皆さんこんにちは。レビューの時間です。今回お届けするのはホライゾンゼロドーンのレビューです。キルゾーンシリーズで有名なゲリラゲームスによる作品ですね。

発売前から結構話題になっていたので、既に購入済みの方も少なくないでしょうが、一方完全新規IPということで未だ迷っている方も沢山いらっしゃるでしょう。今年は豊作ですからね。

今回はそんな方に向けてレビューしていきたいと思います。主に世界観・アクション・クエスト構成に触れていく予定です。興味のある方は是非参考にしてみて下さい。

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本当は半分ほど書き上がっていたんですが、ドラゴンエイジ以来の全消しの憂き目にあって全て書き直しています。文明って信用ならねぇ(文明の利器を使いながら)
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<退廃した美>
まずはこちらをご覧下さい。


んで、次は私がゲーム内で撮影したSSをご覧下さい。

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グラフィック凄くないですか?そして失われた古代文明感ヤバくないですか?ホライゾンの一つ目の魅力、崩壊後の世界の退廃感です。

ホライゾンの世界は今この世界の文明が滅びてざっと1000年ほど経過した世界が舞台です。現代文明において建造物の大部分を担う鉄筋コンクリートは爆裂現象により破壊され、超大型な建物がわずかにその残骸を残すのみ。車両だったと思しき物体も、塗装の剥げた場所から水が侵入し同じ運命を辿っています。小型の車両に至ってはそもそも見当たらない。

そうやって作り上げられた文明の残滓にこれでもとばかりに生え散らかす植物の山。非常にリアルな文明の滅亡が描かれています。今を生きる我々人類が何らかの原因で死に絶えた場合、世界はこんな感じで変化していくでしょう。

加えて、ホライゾンの世界は植生もかーなーりリアル。ケッペンの気候区分に実に忠実に作られています。熱帯では鬱蒼とした草が生い茂っていますし、寒帯に近付けば針葉樹林が林立しています。この辺の知識もあるとなお一層楽しめるかもしれませんね。


<機械と自然>
ただ、それだけで終わらないのがホライゾン。その新たな世界を闊歩して牛耳っているのは機械たちです。

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こちらより引用

原始的な世界に蔓延る技術の結晶。この一見矛盾しているようでその実調和した世界設定により、ホライゾンは奇妙にズレた世界を作り上げましたどこかスチームパンクのようでもありますかね。時間軸がズレているというか。ホライゾンは単なる原始的な文明ではなく、一度滅んだが故の新たな文明が息づいてるんですよ。豊かな自然にハイテクの塊がノシノシ歩き回ってるのわけわかんないでしょ。すごい。ホライゾンの二つ目の魅力、機械と自然の奇妙な調和です。


<外道ハンティング>
プレイヤーはそんな奇妙な冒険の世界に狩りを通じて干渉していく事になります。

ここ正直、発売前はそこまで期待していませんでした。グラフィックと世界観に極振りしてる印象だったので、まさかアクションにまでチカラは入れてないやろと。大間違いでしたね。従来の作品より更に狩りを意識した作りになっています。
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日本で狩りゲーと言えばやっぱりこの2つでしょうか。GEシリーズの方はBと2はクリア済み。MHは3rdをクリア済みです。しかしストーリーに当たるクエストを終わらせただけでクリアしたといっても良いものか。そもそもこの手のゲームにクリアという概念があるのか。疑問は尽きません。
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基本的に狩りゲーと呼ばれるジャンルはハメとゴリ押しを極端に嫌います。段差や狭い空間を利用して敵から攻撃される事なく一方的に倒したり、回復薬や強化系の薬に物を言わせて倒す。これは狩りゲーにおいてはNGなんですね。アクションの楽しみを損なうという配慮でしょう。製作者の意図した遊び方が明確に見えるフィールドで敵を倒していく。これが従来の狩りゲーと呼ばれるジャンルの狩りでした。

一方ホライゾンは、これとは全く違う路線です。正々堂々殴り合う事も出来ますが、今まで禁じ手とされてきたようなやり方がむしろ推奨されている節もあるんですよ。

遠距離からの一方的なステルス攻撃や属性攻撃による弱体化は基本戦術ですし、大量に張れる罠に誘い込みアクション0で倒す事も可能です。とにかくいかに一方的に敵を殺せるかを重視出来る作りになっています。

大量の敵、あるいは強敵が目の前に居る。別に正々堂々と戦ってやる必要はない。これがホライゾンの三つ目の魅力、リアルな狩りです。

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こちらより引用。イマイチ縮尺が分かりづらいですが、右下の青く光ってる小さい奴が大体プレイヤーと同じくらいの体高です。デカイ(確信)
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例えばこの写真に写っているサンダージョーの兄貴は火力の高い遠距離武器を複数装備し、その巨体に似合わぬ俊敏さまで持ち合わせ、トドメに全身カチカチの装甲に覆われているという、まさに機械の中の機械。離れればレーザーやブラスターが飛んできて、近付けば体当たりや噛み付き、皆大好き尻尾ブンブン回転丸をかましてくる。ホライゾン屈指の強敵です。



ペチペチ矢を射っていても微々たるダメージしか入らず、一度回避をミスれば体力がごっそり持っていかれる難敵ですが、実はやり方さえ知っておけば3分掛からずにスクラップに出来るんです。

敵は部位ごとに弱点が設定されていますし、敵によっては破壊した武器を拾って使えます。ジョーの兄貴はバッチリ両方に該当するので、「破砕属性を使って全身の装甲や武器をひっぺがす。落とした武器を使って殺す」てな具合であっという間に鉄屑にしてやれます

部位破壊や弱点属性自体は狩りゲーでは伝統的な概念ですが、ホライゾンがユニークなのはリターンの大きさ。

部位破壊でどんどん攻撃手段を減らせてかなり楽になりますし、拾える武器はその場限りのものはいえ、どれも破格の性能です。

炎上させればズンズンスリップダメージが入りますし、凍結させればダメージ倍率が跳ね上がります。キャニスターと呼ばれるフルーツ缶みたいな部位に特定属性のダメージを与えれば大爆発からの大ダメージです。これらを組み合わせることにより目に見えて討伐タイムが変化します。

更にその為の手段も複数存在しています。真っ向から弓で射ってもよし。草むらからこそこそ射ってもよし。弓じゃなくてスリングで吹き飛ばしてもいいし、ワイヤートラップを張っておびき寄せてもよし。ロープで拘束してぶん殴ってもいい。何でもありです。

オーバーライド、いわゆるハッキングのような物を駆使して同士討ちさせても良いですし、敵を暴走させる属性を付与してジワジワ削ってやってもいい。多様な地形と手段が合わさり、非常にバリュエーション豊かな戦術が成立します。
矢弾や罠や薬の材料となる資源アイテムも大量に持ち運べますから、かなりゴリ押しも効きます。 

狩りに手段を選んでんじゃねぇよ!使える物は全部使え!!という熱い開発の叫びが聞こえてきます(幻聴)

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有能な草むら君。ここでしゃがんでさえいれば、これだけ近くでウロチョロされても見つからないが、レーダー持ちに怪しまれて探索されるとあっさり発見されます。もちろんレーダーも吹き飛ばせるんですけどね。流石に連続で攻撃してるとバレますが。
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敵のバリュエーションもそこそこあり、広〜いフィールドのあちらこちらに居る機械達に喧嘩を売ったり売られたりしながら快適なハンティングライフをおくっています。

惜しむらくは武器の使い分けが真骨頂のゲームのくせにいちいちメニューを開かないと武器も防具も入れ替えられない事。これは是非アプデで改善して欲しい。最終的には下の画像みたいになって来ますからね。ホイール内でチェンジ出来るようにして欲しい。もしくはプリセットを幾つか用意してそこから切り替えられる様にするとか。

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見た感じ腕試しの試練をクリアした時のトロフィー画像っぽいですね。敵の特定部位を破壊したり、特定のギミックを使って敵を倒したりといったタスクをこなすミニゲームみたいなもんです。クリアして勲章を貯めれば素敵アイテムが貰えますが、基本装備が整う後半の方が楽にクリアできます。
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<失われた文明の探求を軸に回る物語>
ここまで世界観、戦闘に関して触れてきました。となると残りはやはりクエストの構成ですね。

狩りの疲れを狩りで癒す脳筋生活が無限に楽しいせいでついつい忘れてしまうのですが、ホライゾンの世界は本当に謎だらけです。

そもそも何故人は文明を失ったのか。もうすでにそこが謎。遺跡他、色々な場所で見つかる様々な情報の断片からかなり発達した文明を持っていたことは間違いない。目下問題となっている環境問題すら解決していた様子が窺える。それだけ進んだ技術の進歩を遂げておきながら何故滅びたのか。

また、何故機械は暴れ回る程に元気が有り余っているのかも割と謎です。人の手が入らなくなって1000年程経ってるのに、メンテナンスすらされなくなったであろう機械達は何の為に動いているのか。というか第一に何を動力源にして動いているのか。草むらで丸ノコ回してる機械をちょこちょこ見ますけど、まさかその辺に自生している植物で動かしてんの?あの数を?あの大きさのボディを?

ホライゾンではこれらの文明の謎に、更にアーロイ自身の謎を交えてメインクエストが進行していきます。何故アーロイは異端児として扱われているのか。アーロイがそれらの謎を解明していくのを通じて、プレイヤーは世界の根幹に触れていくことになります。



ノラ族は非常に内向的な部族なので外部との交流がかなり少なく、その中でも異端児扱いされて会話すら禁じられていたアーロイは世界についてほぼ何も知らない状態、つまり、ゲーム開始時のプレイヤーと一致しているんですね。

何も知らない主人公はベタですが良いスタート地点です。プレイヤーが知らない事はアーロイも知らない。アーロイの世界の探求はそのままプレイヤーの探求になりますから、ゲーム内の情報に取り残される事がありません。

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また、各地に散らばっているこういったログデータや音声データで当時の事情を垣間見ることも出来ます。パンクが古典扱いされてるって…AIが脱走するって…
グラフィックだけではなく、中身もしっかり作り込んであるのが素晴らしい。まぁ何せ数が多すぎるので全部集められる気は全くしないのですが。
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<中身は単調だが背景はしっかりしているサブクエスト>
ここはかなり好みが分かれるところでしょう。ホライゾンゼロは結構な数のサブクエストが用意してあり、如何にも私好みのお膳立てが付いてます。つまりそこに至った話の流れです。

例えば討伐クエストにしてもモンスターぶん殴ってハイ終わり!じゃなくて、何故モンスターが暴れ回るようになったのかまでしっかりと説明してくれます。また人を探す時は見つけるまでに二転三転話が転がり、時々思いもかけない方向に結末が向かう事があります。如何にもウィッチャー的なサブクエストの流れですね。

一方、やる事自体は結局追跡か狩猟のどちらか、大抵は両方というパターンが多いため、クエストの中身にバリュエーション求める人は少々物足りなく感じるでしょう。

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物語の根幹にも関わっている超便利テクノロジー、フォーカス。ワンクリックで起動し、周囲の情報を一度に視覚化してくれる優れ物。敵の位置や弱点から、クエストに関する痕跡や足跡、更にはアイテムの場所や収集物までマルッと表示してくれます。障害物ごしでもOK。追跡からハンティングまで、とにかく頻繁に役立ってくれる物言わぬ相棒。現実に手に入れられるとしたら欲しい物第1位。やましい目論見しか感じない?返す言葉もありません。ちなみに2位はオーバーライドシステムですかね。
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<総括:新規IPとは思えないほどの完成度>
という事で一通り纏めてみましたが如何でしたでしょうか。ホライゾンの3つの魅力、「退廃した世界」「自然と機械の奇妙な調和」「リアルさを追求した狩り」にクエスト構成を交えてお話してみました。

ここまででおおよそ紹介したいと思った事は大体触れているのですが、何か付け加えるとしたらフォトモードが用意されている事ですかねやっぱ。

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全て私が素人なりに撮影したものですが、Googleで調べるなり、ツイッターで#HorizonZeroDawnで検索するなりしてくれれば実写と見紛う様な超美麗なスクショが山程見られます。
ホライゾンのフォトモードには多数の設定が用意されていて(視界、露光、ピント、絞り値etc…)、そこら辺を上手く使うと迫真の写真が撮れるみたいですが、何せ私はiPhoneのカメラですら時々しか使わないレベルですのでこれが限界でした。フォトモードだけで何時間も遊んでいる人達が割といるらしいですよ。撮影勢の皆さんも是非購入をご検討ください。

さてホライゾンなんですが、改めて見ると全体的に完成度ヤバいです。

・ストーリー、アクション、クエスト構成申し分なし
・FPSはかなり安定していて、セーブロードも割とサクサク
・これだけ広いフィールドでオープンワールドしているのに殆どバグがない。現在、サブクエを進めつつメインも終盤に来ていますが、遭遇したバグは植物が宙に浮いていたり、アイテムが壁にめり込んで取れなくなる程度。それも片手で数えられる程しか見ていません。
・難易度設定により広い層のプレイヤーに対応

完成された構想とそれを実現する高い技術力。本当に新規IPなのか君は。余りにも出来が良過ぎて既にクリアするのが惜しくなっている有様です。DLCが出る予定が今の所無いらしいのが実に残念。狩る為に狩るのも悪くないですが、やはり目的があった方がやる気出ますからね。いっそウィッチャー並のボリューム溢れるDLCを出してくれていいのよ?
<2017/6/25追記:当初予定のなかったDLCですが、TheFrozenWilds(仮題)という大規模DLCが発売されることが決定しました。やったぜ。>

TPSが受け付けないという根本的な問題が無い限り、完全にマストバイの一本。少々気が早い様ですが、ホライゾンはGOTYクラスの戦闘力を持っています。 

しかし、ゲーム開発はここまで来たんですね。今や立派なメジャータイトルになっているシリーズも、一作目は粗が目立ってたりするのがこれまでの"普通"で、そっから2作目3作目を経てどんどんブラッシュアップされていくのが当然の流れでした。
対してホライゾンはまるでシリーズ集大成の様な完成度。それでいて新規IPの斬新さもしっかり持ち合わせている。「お前の知らない所でホライゾン1と2が発売されてたよ。1は結構面白かったけど、2はバグまみれのクソゲーだったよ」とか言われても私信じちゃう。歴史を扱っているホライゾン自身がある種パラダイムシフトを起こしているのはそれはそれで面白いですな。

ゲーム開発の未来に思いを馳せた所でレビューを締めさせて頂きます。ここまで読んでくださってありがとうございました。次回もお楽しみに〜
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