映画 恋の罪(R15指定) ネタバレ・あらすじ | 映画 ネタバレ・あらすじ・結末 最終回まで~ドラマもね

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邦画のご紹介です。

映画 恋の罪(R15指定) ネタバレ・あらすじ

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映画 恋の罪 概要


2011年公開の映画。
監督:園子温
出演者:水野美紀/冨樫真/神楽坂恵
1997年に渋谷区で発生した東電OL殺人事件が元ネタになっている。

映画 恋の罪 ネタバレ・あらすじ



90年代。渋谷区円山町のラブホテル街には、デリヘル嬢や立ちんぼが大勢いた。
そんな街の一角にある古びた廃屋で、女性の、猟奇的な変死体が発見される。
女刑事の和子(水野美紀)が、携帯でその事件の知らせを受けたのは、自身が浮気中のラブホテルでだった。
タクシーを拾い彼女が現場に駆けつけると、幾つかのパーツに切断されたその遺体は2体のマネキン人形と組み合わされていた。
その1つには赤いスリップドレスを着せて横たえられており、もう1つはセーラー服を着せて座らされてあった。
そして、壁には血で大きく「城」の文字が…。

警察は、
遺体の状態から殺害された日時を割り出し、その日の前後から失踪・行方不明として届けのあった女性を調べる。
その中にはベストセラー作家、菊池由紀夫の妻である菊池いずみ(神楽坂恵)30歳も含まれていた。
更に、事件の発生から11日後に、行方不明の届けが出されたのは、東都大学教授の尾沢美津子(冨樫真)39歳。

実は、菊池いずみと尾沢美津子は知り合いであり、しかも知り合った場所は円山町のラブホテル街であった。
和子が、片や被害者、片や失踪者である菊池いずみと尾沢美津子に行きつくまでに数日を費やした。

以下に語られるのは、菊池いずみが、尾沢美津子に出会うまでの顛末である。

いずみは、まるでメイドのように夫(津田寛治)に仕えていた。
夫は作家であるのに、サラリーマンのように毎朝出勤し、夜9時に帰宅する。
そんな風だから、いずみは一人で過ごす長い一日を持て余し、愛している夫とも、めったに夫婦としての濃厚な時間を持つ事が出来ず日々、虚しさと孤独を感じていた。
かと言って、特に夫婦仲が悪いというわけではない。
毎夜、寄り添って眠っていたし、いずみは夫を信じていた。
夫の方でも、いずみがキチンと家を整えて自分に仕えているならば日中は、友達と会うなり、仕事を持つなり、自分の好きにしていいと理解を示してくれる優しさもあった。
そこでいずみは、スーパーの試食販売のパートの仕事に就く。
その勤務中に、モデル事務所をしていると語る土屋エリ(内田慈)にグラビアをやらないかと声をかけられる。

「最初は気軽に遊びに来るだけでもいいから。」と言うエリの言葉に乗せられて、いずみが、撮影現場に行ってみると、そこにいたスタッフ一同は「かわいい!」「綺麗だ!」と、
いずみを、大変な歓迎ぶりで、
あれよあれよと言う間に撮影の被写体になっていた。
そして、撮影の内容は徐々にエスカレートして行き、最終的には裸になって男優と絡む動画をカメラに収められる。
結局、そこはグラビアのみならず、AVも制作する会社で、
豊満な肉体と男好きするルックスを持ついずみはAV女優として、エリに発掘されたという事であった。

この経験が切欠で、いずみは、女としての自分を開花させる快感を覚え、大きく胸の谷間を露出した服装で街中を彷徨い歩くようになる。
そんないずみに声を掛けてきたのが、カオル(小林竜樹)である。
背が高く、ボーラーハットに白いシャツに白いコートという服装のカオルは浮世離れしていた。
まだ気取りの残っているいずみは、一旦は、彼に背を向けて歩き出す。
しかし、一人でフラフラとホテル街の方へ向かってゆく彼女を
堕とす事などカオルにとっては他愛もなかった。
後をつけてゆき、まんまとホテルへ誘い込む。

このカオルを介して、いずみと美津子はホテル街の道端で知り合ったのだった。
それ以来、いずみは、どんどんと美津子に傾倒していった。
美津子が凛とした佇まいで、大学教授をしている昼間の姿を見たいずみは、文学の素養のある美津子の言葉をすべて信じ込むようになる。
「言葉なんか覚えるんじゃなかった…人はみんな城の入り口を探している。」
それは美津子の亡き父が生前作った詩であった。
詩人であり、画家でもあった美津子の父を、美津子は心から愛していた。
それは肉親としての愛ではなく、異性に対する感情であったと、いずみに語り聞かせた美津子。
その愛は、城の入り口を探して彷徨えど、けっして見つけ出す事が出来ないように、一生、辿り着く事は出来ないのだと自覚していながらも、父への思慕に焦がれて生き続ける美津子。
そんな彼女にとって真実の愛は父への愛だけで、
身も心も捧げるべき愛もまた父への愛だけであった。
だから「本当に愛する人以外とのどうでもいいSEXにはお金を介在させなきゃダメなのよ!」
そう諭されて、確かにそうだと思ういずみは、夫を心から愛していた。
だが…ある日、その夫が、小説を執筆するために、
何度も何度も、あの廃墟の家で、美津子を抱いていた事が発覚する。

初めていずみと会った日に、彼女が自分の常連客である菊池由紀夫の妻であると知った美津子は、内心では、いずみの惨めさを嘲笑いながら、あたかも、いずみの寄る辺なき渇望した心を指導するかのように振る舞っていた。
その事が発覚した日、あの廃屋で、美津子といずみは、取っ組み合いの喧嘩を始める。
その現場には、カオルと、そして実の娘であるにも関わらず美津子を軽蔑し嫌う美津子の母がいた。
美津子は、本当のところは死ぬ機会を待っていたから、この時とばかりに、いずみをけしかけて、殺されようとしていた。
美津子の母もまた由緒正しき自分の家系の汚点でしかない娘が死ぬ機会を待っていた。
だから、美津子の母もまたこの絶好の機会を逃すまいと、いずみをけしかけて、美津子を殺めさせたのであった。

その後の警察の捜査により、遺体が美津子であった事が確定した。
和子が部下と、美津子が母親と二人暮らしをしていた家を訪ねると、
そこには、いくつかのボストンバックに分けて収められた、美津子の身体のまだ発見されていない部位があった。
そしてその前には清々した表情で、美津子の母が座っていた。
そして、その奥の部屋からは、カオルの首つり死体が見つかる。

和子は、失踪したいずみの夫、菊池由紀夫の自宅を訪ねた時、
菊池由紀夫が体裁を取り繕う姿を眺めていて、愛の不在に嫌気が差した。
自分自身の暮らしにも似たような虚ろな陰があり、これ以上この事件を追及すれば、自分自身の渇望した心と対峙するようなようで辛くて、この事件の捜査から遠ざかりたかった。

いずみは、依然として行方不明になったままであったが…とある漁港で、身体一つで彷徨う彼女の姿があった。