「IQが下がる」「脳が死ぬ」と各所でやたら話題になっているけものフレンズですが、読者の皆様は既にご覧になられたでしょうか?

私といえばまぁ下がるほどのIQは無いし、脳は既に半ば死んでいるので失うものは数えるほどもない。じゃあとりあえず見ようかなと。で、これ書いてる時点での最新話(5話)まで視聴済です。

感想としてはまぁ面白いですよね。話題先行型のアニメというより、話題が内容の後から付いてきたタイプのアニメですから。

{734BA45D-EF9E-47B6-8C99-E4FACA0579EB}
けものフレンズは、業界の常識に則るならどこをどうやっても流行るはずではなかったアニメです。
前身となったソシャゲは採算が取れる見込みがなかったせいで既にサービス終了しており、重要な導入部分である1話がファンをして鬼門と称される。そんなクレイジーな存在です、けものフレンズは。
…………………………………………………………………

今回はそんなけものフレンズについてのあれやこれやについて書き散らしていきたいと思います。なお、作中の気になる事について触れていきますが、ガチの考察ではないのでそこはご注意下さい。考察というより感想やいっそ妄想に近い何かを撒き散らす予定です。

ちなみにですが、ガチの考察部隊員または隊員を志望されているイかれたフレンズ達にはこちらなんかが超オススメです。この記事や貼られているリンク先を読んでると「私はアレコレ考えずにただフレンズとしてジャパリまんをムシャムシャしておけば良いんじゃないかな」と思わされる位の良記事です。


<余計な物を削ぎ落とした美>
けものフレンズにはおおよそ豪華な作画も目を奪われるような背景も無い。CGモデルは見てて微妙に不安になるし、一瞬静止画かと思うほど動きが足りない場面もある。PS1のポリゴン畑でスクスク育ってきた私はさして違和感を覚えませんでしたが、作画を見る目が肥えているフレンズにはなかなか厳しいんじゃないでしょうか。

既に見たはずの話をニコニコで再度ポイント視聴する程度にはハマってますが、そこに関しては特に擁護のしようがないというのが正直なところ。けものフレンズはたった一点、「種族交代」の描写に全精力を注いで作りこまれていますからね。そしてその描写は、多分我々が思っているよりずっと深いレベルで為されていると思います。研ぎ澄まされた刃なんですよけものフレンズは。


<道具の使用から垣間見る文明の芽吹き>
あんまり他のブログ等では触れられているのは見ないものの、私なりにこれは…と見ていて釘付けになったのは、フレンズが道具を使いこなしている場面がふんだんに描写されている事です。

{E943D74B-AA5D-4A89-806B-EE7DC0B2169E}
例えばジャングルでは塩の摂取のため、スプーンで土を食べているフレンズが居ましたし。

{DD650CC6-3655-4B28-8319-E102CBEA119C}
アルパカちゃんは紅茶淹れてましたし。

フレンズにとって、道具というのはごく身近な存在なのでしょう。が、一方で

{156A1CAF-1635-4AC4-BEBE-9A0FD7772106}
サーバルちゃんはハンドルに猫パンチキメてたんですね。

この差はなんなんでしょうか。つまり、既に知っている道具を使う事はフレンズにも出来る。しかし、道具の新しい使い道を探したり、改善したり、あるいは新しい道具を使う事はフレンズには出来ないのは何故なんでしょうか。

これはとても意味深な問いかけです。道具の使用は人の特徴としてよく挙げられますが、けものフレンズはそれをもっと厳密に描写しようとしているのだと私は受け止めて居ます。人とは何ぞや、文明とは何ぞや。それがけものフレンズが発し続ける問いです。

そもそもフレンズとは何でしょう。ヒトとケモノの中間に居るモノです。見た目が限りなく人に近く、言葉もガッツリ喋るのでついつい忘れがちですが、彼女達の行動様式は動物のそれに限りなく近い。野を駆け、泉の水を飲み、巣で眠る。

そんな彼女達に知恵を授けるのがカバンちゃん、つまり彼女は知恵の伝道者…なんて事を言う気はありません。フレンズには元々知性が備わっているのですから。

フレンズは己が何者なのか自覚している。フレンズは他者との差異を理解している。フレンズは言葉で意思疎通ができる。カバンちゃんは文明が生じうる環境が極限まで整えられたタイミングで最後に放り込まれる起爆剤なのです。ここの構造は少しドリフターズに似てるかも?

{98F14905-2970-46CB-9EA8-A9686B58683C}
例えば5話で登場したビーバーとプレーリーのコンビ。彼女らがこの先、また何らかの困難にぶち当たった時のことを想像してみましょう。
中身は何でもいいです。川の水量が異常に増減した。木で作られた構造部分が腐食したなどなど。これから生きていく上において沢山の困難が立ちふさがるでしょう。

そんな時、彼女らはどうするでしょうか。何もせずただ環境の変化に流される?いや、そんな事はないでしょう。カバンちゃんが出会う前から、彼女らは現状の改善を望んでいたのですから。

彼女らはきっと真っ先にカバンちゃんの仲介=身近な成功体験を思い出して、それに近い行動を取るでしょう。話し合うでしょう。模索するでしょう。もう彼女達は文明の種を自らの内に芽吹かせているのです。

思えばカバンちゃんは、あちらこちらで似たような事をやってきました。2話の浮橋作り、3話のカフェの集客、4話の非常口探し、そして5話の家作り。地形の改変、情報の伝達、情報の記号化、議論と分業の概念。どれもこれも、我々人間が、この現実で連綿と受け継がれてきて、今尚行なっている事ばかりです。

カバンちゃんはただその場限りの便利屋、アイデア屋ではありません。恐らく人類が滅びてしまった後の世界で、絶滅前の人類が脈々と培ってきたミームをただ一人その身に宿し、これからの地球を担うフレンズという新しい種族にそのミームを手渡していく運命を背負った人類のラストランナーなのです。

カバンちゃんの持つ思考、ミームは一度伝わればそのコミュニティの性質を永遠に変えてしまう類のものです。より沢山のお客さんが訪れるカフェ。さらに簡単に渡れる川。もっと快適や住まい。人間の思考回路を色濃く反映したフレンズ達が現状に甘んじ続けるでしょうか?そして連続する行動の行き着く先は?文明以外に無いでしょう。

私が考えるに、フレンズ達が今の人類の文化レベルに追いつくのは、そう時間がかかるものではない。彼等は高度な知能と抜群の身体能力を持ち合わせています。一段飛び二段飛びどころではないペースで追い付いてくるでしょうね。人類がうん千年かけて会得してきたアレコレがあれば尚更です。多分1000年も経てばフレンズ達は恒星間航行でも楽しんでるんじゃないですかね?


<仕組まれた種族交代>
ここまではそれなりに根拠のあるお話でした。「ぶっちゃけ上位互換とも言えるスペックのフレンズ達は、最後の一押しさえあれば加速度的に文明を発展させていくだろう。そしてその一押しはカバンちゃんが行く先々でガンガンプッシュしてる。つまりこの物語の行く先は…」というものでした。ここからは根拠が若干薄弱な話のお時間です。

私は、この鮮やか過ぎる種族交代は予め仕組まれていた線も捨てきれないんじゃないかなと。
{D0050D49-CACF-4D5E-B176-2E12ABEA5DC6}
いつもの
…………………………………………………………………

とりあえず現時点で他に図書館が動物園の中に併設されてる理由が思い付かないです。

また、他の園内で見られる技術(電池、太陽光発電、電気自動車、自動運転等)に比べて、一種テラフォーミングじみた技術だけかなり水準がぶっ飛んでいるのも考慮すべき事かと。

はっきり言ってジャパリパークから垣間見える環境調整技術力はかなり狂ってます。様々なエリアが地続きに他の気候と隣り合わせで存在しているのって冷静に考えて意味わからないでしょ。あのズートピアですら一応ドームで区切ってありましたよ。ツチノコさんの言い方的に、ほぼ人類が死滅してるのは間違いなさそうですが、それでも概ね問題なく稼働している。ジャパリパークはいわば小さな地球的な独立した生態が成立しているんですよ。余りに大掛かりすぎる。

何かそれだけの技術を投入すべき理由があった。これは間違いない。本当にただの娯楽施設の成れの果てなんでしょうか、ジャパリパークは?

ここまで考えると、そもそもジャパリパークは動物園なのかという根本的な疑問が湧いてきます。既存の「種の保存」の側面もある動物園の目的に加え、更に一歩先を行く「文明の保存」までをも目的とした新たな施設だと推測するのは、そこまで突飛な発想でも無いのでは?いわばエデンのリンゴの木が生えたノアの箱舟として作られたのがジャパリパークなのかもしれません。


<まとめ:これからのけものフレンズで注視したい事>
ここまで現時点で判明している情報から私なりに色々仮説を組み立ててはみましたが、けものフレンズはまだまだ謎だらけです。

・ハカセ
…間違いなく重要な立ち位置に居るキャラでしょう。明らかに他のフレンズ達とは一線を画しています。ハカセがフレンズなのか、人間なのかはまだわかりませんが。

・図書館
…旅の目的地になっている割にほぼ何も判明していない施設。ツチノコさんが「図書館で聞け」と言っている事からただ本がズラッと並んでる場所でもなさそうです。全ての問答に答えてくれるAIとか居そう。

・サンドスター
…1話でちらっと触れられてからは特に音沙汰無し。判明しているのはジャパリパークの環境を維持する上で大事な役割を果たしているっぽい、そしてなんかキラキラしてる事くらい。

・セルリアン
…謎の塊。本当に何一つわかってない。園内の至る所に居て、青の他に赤いのも居る。視界に入らない限りは襲ってこないっぽい。

・サーバルちゃん
…明らかに人類が滅びる前の時間軸で展開されている漫画版で登場。同一個体なら人類が滅びてからそんなに時間が経ってない事になるだろうし、違う個体なら襲名制という事になる。とりあえず大天使ではある。

・ツチノコさん
…目にハイライトが無い。そしてトキと違って絶滅動物ですらない未知すぎる存在。ゲーム版だとオイナリ様とかいう神話上の存在も出てきていたらしいからツチノコくらい大した事ない…のか?
とにかく、ツチノコさんが出てきたお陰で益々ジャパリパークが考察したくなる場所に。ありがとう。


と、書けばキリが無いほどに謎に満ちたけものフレンズ。気の済むまで考察出来る。疲れたら只々癒される為に視聴出来る。素晴らしい両面選手ぶり。これからのけものフレンズの展開が楽しみで仕方ないです。次の話はよはよはよ。

と、今回はちょっと短いですが、こんな所で締めさせて頂きます。ここまで読んで下さってありがとうございました。次回もお楽しみに〜〜

{536FB85D-39FB-497C-9177-E504CA515774}