※本記事はけものフレンズ11話までの内容、および12話の内容のネタバレをガッツリ含みます。まだ視聴していないフレンズの皆さんは回れ右してにこにこちほーかぎゃおちほー、その他けものフレンズが視聴できるちほーへ先に向かって下さい。
それを喰う生命体。そりゃもう直結ですよ人類の危機に。発電所なんか真っ先に狙われたでしょうし、おおよそ現代文明の想定する敵性存在のガッツリ外側の超越的存在です。ミサイルを始めとする全ての重火器、あれもこれもぜーんぶエネルギー。攻撃したって吸収されるなんてもうどうしようもない。
かばんちゃんを自己探求の旅に誘った最強のキーフレンズ。同時に視聴者に生きる意味を教えてくれたと専らの噂のサーバルちゃん。けものフレンズがここまでの作品になったのは彼女の功績によるところがとても大きい。
※以前書いたこちらの記事からの続きモノです。
いやー終わっちゃいましたね!!けものフレンズ!!!!!ああああああああ!!!!!!
放映中は着々と増えていく話数を目にしつつも、何故だかずっと続いていく終わらない旅であるかの様な錯覚に囚われていましたが、どんな物にも終わりは来ます。例に漏れず、フレンズ達の冒険も終わりを迎えた次第でございますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
この一週間、「続きが早く知りたい」という思いと「いつまでも終わってほしくない」という思いに両側から引っ張られ、心がバラバラになりかけているフレンズもネット上では散見されました。
私はと言いますと、ツイッターを開いてけものフレンズで検索をかけてはサーバルちゃん…かばんちゃん…とつぶやくだけのフレンズと化していました。いかんでしょと。このまま終われないでしょうと。それだけを思い耐えていた一週間でしたが、そんな我々のモヤモヤを吹き飛ばすかの様な最高のエンディングを見せてくれた、たつき監督以下けものフレンズプロジェクトAチーム。
©️集英社
今回は12話の余韻に浸りつつ、あれやこれやの考察(みたいなもの)を行なって、しめやかにけものフレンズを振り返りたいと思います。
<かばんちゃん>
主題として扱われていた所はほぼ全て明かされましたね。
例えばかばんちゃんは、かつてのパークガイドであるミライさんの置いていった帽子に残っていた頭髪からフレンズ化した人のフレンズでした。
なおミライさんがかばんちゃんと同じ黒髪じゃない件については、フレンズ化した際にその種に代表される性質を継承するという性質が影響しているのだという説があります。ミライさんという特定の人物の性質から日本人女性という一般的なDNAを受け継いだ結果がかばんちゃんって事なんですかね。サンドスターは謎が多いです。
…………………………………………………………………
もうこの立ち絵を見ただけでちょっと涙腺のバルブが緩むんです(病気)が、本当にもうね。よくここまで成長したなと。謎の母性本能が目覚める。
1話で何も出来ない存在=何者でもない存在だったかばんちゃん。サーバルちゃんと共に歩み、フレンズを助けてフレンズに助けられて遂にはパークの危機を救うという大仕事を成し遂げました。王道を征くロードムービーです。つよい。
各話でそれぞれ活躍を見せていたかばんちゃんですが、特に1話と11話で見事に対比が取られています。「僕はお客さんじゃないよ」の一言で弱かった自分と完全に決別したかばんちゃん。サーバルちゃんを助ける為に木を登り、走って泳いでと、1話で出来なかったことを全て自分なりに頑張ってサーバルちゃんを助ける。熱い展開でした。無力、改善、自己洞察、闘争。視聴者をじゃぱりパークとかいう未知のエリアに引き込む最高のリーディングパーソンでした。
かばんちゃんの出自に関わる謎は明らかになり、成長もきっちり成し遂げられたのですが、まだいくつか謎は残されています。かばんちゃんの謎、というよりヒト全体に関わる謎なんですが。
結局あの世界のヒトはどうなったのか。私気になります。
ラッキービーストが一律にパークの管理を行なっているらしき状況から、とりあえず未だにじゃぱりパークへヒトからの干渉が無いのはほぼ確定的でしょう。この時点でかなり不穏です。更に度々映されていた老朽化した施設、そして11話において山頂に登る際に映った爆撃機とその攻撃の残骸らしき物体。
詳しくは上のwikiを見て貰えば書いてありますが、B-2とは簡単に説明すると信じられない大金を注ぎ込んで作られた軍事技術の最先端をゆく超超稀少な飛行機です。お値段約2000億円。アメリカだけが持つアメリカのための最強のステルス爆撃機なんですね。落ちてる!めっちゃ落ちてるよ!これは大変な事やで工藤。
第一に、アメリカやそれに準じる軍事大国(リアルだとアメリカは友好国に対してもB-2を貸していません。秘密の塊だから仕方ないね)がB-2を出撃させる必要性を感じた。セルリアンの出現とはそれほどの危機だった事が窺えます。
第二に、その攻撃は失敗している。現代軍事技術の親玉が負けたんですよ。セルリアンに。少なくとも殲滅は出来なかったんでしょう。
思うに、セルリアンとは我々が思っているより何倍も危険な生命体だったのではないでしょうか。ステルス爆撃機を繰り出す必要に駆られる程の探知性能。地形が変わる程の爆弾をぶつけられてもなお殺せない防御力。
……と、ここまで書いて私考えました。そもそもロクに攻撃が効かなかった可能性。
ここに映る不発弾。そして墜落しているにも関わらず、割と原型を保ったままのB-2。本当なら燃料に引火してバラバラになって然るべきでしょうに。
そして"輝き"を求めフレンズを捕食し、松明を体内に取り込み、太陽に惹きつけられるセルリアン。
これらから導き出される仮説。それは輝きとはエネルギーを指すのではないか。一部の爆弾も着弾する前にエネルギーを吸収され不発。爆撃のためにたっぷり燃料を溜め込んだ爆撃機も丸ごと取り込まれたんじゃないかなと。だから爆発しなかった。両方形が残ってる。まぁいつものごとくちょっと飛び気味の説ではありますが、否定はできないんじゃないかなと。火を食ってたし、多少はね?
我々の現代文明はひとえに安定したエネルギー供給によって成り立っています。読者の皆様方が使ってるスマホorPC(私のブログだと若干ながらスマホの方が多目です)もバッテリー駆動のデバイスですし、この文章が送られ保管される予定のサーバーだってそう。なんにしたってエネルギーエネルギーエネルギーなわけですよ。
それを喰う生命体。そりゃもう直結ですよ人類の危機に。発電所なんか真っ先に狙われたでしょうし、おおよそ現代文明の想定する敵性存在のガッツリ外側の超越的存在です。ミサイルを始めとする全ての重火器、あれもこれもぜーんぶエネルギー。攻撃したって吸収されるなんてもうどうしようもない。
そりゃアメリカも軍事機密の塊であるB-2を放置しっぱなしにもなるわなと。で、そんな事態があちこちで起きていてたとなると……そもそも前回の危機ではもっと大型だったり数が桁違いだったりしていた可能性もありますし…
というわけで未だ明かされていないあの世界の人類のその後ですが、個人的にはかなり否寄りかなと。 あの規模の施設が民間企業だけで運営されているとも思えませんしね。やっぱ国ごと持っていかれたんじゃないかなぁ。完全隔離地帯になっている可能性もありますけど。以前提唱したフレンズは新たな世界を発展させていく存在説、案外遠からず…?
<サーバルちゃん>
このように、未だに謎の方が多いまであるヒトですが、フレンズ達はそれに比べると幾分マシです。
けものフレンズとは全くこれっぽっちも関係がないのに、何故か460万回(3/31時点)もPRされたすしざんまい。完全に棚ぼたである。
…………………………………………………………………
12話まで見終わり、一通りフレンズが揃った後になって改めて感じるのは、サーバルちゃんは良くも悪くも普通のフレンズだということ。特別強いわけでもなく、格段に頭が良いわけでも、沢山のことを知っているわけじゃない。だからこそ誰よりも目線がかばんちゃんに近い。サーバルちゃんが力一杯喜んで、驚いて、すっちゃかめっちゃかしながら一緒に障害を乗り超えていく度に視聴者の心が物語に同調していくんですよ。聖母かよ!
…………………………………………………………………
この旅は、底抜けに優しくて明るくて前向きなサーバルちゃんが一緒だったからこその旅でした。違いを理解し、受け入れていくこと。当たり前のようでとても難しい許容の精神を視聴者の心に刻み込んだサーバルちゃん。
皆さんと同じく、私もそんな妙に頑丈なサーバルちゃんが言うまでもなく大好きなんですが、聖獣ぶりに触れるのもそこそこに。サーバルちゃんが残した謎は、サンドスターの性質にも関わる事です。
かつてのミライさんと先代らしきサーバルちゃんの姿を見た時、何故現世代のサーバルちゃんは泣いたのか。これです。
サーバルちゃん本人は「早起きしたせいかな」と言っていましたが。なるほど!早起きしたなら仕方ないね!!……とはなりません。このセリフは、かばんちゃんと旅した事により感情の振れ幅が動物側から人間側にグッと近づいている事を示しているんじゃないかなと。いや本当に早起きしたからって可能性もあるっちゃあるんですけど。
泣くとしても最終回だろう…と思って不意打ちを食らったフレンズも少なく無かったはず。
…………………………………………………………………
泣くというのは動物にとって目が備える洗浄機能の一つに過ぎず、サーバルちゃんにとってもそれは同じで、悲しかったり気持ちが昂ぶったりした時に泣くというヒト特有の発想が無かったからこその早起き発言じゃないかなぁと。
勿論推測に過ぎませんが、考えてみると、作中を通して明確に悲しみという感情を見せたのはサーバルちゃんだけ。サーバルちゃんが12話で見せた涙は他のフレンズには流し得ない涙だったんじゃないかと。そう考えると感慨深い。
では、何故サーバルちゃんはミライさんの姿を見て、また自分と同じ姿のサーバルのフレンズを見て泣いたのか。これには色々可能性が考えられます。
まず、よく聞くのが「先代サーバルちゃんと現サーバルちゃん同一個体説」です。
12話ツチノコ先輩の「各地の溶岩は前回の名残か」というセリフや、ジャパリバスの前の動力部だけ取り外されていた事から、前回の大型セルリアン討伐時も概ね同じような討伐が行われていたと思われます。海まではいけずorいかず、あんいん橋を破壊する事により水に落としたという事ですね。
その際、討伐に参加していたサーバルちゃんが何らかの原因でセルリアンに捕食された。サンドスターの輝きを失ったサーバルちゃんはサバンナに戻り記憶を失う。そして徐々にサンドスターを吸収して再びフレンズ化したと。
で、ホログラムでかつてのミライさんを見たサーバルちゃんは、本当は残っていない筈の記憶の残滓から彼女を微かに思い出して、懐かしさや寂しさがごちゃ混ぜになって泣いたのだと。
他には、「同じ姿をした別の誰かが居るのを見て、かつても自分達と同じように人とフレンズの交流があったのを知った。しかし同時に今はその2人は旅をしていない。即ち、自分達の旅もいつか終わる事を知り悲しくなった。」というのもよく挙がる説です。
「ヒトが本当に存在している、あるいはしていた事を実感したが、同時にもう居なくなってしまった事を悲しんだ。」「ヒトが居るということは、いずれヒトの縄張りにかばんちゃんが帰ってしまうかもしれない。その事を思って悲しくなった」なんかも同じ系統の推測ですね。
いずれも妥当に見える説です。これらが組み合わさっている可能性もありますね。が、まぁどれも確定と言い切るには今一歩足りないかなと。
個人的には最初に挙げた「同一個体説」を推したいのですが、何せ根底にあるサンドスターの性質に謎が多過ぎる。一度フレンズ化が解けてしまうとフレンズだった頃の記憶は保持されないらしいですが、一方、フレンズ化した後も動物だった頃の記憶が残っていそうなケースもある。
トキの「動物だった頃より便利に飛べる」発言はそう言う事なのか。はたまたハカセにそう言われただけなのか。ビーバーの「この体だと」は比較出来る位の記憶が残っていたからこその発言なのか……脳の仕組みの違いに起因する記憶の喪失な一律に残っていない方が自然なのでは…?
かつてミライさんと旅をしていたサーバルちゃんが長い動物状態を経てフレンズに戻り、ミライさんの髪の毛からフレンズ化したかばんちゃんと旅を始めるというとんでも無く熱い展開。2人の志は最後に果たされたんやな…って
…………………………………………………………………
いずれにせよ、「サンドスターってなんなの?サンドスターロウってなんなの?セルリアン?四神??フィルター??なぁにそれ……」がはっきりとしない限り、難しい事はよくわかんないやの状態からは抜け出せません。2期はよ。
…………………………………………………………………
<公平な世界>
さて、ここまでかばんちゃんとサーバルちゃんに関する考察を進めてきたわけですが、如何でしたでしょうか。
人類は滅んでしまったのか。サンドスターとは、セルリアンとは。けものフレンズにはまだまだ沢山の謎が残っています。が、何よりもまず一つの物語としてしっかり作られていたからこそ、最後まであれやこれやを楽しめたのだという事に触れておきたい。
よくジャパリパークを優しい世界だと評する声を聞きます。一見間違ってはいない。が、個人的にはけものフレンズの世界自体はそこまで優しくはないと思います。むしろ設定だけ見たらバッドエンド一直線ですよ。管理者たるヒトはおらず、パークの設備は劣化していて、未だに外敵がうろついていて掃討の見込みは立っていない。非常に厳しい環境です。
最近、というか結構前からの流行ってる「理不尽な因果関係」は面白さに必ずしも直結しないというのを嫌という程叩き込まれてきた我々。ジャパリパークにはそれがない。
…………………………………………………………………
記憶なし身体能力低めのスタート環境はリセット掛けたくなるぐらいキツイものですが、きちんと考えて、動いていけば結果は伴う。ジャパリパークは優しいというより公平な世界です。
いやーほんとね。唐突に射殺されてみたり。車に轢かれて事故死してみたり。無闇で無意味なシリアスに疲れ切ってるんですよ。連発されるとただただ疲れる。話が回しやすいのはわかるんすけど。何となく殺されたキャラに感情移入は出来ないですよ。ストーリーの都合をキャラの心情より優先されてるのが見えますから。
そんな中、描写を丁寧に行い、きちんと因果関係を守り続け、最後の最後にちょっと優しさを見せたけものフレンズが心に染み渡るのはある意味必然かなと。
けものフレンズの魅力って何?と改めて考えると、多様な楽しみ方を許容してくれるところだと感じます。キャラを愛でてもよし、謎を考察してもよし、ストーリーを楽しんでもよし。私は主にブログには考察を書き散らしていましたが、見ている時は一喜一憂しまくってましたからね。それもこれも、全部脚本がしっかりしてたおかげなんだなぁと。改めて出来の良さに感心する次第です。
とりあえず2期待ちの態勢を固めつつ、記事を締めさせ頂きたいと思います。ここまで読んで下さってありがとうございました。次回もお楽しみに〜