『項羽と劉邦 King’s War』~晩年 生まれながらの劉邦の親友、盧綰の哀れな最期 | 映画 ネタバレ・あらすじ・結末 最終回まで~ドラマもね

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『項羽と劉邦 King’s War』~晩年 生まれながらの劉邦の親友、盧綰の哀れな最期

彼ら二人は、父親同士が親友で、生まれた日も同じ。
よちよち歩きの頃から同郷で育ち、苦楽をずっと共にしてきた仲間であり親友だった。

二人の親友付き合いは、劉邦が皇帝になってからも続き、
劉邦の臣下では唯一盧綰のみが、劉邦の寝室に自由に出入りすることが許されたという。
[出典:wikipedia 盧綰]
それくらい盧綰は劉邦にとつて特別な人だった。
そこまでの深い絆で結ばれていた盧綰が何故、最後には謀反人に転落してしまうのか?
果たして盧綰は本当に謀反を企んだのか?

早くも『項羽と劉邦 King’s War 第75話』ではサブタイトルが「楚への寝返り」となっており、
これは盧綰の行動を示すものである。
と言っても、実はこの75話は、視聴者をミスリードする見せ方に作られていて、
本当のところは、これは、劉邦が味方の面々をも騙して盧綰に命じて一芝居打ち、
わざと楚の陣営へ盧綰を送り込んだのであった。
スパイとなって敵軍へ潜入するという危険な事など、実際、よほど大切な人のためにしか出来ない。


楚に入り込んだ盧綰は、おいそれとは自分を信じない項羽の前で劉邦への恨み言を述べて見せた。
だが盧綰が「俺は死んでも劉邦に復讐する!」と騒いでも、項羽は涼しい顔で笑い、盧綰を追い出そうとした。
しかし、項羽が突き付けた剣の切っ先で喉元を切り血を流しても、盧綰は真剣な目をして「劉邦が憎い」と言い続けたので、
項羽は半信半疑ながら、盧綰をこのまま楚の陣営に置くことにしてしまった。


項羽の盧綰に対する疑念は、その後も、すっきり晴れる事はなかったが、側近である虞姫の兄の虞子期(実在したかどうかは怪しい)が
「盧綰には劉邦に勝つ策があるに違いない」と口添えしたために、
項羽は虞子期の意見を聞き入れて盧綰の話に耳を傾ける事にした。
ところが、ここで盧綰は、項羽に対して意外にも本当の話をする。

それは、項羽と劉邦の臣下に対する扱い方の違いについてだ。
確かに、韓信などは、その良い例で、
項羽が「たかが護衛兵」と侮り、話を聞こうともしなかった彼に、
劉邦は、その罪を許した上に、彼の言い分をよく聞いてやり、大将軍にまで取り立てて、
ついにはその戦功を認め斉王にまで封じたのだから“部下を上手く使いこなす”という点で、
項羽は劉邦に遥か遠く及ばないのであった。

実は、このように核心部分において本当の話をして聞かせる事によって、
盧綰は楚軍の動きをコントロールする命を劉邦から受けていたのだ。

実際、韓信は劉邦から項羽とは比べものにならない厚遇を受けて、おおいに感謝はしていたが、
だからと言って、どんな時も、劉邦の思い通りに動くというほど忠義最優先な人物でもなかった。
かと言って不忠であったわけではない。彼はとことん勝に拘り、勝算がないと動かない男だったので、
劉邦の命令通りに動かずに、主君の不興を買うマズさに心が及ばないだけで。

通常は王の命令は絶対であり、王から出撃命令が出ているのに、それを無視して出陣しないなど、
「常に謀反を疑われないだろうか…」と気にする臣下の立場からは考えられないのだが、
韓信は勝ち戦でないと思ったら、それがたとえ恩義ある王の命令であろうとも静観したまま動かないという
世渡り下手とも無茶とも言える癖ある人間だったのだ。
盧綰は、その韓信の癖のある部分は伏せて、ただ項羽と劉邦の部下への扱い方の天地ほどの違いを強調して聞かせる事によって、
項羽の考えを攪乱し、判断を狂わせたのである。

そして盧綰は、その話に加えて、漢軍陣営で、その兆しがあるに過ぎない跡継ぎを巡るお家騒動の事も、
尾ひれをつけて事実よりも大袈裟に話して聞かせた。
このお家騒動の件で、漢が内部分裂を起こし団結心が緩んでいると思い込ませ、
この分裂が更に進行するのを、じっくりと待って攻めた方が有利に戦を展開出来ると項羽の気持ちをコントロールしたのだ。

このような状況下では、攻め入るよりも一旦、国土を二つに分けて和議に持ち込み
戦さを先延ばしにした方が、その時、今よりずっと有利に戦を展開出来るのだと項羽に思い込ませ、
今、攻め入られては困る漢の難局を知略によって回避したのである。

そして更に、この機に乗じて、劉邦の父や呂雉など捕虜になっていた家族の解放・引き渡しまで果たしてしまうのだ。
この時、盧綰は、「呂雉は漢軍へ帰れば戚夫人を殺すだろう」と言って、
それが、さも漢陣営をバラバラにする決め手になりうるように話して聞かせるのだが、
いくら呂雉がキツイ女でも、劉邦が生きているうちに、そんな劉邦の怒りに触れるような事をするほど浅はかな女ではない。
(呂雉の残忍さが全開になるのは漢の天下になってからである)
だが項羽は、この盧綰の話を真に受けてしまう。



75話よりもっと時が流れ…漢が楚を平定して、盧綰が燕王に封じられてから後に、盧綰が謀反人に転落したというのは、
歴史的には、ただ単に劉邦の猜疑心からの行きすぎた疑惑で、盧綰の心には、そんなつもりはなかったと見られているようだ。

盧綰は日頃から劉邦のためならば命も投げ出す覚悟でいたし、
また普段の彼の行動自体が、その気持ちを裏付けてきたのに、その彼が自発的に謀反を起こすのは、有り得ない話に思われる。

盧綰だけではない、呂雉という冷酷な女の身内可愛さの思惑によって、
晩年の心の弱った劉邦は、次々に、これまで共に戦った忠臣であり友でもあった者達を討つように仕向けられたらしい。
韓信も、劉邦の留守中に呂雉が殺した。
いくら天下を取ったとて友達を失くしては寂しくなかったのだろうか?劉邦。

最終的に盧綰は韓信のように処刑される事を恐れながらも劉邦を最後まで信じていたと言う。
だが劉邦が没して呂雉の天下となると、妻子を連れて匈奴へと亡命し、病になり侘しさのうちにその生涯を閉じた。


ところで、最後に1つ余談ではあるが『項羽と劉邦 King’s War』に登場する虞姫の兄の虞子期は美女の誉れ高い虞美人の兄だけあって、
非常にイケてるメンズをキャスティングしている。

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