映画 ひまわり ネタバレ・あらすじ・感想 | 映画 ネタバレ・あらすじ・結末 最終回まで~ドラマもね

映画 ネタバレ・あらすじ・結末 最終回まで~ドラマもね

映画のネタバレ・あらすじ・キャストを最終回までや日本、韓国、中国、米国の映画・ドラマから面白いものを選んでネタバレ・あらすじ・感想を書いています。 

洋画のご紹介です。

映画 ひまわり ネタバレ・あらすじ・感想



映画 ひまわり 概要



1970年公開のイタリア・フランス・ソ連合作映画。
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
音楽:ヘンリー・マンシーニ
原作: チェーザレ・ザヴァッティーニ
主演:ソフィア・ローレン
ジャンル: ロマンス
上映時間:101分

映画 ひまわり ネタバレ・あらすじ


第二次世界大戦が終わって2年後。
ロシア戦線に出たきり戻らない夫を待ち続ける妻ジョヴァンナ(ソフィア・ローレン)。

彼女は夫の生存を信じ続けていた。
この日も訪ねて来た役所で、「生死はわからない。」と首を振る職員に
「夫は生きていますよね?!生きているとハッキリ言ってちょうだい!」と詰め寄る。
たいへん気丈な女性である。
諦めたり弱気になる事は、けしてない。
夫の母親には「彼は絶対に生きています。ロシアへ行ってでも、私が見つけて来ますから。」と言って励ます。


ナポリに住むジョヴァンナとアフリカ戦線行きを控えた兵士アントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)は海辺で出会い、
たちまち恋に落ちた。
アフリカへ行きたくないアントニオのために「結婚すれば、12日間の結婚休暇を貰えるし、その間に戦争も終わる。」とジョヴァンナが提案する。
アントニオは結婚を嫌がったが、休暇に釣られたのか?アフリカ行きがどうしても嫌だったのか?
結局、ジョヴァンナと教会の鐘を鳴らした。

アントニオの田舎で12日間の結婚休暇を満喫した2人だったが、更なる徴兵逃れをしようと、
ジョヴァンナ協力の下、今度は精神を病んだ芝居をするが、最終的には精神科の医師に芝居を見抜かれて、
ロシア戦線への出征が確定する。


戦地へと向かう列車が出る前の僅かな時間。
愛し合う2人は、離れがたく、固く抱き合い再会を誓った。


そして終戦から2年以上の歳月が流れたが、戦地から帰って来る兵士の中に、
未だアントニオを見つける事が出来ないジョヴァンナだった。
だが、そんなある日、ジョヴァンナは、ようやく同じ部隊にいたという男を見つけ出し話を聞く。
重い口を開いて男は語った。
ロシアの「ドン河」という所までは一緒だったが、そこで、アントニオは一歩も歩けなくなり、雪原の中へ置いて来たと。

ロシア兵に四方を囲まれながら、冷たい風が吹きすさぶ極寒の雪原を行くイタリア兵たち。
3分も立ち止まったりしようものなら氷り付いて動けなくなる。
行けども行けども雪と氷、飢えと顔を切り裂く風。
暖を求めて、ようやく辿り着いた山小屋は、先客で満員で、仕方なく再び雪原の中を歩み出す。
何人もの兵が動けなくなり倒れて行く。
どうにか助けてやりたいが我が身も危ない。
あの地獄は…行った者でないとわからないと男は話した。

「雪の上に置き去りにしたの?手を貸そうともせず見殺しに?酷い人たちね!」とジョヴァンナは男を責めた。
「だが事によると、誰かに救助されたかもしれない。」と言って男は去った。


ジョヴァンナはアントニオの写真を持ち、ロシアへ行った。
役所の男性が同行してくれて、彼が消息を絶ったというドン河のあたりに行った。
そこは一面のヒマワリ畑が出来ていて、その下には多くのイタリア兵と現地のロシア人らが眠っていると言う。
かつての痛ましい日々を拭い去るように、風に揺らめくひまわりの花たち。

また墓標の立っている一角もあったが、ジョヴァンナは、そういう場所へ行っても
「彼は、ここにはいない。」と言い切った。


それから、役所の男とも別れて、
たった一人、ウクライナの街を彷徨い彼の写真を見せて、知っている人を探した。
そんな中で立ち寄った、とある駅で見かけたイタリア人男性に声を掛けたジョヴァンナ。
当初その男はイタリア人である事さえも否定した。
しかし、ジョヴァンナが何度も「あなたはイタリア人よ。」と言うと、
やっとそれを認めて「だが今はロシア人だ。」と言いアントニオの写真を見て「知らない」と言って去った。
けれどジョヴァンナは、
アントニオもまた、あの男のように、イタリア人である事を伏せて、何処かに隠れ住んでいるかもしれないと希望を持った。

それからも尚、道行く人たちに、アントニオの写真を見せては探し続け、
とある村で、ようやく、彼の消息を掴んだものの、彼はもうこの地で他の女性と結婚し子供までいると知って、
心が砕けた。
アントニオの若い妻マーシャは、ジョヴァンナを夫が仕事から帰り着く駅に連れて行った。
マーシャは、雪原で凍り付いて死にかけていたアントニオを家まで運んで助けた命の恩人だったのだ。


やがて汽車が着き、労働者が次々と降り立つ中にアントニオの姿もあった。
何も知らない彼はマーシャを見つけると、いつものようにキスしようとしたが、
マーシャがそれを制止し、離れて立っていたジョヴァンナを振り返り指さして見せた。
驚き息を飲むアントニオ。
睨みつけるかのように立ち尽くすジョヴァンナ。
かつて愛し合った二人は、互いに駆け寄る事も出来ずに、数秒の間、互いを見つめ合った。

けれども、次の瞬間、
居たたまれない疎外感に襲われていたジョヴァンナは、逃げるように汽車に飛び乗る。
汽車の中で席に着くと、手で顔を覆い声を上げて泣き崩れるジョヴァンナ。
周囲のロシア人たちが不思議そうに彼女を見つめていた。
一方、アントニオは茫然として、遠のいていく汽車を見つめていた。

生きていると信じて、ようやく苦労の果て再会した愛しい人は、
自分の事など忘れて、若く美しい異国の女と新しい家庭を築いていたのだ。
激しく自尊心を傷つけられたジョヴァンナの心は愛から憎しみへと変わり、
ナポリへ帰ると、アントニオの写真を引き千切り、窓から投げ捨てた。

あの出来事から暫くして、アントニオとマーシャ夫妻は、元いた古い一戸建てから新築の高層マンションに引っ越すが、
新生活に心弾む日の筈なのにアントニオは終始、沈んだ顔をしていた。

ジョヴァンナを傷つけたのに、何も出来なかったあの日の突然の再会があまりに辛くて、彼もまた傷ついていた。
彼の様子にマーシャは、アントニオの心がジョヴァンナにある事を察し「もう私を愛してないの?」と泣いた。

それから1年余りの月日が流れた頃、アントニオはジョヴァンナに会いたさに、
故郷の母が病気であると嘘をついて、ナポリへと遥々帰郷する。
アントニオの本心を知ってか知らずか?マーシャは快く彼を送り出してくれた。

ところが、その頃ナポリでは、ジョヴァンナは既に再婚していた。
一時はアントニオを失い自殺も考えたが、
今は彼との幸せな日々も辛い再会も、過去の思い出に変える事が出来たと思っていた。

あいにくの嵐の夜に駅に到着し、そこから電話をくれたアントニオに「二度と会わないから、帰って!」と
1度はつれなくしてみたものの心の内は揺れていた。
2度目の電話は断れず、彼に家の住所を教えて、嵐による停電の中で、ようやく再会した2人。
アントニオは彼女に、こうなってしまった経緯を話すのであるが、
ジョヴァンナを目の前にすると、最早もう彼女の事しか考えられず「もう一度二人でやり直そう!」と言い出す。
ジョヴァンナは「そんな事はもう出来ない。無理よ。」と言って拒絶する。
その時、隣室から赤ん坊の泣き声がした。
ジョヴァンナもまた再婚相手との間に子供を授かっていたのだった。
それを知ったアントニオは、来る前にロシアで買い求めた毛皮の襟巻を手渡すと諦めてロシアへ帰る。
今度は駅で、ジョヴァンナがアントニオを見送る。

戦争が引き裂いた2人の愛と人生だった。
過ぎ行く列車を見送るジョヴァンナの瞳には、再びまた悲しみの涙が込み上げた。



映画 ひまわり 感想


この映画の哀愁は筆舌に尽くしがたく、一度観れば、深く心に残る名作なので、未見の方は是非一度、ご鑑賞下さい。
戦争の残忍さ、理不尽さ、上に立ち、国をつかさどる者たちの無責任さ、それに翻弄される人々の哀しみが胸に迫ります。

ジョヴァンナがアントニオの妻として過ごしたのは一ヶ月にも満たぬ短い日々だった事でしょうが、
言葉も通じない異国へと飛び、一心不乱に彼を探し彷徨う彼女の姿に、
時の長短には関係のない深い思慕の情が見て取れます。

そして…突然の喪失感。
「喪失感を知りたければ、この映画に見よ。」っていうくらいのものですよ。
しかし愛とは矛盾しているものですね。
「大切な人だから、生きてさえいてくれれば。」と強く願ったであろう心が一瞬のうちに転覆してしまう。
「死んでくれていた方がマシだった。」とさえ思えてしまう。
憎しみと背中合わせにあるのが愛なのでしょうか?
でも、死による喪失は、この喪失よりも、もっと耐え難い苦しみを伴う事を、心のどこかでジョヴァンナも本当はわかっている筈なのです。
だからこそ、持って行き場のない悲しみを爆発させて写真や彼の残した衣服に八つ当たりをしていたのだと感じました。
女の立場から、とても感情移入しやすい映画なのですが、
男性の目から見ても、アントニオの視点で考えれば
「俺だってそうなるよ。あんな綺麗な人に命を救われたら
好意を拒める男なんていない。」となるのかもしれませんね。
かと言って故郷に残してきた妻への愛を消し去ったわけではない。
どうにも板挟みのこの感じは男冥利につきるけど、実際に経験したとしたら、相当キツイものではないでしょうかしら?

人の世の喜怒哀楽とは無縁に、ただ無心に咲き誇る無数のひまわりの花々。
その無心さが、人の世の無常さに翻弄された人の目には羨ましく映るのだと思います。