与党ややリード、野党急追 台湾総統選 立法委員選は野党優位 | 中国情報ジャーナル ディープな香港・中国・台湾

中国情報ジャーナル ディープな香港・中国・台湾

1997年7月1日に英国から中国に返還された香港。1997年から香港に駐在したフリーランスライターが現場取材をもとにディープな香港、中国、台湾の最新情報を書き尽くしていきます。

与党ややリード、野党急追 台湾総統選
統一候補失敗でも野党優勢 立法委員選
ねじれ現象なら前途多難


2024年1月13日投開票の台湾総統選、立法委員(国会議員)選まで一ヶ月を切り、各党の正副総統候補が出そろった。総統選では与党・民進党候補が野党2候補よりもややリードを保ち、野党は統一候補を実現できなかったが、最大野党・国民党が急追している。立法委員選(113議席)は与党が苦戦。野党2党が連携して優勢になっており、少数与党化が懸念されている。

 

議員選は野党連携で議席増か
少数与党化の危機、安保にも

 


総統選を過去20年以上、取材してきた経験値では、投票一ヶ月前から無党派中間層の動向による大きなうねりが最終盤に波及し、勝敗が決まる。
 

先回の2020年1月の総統選では、香港の民主化デモと香港での反体制的な言動を取り締まる国家安全維持法(国安法)施行準備などで一国二制度が崩壊し、「今日の香港、明日の台湾」という台湾有権者の危機感が与党・民進党の蔡英文総統再選に大きな後押しとうねりを醸成した。

 


 

しかし、今回は中国の露骨な圧力が香港問題ほど大きくなく、香港の雨傘運動リーダーの一人だった周庭(アグネス・チョウ)氏がカナダに亡命、12月10日に投開票された香港区議会議員選挙が親中派だけが当選する実情には一定の危機感がある程度だ。中国の圧力が弱く見える分、野党候補一本化失敗のドタバタ劇に乗じて「二期8年ごとの政権交代が健全な台湾民主化の流れだ」という長期政権腐敗防止の声を徐々に中間層に浸透させている。中国共産党は非効率的な圧力を控え、無党派中間層の票の流れを政権交代に引き寄せる工作に転化している。

 


 

与党・民進党の頼清徳総統候補(64)は世論調査でリードを保ってきたが、今月上旬から支持率が下がり始め、最大野党・国民党の侯友宜総統候補(66)に急追され始めている。第2野党・民衆党の柯文哲総統候補(64)は野党統一候補一本化を破棄したあおりで低迷傾向が続いているが、民進党と国民党の攻防に嫌気を刺した若年層に根強い支持がある。

 


 

台湾ネットメディアの美麗島電子報の最新世論調査の動向(図表参照)によると、民進党の頼氏と蕭美琴・前駐米代表(大使に相当、52)の正副総統候補ペアが支持率35.1%、国民党の侯氏と趙少康・元立法委員(73)のペアが32.5%、民衆党の柯氏と呉欣盈・立法委員(45)のペアは17.9%となっている。

 


 

頼候補の支持率が下がり始め、侯候補の支持率が上がったのは、ここ一ヶ月、野党統一候補が決まれば政権交代への期待を膨らませた有権者が柯候補による野党一本化の破棄で第二野党トップの資質に失望感が広がり、やや野党寄りの無党派中間層が民衆党への失望、国民党への期待として表れた形だ。だが、野党統一候補を決める合意をした際、立会人だった馬英九元総統の側近が事前に北京に行き、中国当局と交渉していたとの台湾メディアの報道もあり、一時的な支持率上昇に過ぎない可能性もある。

 

▲総統選で政権交代があった方が良いか、現状で良いか 美麗島電子報での調査結果
 

台湾のネットメディア「ETtoday民調雲」の最新世論調査(12月6、7日)では、頼候補が39.0%(前回比1.6ポイント増)、侯候補が33.8%(2.5ポイント減)、柯候補が18.1%(1.5ポイント減)でむしろ、与党が野党を引き離している。
 

野党統一候補一本化が決裂しても、国民党と民衆党は激しい罵倒戦は避け、立法委員選での協力が進む。小選挙区では成功している区もあり、むしろ、野党一本化が潰(つい)えても、立法委員選で与野党逆転が現実化する勢いだ。

 

▲台湾立法院(国会)では現状は与党・民進党が過半巣を占めるが、1月13日の選挙では与党・民進党の過半数割れが予想されている
 

仮に総統選で民進党の頼候補が当選しても、立法院(国会に相当=113議席)の立法委員選(現職は民進党61、国民党37、民衆党5、時代力量3、無所属6、欠員1)では、民進党が過半数となる57議席を割る可能性が高まっている。当選しても政権スタートからねじれ現象を起こし、対中政策で重要な国防予算などが通過せず、少数与党の不安定な政治的舵取りを迫られ、安保でも親中色の強い野党によって中国を利することになりそうだ。

 

野党共闘で形勢逆転か 台湾総統選 国民党、民衆党が統一候補

野党統一候補、困難か 台湾総統選 党利党略で限界

 

中国人頼み限界、脱カジノへ マカオ リゾート建設推進

 

香港国歌「取り違え」で猛抗議 香港政府

 

懸賞金、家族聴取で自首促す 香港警察 亡命民主派は屈せず

天安門事件、図書館からも排除 香港 言論の自由大きく後退

小中高校教員の離職急増 密告恐れ自己検閲 香港

香港の反政府デモ要因残存を警戒 中国高官

中国本土の教員数急増 香港の主要大学

国安条例の早期制定に消極的 香港の動き、中国華僑組織憂慮

 

2024年までに国家安全条例制定 香港行政長官

 

白紙デモ、同時多発で連携 中国 背後に全米民主主義基金

 

与党・民進党が惨敗 24年総統選に危機感 台湾統一地方選挙

 

現職優位、野党・国民党が優勢 桃園、新竹で民進党苦戦 台湾統一地方選

 

側近重用、毛沢東に匹敵する権力を確保 習近平指導部

李克強首相、指導部留任せず 中国党大会

李克強氏の去就焦点 中国新指導部 ポスト習見えず

脱日本化する「メイソウ」迷走 日中国交正常化50周年

和装コスプレ女性を連行 中国蘇州 「日本街」各地で誕生、反発も

愛国教育を強化し中国共産党の正統性浸透 香港

コロナ対策敗因残した中国返還25周年 香港

 

反テロ通報で報奨金も 習主席滞在で厳戒態勢 香港返還25周年

 

陳日君枢機卿を逮捕 国安法、バチカンに一矢 香港

 

親中強硬派の李家超氏が当選 香港行政長官選挙

 

次期行政長官に李家超氏確実 香港 マカオ式信任投票へ

 

北京五輪後、コロナ禍深刻 中国 香港は世界最悪の死亡率

五輪マスコットと人気選手、商標侵害止まらず 中国

ゲームと塾規制に見る子育て「家庭教育推進法」の闇 中国

親中派独占、投票率は過去最低に 香港立法会選2021

若者無関心、親中派独占へ 香港立法会選挙 3人に1人が投票棄権

中国式管理選挙に一変 香港立法会選挙2021 親中派の党別争い激化

 

学校現場で国安法遵守を要求 香港政府 教師の政治言動厳禁

 

慈善団体から民主派あぶり出し 香港 記者協会もターゲット

 

香港民主派団体が解散ドミノ化 国安法容疑、中国メディアが断罪

 

中国当局、若者の「低欲望主義」警戒 静かな抵抗「躺平」

国安法の検閲恐れる香港映画界 独創性阻む自己規制

香港の主要大学、中国本土の留学生が比率増 愛国教育を優位に

海外移民で退学者増 香港の有名小学校

残留か、亡命か 立法会選の出馬制限で苦境 香港民主派

 

中国共産結党百年、コロナ下の「春節」 中国

コロナ感染要因の春節厳戒 中国 北京五輪中止圧力も

欧米の支援不可欠な香港民主派 羅冠聡氏らの動向警戒 中国

 

議員立候補を「選別」、窮地の民主派 香港

 

大手学習塾、コロナ経営難で閉鎖破綻か 中国

 

中国軍機の台湾侵入飛行顕著 米台結束、中国の「武嚇」増幅

 

香港「二次返還」論が浮上 深圳経済特区40年

 

親中派与党、選挙延期で惨敗回避も 香港立法会選

 

反中デモ、民主派活動封じ込め 香港国家安全法

 

民主派躍進でも不安、移民増も 香港 国家安全法、民意は反対過半数

 

「中国の監督権」強化じわり デモ再燃封じの香港

無症状感染者に「抜け穴」 中国武漢 封鎖解除で恐々

朝令暮改の地方政府、混乱と焦燥なお 中国の武漢肺炎

初動不備、SARS教訓生かせず 中国・武漢肺炎

香港民主派、共闘へ堅い結束醸成 台湾選挙

香港問題が与党に追い風 台湾総統選 立法委員選は激戦

 

硬軟両様、台湾取り込み加速 中国 韓国瑜氏、総統選出馬か

 

LGBT票取り込みに躍起 台湾与党 住民投票でNO、なお新法

 

混迷する次期総統候補選び 台湾総統選2020

「韓国瑜現象」で国民党急追 高雄市奪還も 台湾統一地方選   

喜楽島連盟「独立」の是非どう交わす 台湾・蔡英文政権  

 

民主派が8割超の圧勝 香港区議会選 民意でも中国動じず

 

民主派、初の過半数獲得へ 香港区議会選

 

区議会選延期への方策か 香港 抗議の取り締まり強化