映画『ファイ 悪魔に育てられた少年』ネタバレ・あらすじ・感想(R15指定) | 映画 ネタバレ・あらすじ・結末 最終回まで~ドラマもね

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映画のネタバレ・あらすじ・キャストを最終回までや日本、韓国、中国、米国の映画・ドラマから面白いものを選んでネタバレ・あらすじ・感想を書いています。 

韓国映画(R15/サスペンス映画)のご紹介です。
2018年10月19日の記事を再UP。

映画『ファイ 悪魔に育てられた少年』ネタバレ・あらすじ・感想


映画『ファイ 悪魔に育てられた少年』概要


2014年公開の韓国映画。
監督:チャン・ジュナン
脚本:パク・ジュスク
主演:ヨ・ジング
ジャンル:サスペンス

着想、演出、脚本、キャストのどれもが上出来の映画です。


映画『ファイ 悪魔に育てられた少年』ネタバレ・あらすじ


1998年春の事、
通称「白昼鬼」と呼ばれる殺人強盗グループが、犯行を重ね巷で恐れられていた。
この頃に発生した幼い男の子の誘拐事件も、彼らの仕業であったが、身代金を要求するわけでもなく、その目的は不明のまま事件は迷宮入りとなった。

白昼鬼は、
犯行の痕跡を残さず、目撃者も躊躇わずに殺してしまうので、警察はいつまで経っても彼らを捕える事が出来ないままに7年が経過する。

この頃、高校生の年頃に成長した誘拐された少年ファイは、
窃盗団を構成する5人の男ら全員を父と呼び、
彼らにスナイパーとしての技術を叩きこまれて犯罪に協力させられていた。
どこかの高校の制服を身に着けていたが、実際には学校に通わせてもらっていない。
ただ白昼鬼の犯行に協力した時に、制服姿の方が目立たないから着ているのだと同居する仲間の女性に語るファイ。
普通の家で育った少年ならば、もうとっくに自分の意思を持ち親に反発してくる年頃であるが、ファイはそんな人並みの思春期や反抗期も経験する事が出来ず、ただただ白昼夢の父たちの意向に素直に従って来た。
それは、父たちが独断的で威圧的という理由からだけではなく、ファイが時々見る怪物のせいでもあった。
白昼鬼のリーダーでファイに最も厳しく接するソクテは「悪事を徹底的に繰り返したら怪物は見えなくなる。俺も昔は見えたが、今はもう見えないから。」とファイにそう教え込んでいたのだ。

だが…近頃、白昼鬼のメンバーの間でもファイの養育の仕方で考え方の食い違いが生じていた。
ソクテの片腕とも言える頭脳派のジンソンは、賢くて素晴らしい絵の才能もありながら、自分たちと同じような犯罪者として育てられているファイを不憫に感じていて、密かにファイの海外留学の話を進めていた。
だが、そんな準備があった事をファイ自身に伝える暇もなく、次々に新たな犯罪計画が実施されてしまう。
そんな中、白昼鬼と通じている悪徳刑事から、都市開発のための立ち退きに1件だけ応じない家があり、その住人を殺害して欲しいとの依頼が舞い込み、ソクテらはいつものようにファイを同伴してその家に押し込むのだが…。

映画『ファイ 悪魔に育てられた少年』キャスト


この映画、しょっぱなから、あまりの豪華キャストに圧倒されます。

まず悪党グループのメンバーですが、
シグナルで曲がった事が大嫌いな熱血刑事を演じていたチョ・ジヌンが、どこか抜けてて品のない単細胞で、
サクッと人を切りつけちゃうネアカ男ギテを演じていました。
さらに、いつもドラマでは繊細な医学者から優しい父親や腹黒い汚職刑事まで演じ分けるチャン・ヒョンソンが、知的な雰囲気を漂わせる兄貴分のジンソン。
そして渋い大人の魅力のベテラン俳優のキム・ユンソクが極め付けの冷徹な悪人リーダー、ソクテを。
主演は、幼い時から子役で頑張ってるヨ・ジング君♪~かわいい(。>ω<)ノでもアクションは切れ切れにこなしてたー!
後、比較的、台詞の少なかったドンボム役のキム・ソンギュンは…普段から雑魚なチンピラみたいな役が多いので、いつものイメージ通りでした。

次に、別の悪人グループのリーダー役ですが、
これを人気若手のユ・ヨンソクが演じていました。
映画ではけっこうドライな役もしてたので、
今回は犯罪歴の底深そうな汚れ役でしたが、
私としては、あんまり以前からのイメージとは変わりませんでした。

しかしながら最も感心したのは、長編ドラマ『済衆院』で、善人以外の何物でもない主人公ファン・ジョンを演じたパク・ヨンウが、裏社会と繋がっている悪徳刑事を、ふてぶてしく演じていて、演技の幅を見せつけてくれた事。
役者としては褒め言葉ですが、善人のイメージが見事に崩壊しました。

映画『ファイ 悪魔に育てられた少年』感想


常識から逸脱した酷い環境下で育てられた少年は、とても可哀そうであったが、ストーリーが進行するにつれて、悪人の父親らは、それが、たとえ歪んだ愛情であったとしても、自分なりの愛し方で少年を愛していた事がわかる。
しかし、そうだとしても、ファイの実の父親(と、ファイは、殺害後ずっとそう誤解していた。)の殺害をファイに強要したソクテはやはり悪魔としか言いようがないだろう。

ラスト近くで、5人とファイと、最後に押し入った家のイム・ヒョンテク(イ・ギョンヨン)夫妻の関係性が明らかになるのだが、そこに仕込まれたどんでん返しと白(神)の心を持つヒョンテクと、悪魔の心に支配されるソクテの対比が鮮烈であった。

今回のようなドラマの作中人物が絵が上手であるという設定の場合、時々、あんまり上手ではない場合もあるのだが、この映画でファイが書いていた鉛筆画は本当に上手だった。

私自身も絵を描くという趣味があるからわかるのだが、リアルを紙に写し取るという作業は、その対象へのきめ細やかな愛情に満ちた眼差しがなければ出来ない事なので、ファイの心の根底は、実のところは、本当の父親ではなく、誘拐されるまでの育ての父に似ていたのだろうと思われる。