こんばんは。櫻井です。


今日は私達が無意識に囚われている観念の事について、
会話調で書いてみましたニコニコ

お付き合いいただけたら嬉しいです。


『花と”私”』

Aはどうしても踏ん切りがつかない事を抱えていた。
ついでに金銭的に余裕が無く、自分に踏ん切りをつけて勇気を持って行動をしないといけない状況に見える。


「あー。どうしても勇気が出ない。勇気を出せばいいだけだと分かっているのに、どうしても行動する勇気が出ない。」


Aは、今やりたいと思っている事がありつつも、どうしても行動に起こせない案件を抱えていた。


「やりたいと思っているのに、やれないのは自分に意気地がないせいか?
それともヒヨっている自分に自信がないと思っているのか?
他の人はできているのにどうして自分はそれだけの勇気が出せないんだ?」


頭で考えてもグルグルと思考があちらこちらに右往左往するだけで、何の解決もしていない。


Aが途方に暮れながら、道端に咲いている野花が目に入った。


その花はAには、とても綺麗に映り、脱力しながらも完全に咲き誇っているかのように見える、その花がとても羨ましく見えた。


「おい。そこに咲いている野花さん。どうして君はそんなに自然に咲きながらも完全に全てを成している様に見えるんだい?
どうして色んな土地がある中で、”そんな所”に根を生やし枯れていく選択をしたんだい?」


すると驚く事に、花が答えた。


「特に私は何もしていないですよ。」

「何もしていないことはないだろう?何か意図してそこに完全に咲くという行為をしたはずだ。」


「私は何もしてないですよ。私が種子だった頃から何かをしようとしたことはありません。」


「そんなはずはない!行動しないと、この世界は何も手に入らない”仕組み”になっている。
自分の手で自分の世界を切り拓かないと、自分の世界は思い通りに動かない!
勝手に何かが成されるなんてことは、この世界ではあり得ない。」


「?」

野花は、心底不思議そうにAを見た。


「AさんAさん!あなたが言うように、本当に自分が自分の世界をコントロールできるとしたら、
私とあなたが会う事もコントロールして出会ったのですか?」


「そんな事はない!それは"たまたま"私の視界に君が入っただけのことだ。そして”たまたま”私が君に声を掛けたくなったんだ。
私が言っている事はそんな”たまたま”起きたことを言っている訳ではない。」


「だとしたら、私はずっとあなたの言う”たまたま”に、身を任せていただけです。風が北に吹けばそれに乗り、南に吹けばそれにのり、”たまたま”ここと言う場所に降り立って、根を生やしただけでございます。」


「・・・・・」


「根が生えたら自然と芽が出て自然と花として咲きました。何か"しよう"とした事はありません。
あなたが言うことが真実であれば、私は花を咲かせ続け枯れることもない選択ができると言うことですか?」


「いやいや!それはない。それは君が花だから。私は違う。私は人間だ。だから自分がこの人生をコントロールできる権利を持っている!」


「それは本当に真実ですか?それは誰に教えてもらったのですか?」


「どっかの誰かが言っていた!だし、そうだと思って疑ったことなどない!実際努力をしていたり、勇気を出して行動している人は結果を出して幸せになっている!」


両者の中で暫く沈黙が流れ、花は話し出した。


「私が感じる世界は、全てが1つの動きをしていて、個体に見える私もあなたも全ては全自動で動いています。私が完全に咲き誇って見えるのは、その全体の動きに身を任せていたからです。」



「・・・」


「もし仮に、私がこの道端に咲きたくないと抵抗するのならば、それは私にとっての苦悩になるでしょう。
もっと私は綺麗な所に根を生やしたかった。
もっと花の仲間たちに囲まれた所で咲きたかったと考えたなら、あなたの目に私が映り、こうして会話する事もなかったでしょう。」


「・・・」


「私はあなたの考えていることがとても分かります。なぜならあなたと私は全く同じだからです。姿形は違いますが、あなたの今持っているその苦悩は、自分の人生をコントロールしたいとう考えからきているのではありませんか?」


「そうだ!その通りだ!自分が自分の人生に”責任を取る”事は大事なことだろう!その為の苦悩は崇高な考えじゃないか!」


「私はただただ、自然に起きることに身を任せていただけでございます。起きる出来事に対して何かを思ったり考えたりしたことはありません。先程あなたから、枯れていくと言う事を聞くまで私は枯れるという未来すら”知りませんでした”。」


花は話を続けた。


「自然の流れを見れば分かります。全ては自然に起きています。なぜ人間だけそれが違うと言い張るのですか?」

「それは人間が与えられた特権だ!自分の人生をより良いものにできるのは人間だけの特権だ!」


「仮にそうだとしたら、苦悩とはとても不自然ではありませんか?私は苦悩したことがありません。自然に逆らったことがないからです。」


Aは全てを手放してみた。


自分を卑下するのも、人生をコントロールする事も、勇気を出すことも、行動しようとするその行為さえも。


すると、”何故”か自然と流れができた。”何故”かとしか言いようがない。


Aが全てを手放した理由は、花が最後に言ったこの言葉があったからだ。


「AさんAさん。あなたが先程から言ってる、勇気と努力とは何ですか?その言葉の概念を私は知りません。」



勇気を出して咲く花がどこにあるだろう?

努力をして咲く花がどこにあるだろう?



勇気と努力をするその行為自体が"不自然"な事だと言うことを誰も知ることができない。



お読みいただきありがとうございましたおねがい