映画 夢二 ネタバレ・あらすじ・感想 | 映画 ネタバレ・あらすじ・結末 最終回まで~ドラマもね

映画 ネタバレ・あらすじ・結末 最終回まで~ドラマもね

映画のネタバレ・あらすじ・キャストを最終回までや日本、韓国、中国、米国の映画・ドラマから面白いものを選んでネタバレ・あらすじ・感想を書いています。 

邦画のご紹介です。

映画 夢二 ネタバレ・あらすじ・感想



映画 夢二 概要



1991年制作の日本映画。
監督:鈴木清順
脚本:田中陽造
ジャンル:歴史上の人物


映画 映画 夢二 ネタバレ・あらすじ



大勢の紳士淑女が集まり、空に向けて、沢山の紙風船を打ち上げている。
あるいは落ちて来る紙風船に手を伸ばしている。
この頃、夢の中で正体不明の男と決闘をして、額を撃ち抜かれるという悪夢にうなされる事の多い夢二は、いささか精神が錯乱ぎみであった。

それでも色恋は忘れない夢二は、
病身の恋人、彦乃との駆け落ちの約束ため、一足先に金沢近郊の湖畔へと向かう。
しかし、彦乃は現れず、その村では、痴情の縺れから、とある殺人事件が起こり、山狩りが行われていた。
その事件とは、
松という男が、好いて世話していた女と、その女を横取りした金持ち男の脇屋を殺して、山に逃げ込んだというものであった。

夢二が到着したその日、湖上に漂うボートには白い日傘をさした美しい女が乗っていた。
脇屋の妻、巴代である。
彼女は連日ボートに乗って、夫の遺体が浮かび上がってくるのを待っていたのだ。
そんな巴代の美しさに惹かれ通い詰めるようになる夢二。
そんなある日、東京から責め絵の画家、伊藤晴雨のモデルであるお葉が彦乃の手紙を届けに金沢へやって来る。
けれど、その頃には巴代はもはや夢二の虜になっていた。
「もしかしたら、脇屋はまだ生きているのかもしれない。」と感じとりつつ「死んでくれたらいいのに。」と願う夢二は、
わざわざ山の中へ鬼松への差し入れを運び「脇屋はまだ生きているかもしれない。」と伝えて、鬼松が確実に脇屋を仕留める応援をする始末。

夢二が懸念した通り、脇屋はやはりまだ生きていて、ひょっこりと夢二の前に姿を現す。
夢に見たフロックコートの男こそが脇屋だったのだ。
天才画家・稲村御舟もまた、脇屋の葬式に行って来た帰りに脇屋と夢二、お葉の前に現れる。
そこへ、脇屋の生存を嗅ぎつけた鬼松が、馬に跨り大鎌を振りかざして襲いかかって来た。
逃げ惑う脇屋目掛けて、鬼松の大鎌が振りかぶる。
脇屋が怪我をして転んだ直後、稲村御舟が機転を利かせて、鬼松が乗っている馬を動揺させて追い払った。
それから、負傷した脇屋を巴代のもとへ夢二と御舟が運んだが、脇屋の死を信じる巴代は、彼の存在を認めなかった。
失望して去った脇屋は、金沢駅まで来て、病に倒れていた彦乃を助け、別邸に運んで療養させる。
一方、夢二は脇屋が去った直後には巴代に、つれない素振りをしてみせた。

病状が落ち着くと、彦乃は夢二に電話で金沢到着を知らせる。
夢二はまさか彦乃が脇屋の世話になっているとは知らぬまま会話するが、夢二の様子が何となく今までと違う事を女の直感で感じ取る彦乃。

脇屋への礼状をしたため、彦乃が人力車に乗って去る時に、ちょうど車で帰って来た脇屋は、同乗していたお葉から初めて彦乃の素性を知らされ、彦乃を別邸に連れ戻す。
すべてを知った彦乃に「君が夢二に会いに行けばピストルで撃ち殺す。」と脇屋が脅すので、仕方なく彦乃は、別邸で脇屋と共に過ごすという選択をする。

脇屋は本宅に帰ると、葬式を済ませたにも関わらず、知人や芸者を大勢呼びつけて、復活祭をすると巴代に宣言する。

脇屋が復活祭で盛り上がっている頃、
彦乃の献身も知らずに、芸術に悩み苦しんだ後に結局、夢二は巴代の美しき裸体を描いていた。
そんな二人の前に鬼松が再び現れる。
「代わりに私が死ぬ。」と言い脇屋を守ろうとする巴代だが、巴代に恨みのない鬼松にその気はなく、そのうち腰を据えて酒を飲み始める。

「すべてがアホらしくなってしもた。」と言う鬼松は、脇屋殺しを中止して、夢二と巴代と共に出て行き3人でボートに乗り漕ぎ出す。
「あの世へ行く。」と言う鬼松。
夢二が鬼松に言われて手帳に書き取った辞世の句は
「この世には、未練なけれと思えども、やりそこのうて残念なりけり。」
夢二と巴代は、それから首を吊った鬼松の死を見届ける。
(なぜか?鬼松の死に顔がとんでもなくグロい。)

そして、巴代と2人で逃避行を決意する夢二。
しかし巴代は、着替えて来ると言ったきり、戻ってこなかった。
夜が明けた湖畔で巴代を待ち続ける夢二だったが、もう誰を待っていたのかさえわからない。
一面のススキの穂が風にソヨソヨと揺らめいていた。
巴代とすれ違いにこちらへ向かった筈の彦乃も、また夢二に会えない。

夢に見た幻想的な女の後姿は誰だったのだろうと夢二は想う。

[おわり]

映画 夢二 感想



取りあえず、邦画の最大の欠点がない事(音がきちんと取れている事)を評価はしたい。

Movie Walkerのこの映画の紹介によると
「鬼才・鈴木清順の名作。沢田研二を主演に画家・竹久夢二の、女たちとの愛憎と悪夢を夢幻的に描いた異色作。2001年5月26日からニュープリントで再映。」との事だが、
愛憎と悪夢を夢幻的に描いたというよりも、申し訳ないけど悪ふざけ的に描いたとしか見えなかった。
この時の沢田研二さん、幾つなんだろう?
20代の頃の輝くような美貌とは、もう違ってその容姿にはお疲れが見えるのだが。

竹久夢二って、もっと優男(やさおとこ)なイメージがあって、沢田研二の肉食系なルックスとは、ずいぶんとイメージが遠いような…。

脚本が、ちょっと酷すぎる。
あまりのグダグダな展開に途中で眠くなってしまった。
夢二を含むこの時代の好色な男らと、それに翻弄される女たちを集めて、その連中をコマのように動かし、ドタバタと戯れさせているだけの真実味のない作品。
これでは夢二が──愛に誠意のないただのスケベなだけのひたすらだらしない男だった──となってしまうけど、それでいいのか?
夢二の人間性はともかくも、せっかくの大正ロマンという雅な題材を扱いながら、詩情豊かな作品を目指してくれなかった点がとても残念だわ。
せっかく夢二の映画を作るのならば、残されている彼の遺作とモデルとなった女性を、もっと丁寧に紹介するシーンを織り交ぜて見せて欲しかった。

ケチばかり付けたが、衣装や建物など、大正時代の風俗の再現はその少しくすんだような色味も含めて見事だった。

そしてまた、出ている女優さんたちがみな美しい。
その中でも、
ドラマ『天国の恋』で個性的な母親役を演じていた毬谷友子さんの美しさにはドキッとさせられる。
毬谷友子さんって『天国の恋』に出ていらした時も、お顔立ちが整ってらっしゃるのは誰の目にも明らかだったとは思うけど、
若い頃、こんなにもキュートで美しい人だったんですね。