)。多満子として、ちゃんと受け止めたつもりです。

 

(C)2017『ミックス。』製作委員会

 

ーーそんな多満子と萩原の距離感というのが各所でみえる作品だったと思うのですが、個人的には萩原が働く建設現場の上司・石原(トレンディエンジェル・斎藤)たちとホースで水を掛け合うシーンがとても好きでした。

 

瑛太:あのシーンは撮っているときもすごく楽しかったですね。みんなで水浸しになって…あんなこと、普段はやらないもんね。

 

新垣:やらないですし、あんなに罵らないです(笑)。

 

瑛太:斎藤さんの頭を狙うのは、なかなかシュールだったよね(笑)。

 

新垣:他の建設現場のおじさまたちも、すごく楽しそうに自分から水にあたりにくるんです(笑)。出来上がった作品で観てもすごく素敵な絵で、良いシーンが撮れたなぁと思いました。

 

 

■気持ちで乗り越えたハードな卓球シーン

 

ーー本作のテーマである男女混合ダブルス「ミックス」。劇中ではハードな卓球シーンもかなり登場しますが、どのくらい練習されたのですか?

 

瑛太:撮影の1ヶ月ほど前からです。ハギは大胆な動きというか大きくみせる卓球をするタイプだったので、そこを心がけながら先生にいろいろと教わりました。

 

(C)2017『ミックス。』製作委員会

 

ーー瑛太さんは、実際は右利きにもかかわらずサウスポーの役でしたね。

 

瑛太:はい、プレッシャーでした。練習が始まるまで、設定を変えてもらえないかな…と思っていたくらい(笑)。でも、いざ左手で打ってみたら意外と楽しい。癖がない真っさらな状態だったので、逆に基礎が入り込みやすかったんですよね。

 

 

ーーなるほど。フォームなどもかなりこだわっていたように見えたのですが、意識しながら練習されていたのですか?

 

新垣:実際の動きと映像としてどのように映るかというのは違う部分もあったので、卓球監修の陽陽さん(川口陽陽)にレンズを通してよりかっこよく見える動きを細かく指導していただきました。

 

 

ーー見え方も気にしながら卓球をするというのは、とても難易度が高そうです。

 

新垣:そうですね。でも、最初のほうはリハーサルをして、もうちょっとこうしてほしいと直されることも多かったんですけど、撮影が進むにつれてスッと体に馴染んでいくのが分かってきて。そこからはもう気持ちで打っていましたね。とくに後半の全国大会らへんは。いけるとこまでいけたな、という感じです(笑)。

 

 

ーーちなみに本作では、お二人以外にも数多くのミックスペアが登場されますが、新垣さんは印象に残ったペアはいらっしゃいますか?

 

新垣:エスメラルダ(生瀬勝久)かなぁ(笑)。印象に残りますよね。生瀬さんとは何度かご一緒させていただいているんですけど、エスメラルダの格好を見た瞬間、「本当にそれでいいんですか?」って言っちゃいました(笑)。

 

一同:(笑)

 

新垣:「名前の表記がなかったら、誰か分からないかもしれないんですよ!」とも言ったんですけど、すごく楽しそうに撮影されていたのでさすがだなと(笑)。

 

 

ーー本当に、生瀬さんの変貌ぶりには驚きました。

 

新垣:あの一瞬で、あれだけのインパクトを与えられるっていうのがすごいですよね(笑)。そのおかげで私の中で、生瀬さんのエスメラルダに負けない勢いで食らいついていくぞ!というちょっとした戦いが始まって。短い時間だったんですけど、撮影中はすごく鍛えられました。

 

 

■次に共演するなら「二人で放浪する映画」!?

 

ーー本作では、多満子と萩原がそれぞれ人生のどん底の状態から物語が始まりますが、お二人は嫌なことがあったときはどのように乗り越えますか?

 

新垣:最近はそのことについて、どっぷりと考えるようにしています。音楽を聴きながら、考えて考えて…眠くなって寝てしまう(笑)。

 

 

ーー(笑)。寝ると忘れるタイプですか?

 

新垣:忘れるというか、切り替えられるタイプではあります。お仕事をしているときは凹んでいる暇はないので、あとは時間が解決してくれるのを待ちますね。

 

瑛太:僕の場合は、けっこう嫌なことが纏わりついてくるんです。でも忘れられないくらい考えてしまうってことは、それだけ心が動いたってことでもあるんですよね。だから、まずはきちんと解決して、プラスにしよう!とか変な意識を持たずに溶かしていくというか。

 

 

ーー考えつつも、あまり意識しすぎずに。

 

瑛太:それでもダメなときは、体を動かして汗を流します。やっぱり汗をかくことでスッキリするので。ランニングをしたり、腕立てを1回だけしてみたり…。

 

 

ーー1回だけ…(笑)?

 

瑛太:1回だけ(笑)。僕、すぐに筋肉マンみたいになっちゃうんです。それに、なにかを続けるときに無理をしないというのが大事だなと思っていて。だから腹筋も2回とか(笑)。

 

新垣:(笑)

 

瑛太:続ける秘訣というのはそういうところですね(笑)。

 

 

ーー(笑)。最後に、最高のパートナーとして共演したお二人ですが、次に再共演するとしたらどんな作品がいいですか?

 

瑛太:放浪の旅の映画。2人で日本全国を放浪するっていう。

 

新垣:ほとんど会話もなく、ただただ放浪する映画ね。

 

瑛太:喋らないし、関係性も分からないっていう作品ができたらおもしろそうだよね。

 

新垣:観ている方の想像に、すべてお任せします(笑)。

 

Photography=Ryo Kameda
Interview=Ameba

 

 

映画『ミックス。』は、10月21日(土)より全国ロードショー。

 

(C)2017『ミックス。』製作委員会

 

■『ミックス。』公式サイト