中国三大悪女のひとり、則天武后を扱ったドラマ2作品
一つは『謀りの後宮』これは則天武后の晩年の権力争いを描いたもので、
則天武后に関するエピソードは史実通りである。
そして、松下由樹似のリュウ・ティンユー演じる主人公は架空のキャラクターだ。
謀りの後宮 公式
もう一つは『則天武后 美しき謀りの妃』
こちらは、次第に登りつめようとする上昇期の則天武后の時代を「則天武后 異聞」と言うべきほど
史実に残る則天武后の有名なエピソードを完全に無視する形で描かれた丸ごとフィクションである。
前者のように、史実の中に架空のキャラクターを滑り込ませて主人公とする作品は結構多いように感じるが、
後者のように、歴史上の人物の行いや性格までも、史実に残るそれとはほど遠い丸ごとフィクションで制作された歴史ものドラマは、
日本には少ないが中国や韓国にはちょいちょいあるようで『奇皇后 ―ふたつの愛 涙の誓い―』もそうだった。
歴史を熟知した人がこういったドラマを視るのならば、それも一興なのかもしれないが、
私のように正確な歴史を、しっかりと把握出来ていない無教養な凡人がこうしたドラマを喜んで視るのは、
どうにも抵抗がある。
それは、まるで、デッサンの基本も学ばずに抽象画を習うごとき危うさが感じられるからである。
更に、私は『則天武后 美しき謀りの妃』のように則天武后を美化する事に特別の意味を感じられないのだが、
この作品では則天武后を美化したシワ寄せが高宗にいって高宗が大悪人になってしまっており、なんだか気の毒である。
どちらかと言うと私的には『謀りの後宮』の方がお勧めだ。
則天武后に関するエピソードが史実通りなので、後味の悪い無理矢理感もないし、同じ立身出世物語でも、
素直に主人公に感情移入出来る。
それに物語の展開のスピードや流れも、こちらの方がナチュラルである。
『則天武后 美しき謀りの妃』では、一ヶ月の間の出来事を週一の放送ならば、たぶん一ヶ月以上かかって展開しており、
あまりにも遅々として進まないので途中でイラッとなる。