このドラマが毎回、他のドラマに比べて抜きん出て優れているのは、脇の人物をフューチャーするにしても、その回のテーマを明確に打ち出して、かつ全体の筋も進めていくところにあります…
前回は「男の器量」というテーマで恭太郎(小出恵介)がフューチャーされましたが、今回は野風(中谷美紀)が「男と女の意気地」というテーマでフューチャーされる回でした。
TBS 日曜21時
「JIN-仁-」第9話
主演―大沢たかお
脚本―森下佳子
演出―山室大輔
「意気地」って言葉は今では「意気地なし」とかで使われるぐらいで、使われなくなった言葉ですが、江戸時代には…それぞれが己の意気地を貫くのが美徳とされてたわけです。
心意気とも意地とも微妙に違うニュアンスを持った言葉です…
江戸のヒーロー的な火消しには火消しの意気地があります。医者なんぞに火事場で何ができる…と辰五郎親分(中村敦夫)に挑発され、今度火事が起きたら火事場に駆けつけ医者の意気地と度胸を見せることを約束する仁(大沢たかお)。
そんな時、野風から急な呼び出しの手紙が来ます。
野風は身請けが決まり、恋しく思う仁との絆を持っておきたいと、一度でいいから一夜を共にしたいと考えていたのです…
咲(綾瀬はるか)から仁には心に思う人がいると聞かされ、咲には医術という仁との絆があるが自分には何もないと嘆いていた野風…
そんな野風が仁への切ない恋心を遂にぶつけます…
恋しい方がいるなら、その方の名で自分を呼んでくれていいから、今宵は…どうか…
未来とそっくりの野風にそんなこと言われたら、仁もぐらつきますよね…
しかも薄くなっていた写真の中の未来が濃くなっているし…
(消えかけてたスポンサーのサントリープレミアムモルツがまた見えてきた…)
二人がいい感じになったところで…火事を知らせる半鐘の音が…
約束したから行かねばならないと言う仁を行かせる野風。
うーん
切なすぎる…
やっと、やっと想いを遂げられそうだったのに…
火事場のシーンはさながら江戸時代版「コード・ブルー」のノリ。赤黄緑の布を細く切って、おなじみのトリアージを始めた時は、オ~っと思いましたね…
土蔵の中を臨時の治療所にして、次々救っていき、最後には火消しの仙吉(川村陽介)が気道火傷して呼吸困難になっているのを、ノドを切り開き救います…
火事場で死ぬのが火消しの意気地だ!と主張する辰五郎を退け、仙吉を運ぼうとする子分たちに「患者に触るな!!」と怒る仁の気迫は凄かったですね…
火が迫っても逃げ出さず土蔵の中で治療を続けた仁に医者の意気地を見た辰五郎は、仁のことを認め、今後の援助を約束しました…
手抜きのない迫力のシーンが続き、目が離せませんでした…
しかし、今回最も泣かされたのは、その後の野風と龍馬(内野聖陽)のシーンでした…
朝、龍馬が部屋をのぞくと野風がぽつんと1人…
事情を察した龍馬が、泣きたい時は泣いたらええんじゃあ~と言いますが…
まことの涙を流さぬのが女郎の意気地でありんす…
と強がりを言います…
そこで、これなら見えんじゃろうと、優しく肩を抱いてあげる龍馬。
龍馬は何て優しいんだ~
たまらず龍馬の肩で涙をハラハラ流す野風。
「わちきは雪になりとうありんす…雪になればいつ何どきでも先生の肩に落ちてゆけるでありんしょう…」
う、う、(T-T)
こんなに吉原の遊女の切ない悲しみを描いたドラマがこれまでにあったでしょうか…
しかも肩に降ったらすぐ解けてしまう雪に自分をたとえるなんて…
悲しすぎる…
しかも、胸にしこりが…
って乳がんらしいんです!?
身請け前の体の検査を仁にお願いしたいと鈴屋の主人に頼む野風。
しかし、仁の体にも異変が…激しい頭痛は、なぜ?
龍馬に暗殺が迫ってもいて…
いや~盛り上がってます…
今回の評価は…満点に近い
ホント終わるのが残念です…