アンチクライスト ネタバレ・あらすじ・予告動画・感想 | 映画 ネタバレ・あらすじ・結末 最終回まで~ドラマもね

映画 ネタバレ・あらすじ・結末 最終回まで~ドラマもね

映画のネタバレ・あらすじ・キャストを最終回までや日本、韓国、中国、米国の映画・ドラマから面白いものを選んでネタバレ・あらすじ・感想を書いています。 

洋画のご紹介です。

映画 アンチクライスト ネタバレ・あらすじ・予告動画・感想

2018年10月30日の記事を追記して再UP

映画 アンチクライスト 概要


2009年制作・2011年に日本公開のデンマーク/ドイツ/フランス/スウェーデン/イタリア/ポーランド映画。
監督:ラース・フォン・トリアー
主演:ウィレム・デフォー、シャルロット・ゲンズブール
ジャンル:Wikipediaで、この映画について書いた人によるとホラー・スリラーだそうだ。
だが、Amazonではカテゴライズ不能と紹介。

2009年カンヌ映画祭で正式上映され、終了後、会場がスタンディングオベーションとブーイングとで真っ二つに割れるほど評価の分かれる作品。
また、シャルロット・ゲンズブールが女優賞を受賞する一方で、映画自体は最低賞を贈られる。

[簡単な、あらすじ]
夫婦の行為中に息子を事故で失った妻は、悲しみと自責の念から神経を病む。
夫はセラピストで、治療のため彼女を森の中にあるエデン(人類の始祖アダムとイブが暮らしていた楽園)と名付けた山小屋に連れて行く。だが病状は更にこじれて……。

映画 アンチクライスト ネタバレ・あらすじ



プロローグ
静かな夜。
ヘンデル作曲のオペラ『リナルド』の中の「私を泣かせてください」という曲が流れている。
(たぶん、誰でもいつか何処かで、聴いた事ある曲だと思うよ)
↓この曲 

映像はモノクロでスローモーション。
夫婦が、ランドリールームで絡み合い愛し合っているうちに、一人息子のニック(2歳くらい?)がベビーベッドから抜け出して、鍵を閉め忘れた窓辺へ行き、窓から落ちて亡くなる。

第一章:嘆き
妻の落胆は深く、葬儀の日に倒れて、そのまま精神科に入院となる。
薬漬けにされる妻を見て、病院が信用出来ない夫は、セラピストだし、自分自身が治療しようと考えて、妻を家に連れて帰る。
そして妻に「一番怖い場所はエデンの森」と聞き出して、恐怖と向き合い克服するために2人で森へと向かう。
森の中で夫は、こちらをジッと見る鹿と目が合う。
何故か全く人を恐れる素振りもなく逃げようとしない。
それで、近くまで行ったら、ちょうど子供を産んでるお産途上。
流石に、すぐ際まで行ったら、鹿も「ヤベーッ!」と思ったのか、産道から小鹿を半分出したままで去った。

第二章:苦痛(カオスが支配する)
小屋の傍には大きな樫の木が茂っていて小屋のトタン屋根にどんぐりの転がる音が時折、バラバラと耳障りに響き渡る。
それを妻は「どんどん落ちて、どんどん死んでいく(どんぐりが)」と言う。
「自然は悪魔の教会よ。」とも。

妻は以前「論文が書きたい。」という理由で、子供と一緒にこの小屋で暮らしていた。
その頃の回想が時々、彼女の脳裏をよぎるが、子供を物置小屋のような場所に閉じ込めたままで、意味不明な書き物をしている。
しかも、子供の左足には逃げ出さないように重石まで付けられていた。

ネグレクトの上に、一部身体的な虐待もしていた様子。
にも関わらず、その頃の事を思い出しては
「あの子は、私から離れようとしていた。私と一緒にいたいと思わなかったのね。」とつぶやき、虐待した事を忘れている。

一晩、小屋で寝ての翌朝、妻は「私、治ったわ。元気になった。」と言うが、それと入れ替わるように夫の心には妻への不信感が芽生えていた。

その後、夫は森の中で腸をえぐられたキツネを見つける。
キツネは夫に、こう言う。
「カオスが支配する。」

第三章:絶望(殺戮)
雨が降りだして、小屋の中で妻は寝込んでいる。
その間に、夫は屋根裏部屋に登り、
そこに、残虐な中世の拷問や処刑の絵が壁際にぶら下げられているのを見る。
それと、星座を記した天体図に、
「3匹の乞食」として、キツネとカラスと鹿が描かれていた。
それぞれの絵の上に「キツネ=苦痛・カラス=絶望・鹿=悲嘆」という文字の書き込みがあった。
更に、妻の日記を発見するのだが、日を追うごとに文字が崩れ、最後は形を成さない異様なものであった。

その後、目覚めた妻に夫が、
治療目的のゲームをしようとの提案をする。
その時、夫が「サディステックな男の性的本質が悪魔だ」と言うと妻は「私の論文のテーマはそれ。虐待される女の本質も悪魔なの。」と言う。
その際、夫は、妻が屋根裏部屋に集めていた資料を見た事をそれとなく話す。

その夜SEXの最中に妻は夫に「殴って!」と懇願する。
夫が「出来ない。」と言うと妻は「愛してないのね。」と言って裸のままで外へ出て行く。
そして樫の木の根元に寝そべり自慰をしながら、夫に殴られる事を想像する。
(実際のところ、このシーンは、妻の想像なのか?それとも本当に夫も裸で妻を追いかけて来て殴ってくれたのか?判断不能。)

病状はいっこうに改善しないものの、この時点でも、夫はまだ妻を見捨ててはいなかった。
だが妻は、この「森に悪魔が棲む」という妄想に取り憑かれている。
そんな妻に「妄想は現実に現れたりしない。」と言って聞かせるが、その最中に、妻は開封済みの子供の検視結果を発見する。
それは数日前に、夫が開封したものだった。
検視結果報告には、事故に関しての言及は特になかったが、足の骨に僅かに奇形が見られるとあった。
更に夫は、過去の子供の写真から、妻が子供に左右反対に靴を履かせていた事を知り、それを彼女に指摘した。
「たまたま、ぼんやりしていた。」と言って妻は誤魔化そうとした。
しかし、別々の日時の複数枚の子供の写真のすべての靴が左右逆になっている事に夫は気が付いた。
その直後から、夫に捨てられると思った妻は、夫を襲い始める。
この後、非常に激しい妻から夫への性的暴力シーンで、
彼の男性器を角材で、おもいきり殴る妻。
夫は気を失い、その間に、重い農機具(挽き臼?)を左足首を貫通させてネジ留めされてしまった。

意識を取り戻した夫は、とても、妻の狂乱にはついていけないと思い、這いずりながら外へ逃げる。
そして、大木の根の裂け目の穴に逃げ込むが、なぜかしらそこにカラスがいて、妻が必死に探しているというのに、ガーガー鳴いて、見つかりそうになる。
それで仕方なく夫はカラスを叩き殺す。
でも…それでカラスは死んだと思ったら、まだ生きていてガーガー鳴くから、結局、妻に見つかってしまう。

第四章:3人の乞食
そして、危うく生き埋めにされそうになるが、なぜかしら妻は急に反省モードになり、なんとかまだ生かしておいてもらえた。

その後、2人は小屋の中へ戻るが、最終的には、妻は自分を殺すつもりである事がハッキリとわかり戦慄する夫。
やがて、格闘の末に、夫は妻の首を絞めて殺し、遺体を外へ運び出すと、上から灯油を掛けて火を点け燃やした。
まるで昆虫の死骸のように、大勢の人間の屍が横たわっているような背景があり、
夫は杖をつきながら森の道を歩き出す。

エピローグ
夫は、森を出て行こうとして歩いている。
色彩は無くモノトーンの画面。
再び、映画冒頭で流れた「私を泣かせてください」が流れている。
振り返ると彼の目には、3匹の乞食の幻影が見えた。
こちら側を向いて大勢の人達が歩いて来る。

その後、画面は暗転して「アンドレイ・タルコフスキーに捧ぐ。」という一文が表記される。


映画 アンチクライスト 感想



そもそも、この映画には疑問が数多くある。

《アンチクライストの疑問1》
セラピストの夫は、なぜわざわざ、妻が「最も怖い」と言う森へと連れて行ったのか?

《アンチクライストの疑問2》
なぜ妻は子供に左右の靴を反対に履かせたのか?

《アンチクライストの疑問3》
なぜ妻は夫を殺そうとしたのか?

《アンチクライストの疑問4》
3人の乞食の意味するものは?

《アンチクライストの疑問5》
夫が、森を出て行こうとして歩いている時に、反対側から歩いて来た大勢の人達は何者?
                …など。

そう言った疑問の数々を考えずに
「この映画の芸術性に心酔した~」などという知ったかぶりもせずに(正直言って、この映画、私にはよくわかんない。)ただ感想だけを述べるならば…酷い母親であり、可哀そうな子供だった。
あんなに悲しむほど本当に子供を大切に思っていたとは思えない。
もしそうなら、窓を開けたままで、ベビーベッドの鍵もユルユルで、情事に夢中になんてなれない。
小さい子供を持ってる母親てのは、子供の安全のために、常に神経を張り詰めてるのが一般的だと思うもの。
まぁ、大切な子なら、日常的な放置や虐待はしないよね。

一方、この夫の方は、単に「彼も被害者」と言ってしまって良いものかどうか?そこにも疑問が残る。

妻も言っていたけど、この夫、子供が死んだ事をちっとも悲しんでいないように見える。
いくらセラピストだからと言って、子供を失った心の痛みは、どんな職種の親も皆いっしょの筈。
なのに亡くなった子供の事はさて置き、妻の気の病を治してあげて立ち直ろうという前向きな意欲ばかりで、それもまた何か変やと思うわ。
子供を失った悲しみは胸に秘めて、妻のためにひたすら前向きな姿を見せてるが、本当は辛いんだ…みたいな映画の中での暗喩も特に見いだせなかったし。
もし自分の夫が、ああいう人やったらイヤやと思う。

ラストに表示される一行。
「アンドレイ・タルコフスキーに捧ぐ。」
アンドレイ・タルコフスキーは、ソ連の映画監督で「映像の詩人」と呼ばれた人だとか。
ラース・フォン・トリアー監督が、アンドレイ・タルコフスキーに傾倒して、この作品を作ったのでしょうね。
私はアンドレイ・タルコフスキー作品は、観た事ないのですが『惑星ソラリス』というSFが面白そうなので観てみようかな。

映画「アンチクライスト」について、納得のゆく解釈をしているブログさん
↑私はキリスト教に関しても、ラース・フォン・トリアー監督に関しても、ほとんど知識がないので、このように見事に映画を読み解く事が出来ませんでした。
ご自身の映画通ぶりをひけらかす事もなく、
ウザい自己陶酔的自分語りを差し挟む事もなく、
淡々と知的に、
このように納得しやすい解釈を披露されているブログさんは稀なのでとても貴重な存在に感じます。