普段はあまり映画の批評は書いていませんが、ある読者の方からご要望がありましたので、書きたいと思います…
昨年公開され、最近DVDがレンタル開始した
「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」
ベトナム出身でフランスに移住したトラン・アン・ユン監督によるフランス映画です。
アメリカのジョシュ・ハートネット、
日本の木村拓哉、
韓国のイ・ビョンホン
の3大スター競演が売りの映画です。
しかし、レンタルビデオ屋で借りようかな…と思ってた方はくれぐれも軽い気持ちで借りないでください。
見るのに覚悟の要る作品です。
なぜなら、目を背けたくなるような残虐、不快なシーンがてんこ盛りで、なぜこの3人にこんなことをさせんのか?とファンの方であればあるほど不愉快になるはずだからです!
どんな映画かと言うと、ストーリーがセリフでつむがれていく映画ではなく、セリフはごく少なく、監督が脚本も兼ねているため、監督の気分で撮ったような趣味性の強い作品。私めが最も苦手とするタイプの作品です。
キムタクもイ・ビョンホンも英語が下手だからなのか、ほとんどセリフがありません。
で、この監督ってドSなのかと(しかもホモかと思うほど3人がやたらと上半身裸…(汗))思うほど苦しむ、痛がる、傷つく…
ジョシュは過去に犯した自分の罪で…
キムタクは他人の痛みや苦しみを自分が代わりに引き受けて…
ビョンホンは愛する女を独占したいために…
特にキムタクは、まるでキリストのように、しまいにゃ十字架に釘で打ちつけられて…痛い…痛い…
よくこんな役をやったな…と思わずにはいられないほど…
でも、見ていて実はキムタク、楽しかったのでは…と思ってしまいました…
日本では、ドラマでどうしても「キムタク」であることを求められるのと違って、ここでは「キムタク」である必要はなくて、監督の要求にそうようにとことん突っ込んだ演技ができるのです。
私めは木村拓哉という人はプロフェッショナルであるために努力し、器用にそれをこなす人だと思っているので、この役のような難しい課題を与えられるとすごく燃えるんだと思うのです。
おそらく山田洋次監督の「武士の一分」の時もそうだったんだろうと思いますが…
木村拓哉ってそういう人だと思うのです。
だから、この映画に出ているのは「キムタク」ではなく、「木村拓哉」として見てあげなければいけません。
涙ぐましいまでに頑張ってますよ…他の2人に負けまいと…
「キムタク」であり続けることに、ストレスがたまってしまった彼のもがきのようなものを、私めは感じてしまいました。
キムタクが出ているのに、この映画はヒットしませんでした。
自分が主演するドラマは必ず視聴率を取らなければいけないキムタクにとって、この映画がヒットしなかったのは、別に苦にはしていないでしょう…
それを見越した上で、それでも彼は出演を決めたはずですから…
日本映画でも、若手の優秀な監督による「木村拓哉」主演の映画を見たいものだと思います。
( ̄▽ ̄)b