このドラマが一筋縄ではいかないところは、ただ正義に燃える査察官と脱税のプロの戦いを描いているだけではないところにあります。
人物のダークサイドにまで踏み込むドラマなんですね…
今回はそれが明確に打ち出された回でした。
NHK 土曜21時
「チェイス~国税査察官」第3話
主演―江口洋介
脚本―坂元裕二
演出―山本晃久
前回はARATA演じる村雲の圧倒的な存在感に、食われてしまった江口洋介演じる春馬でしたが…
自分が尊敬していた元上司(石橋蓮司)が今は税理士として脱税の手引きをしたことが分かり…
それを本人に問い詰めると、その上司が必死で追いかけていた政治家の案件を、今の上司(奥田瑛二)が保身のため検察に譲ってしまったのを知り…
そんな無力感から脱税する側に回ったことを知らされます…人間は脱税するぐらいの方が面白いんだと…
石橋蓮司も奥田瑛二も一筋縄ではいかない人間の裏側に潜む闇を演じてみせました。
そして、春馬本人も妻が死んだ飛行機事故に財津(佐藤二朗)がからんでるかもしれないと、妻を殺した者への復讐心をあらわに責め立てるのです。
もはや正義どころではなくなってしまってるんですね。
そんな春馬に同じ遺族のふりをして近づく村雲。
その村雲はどうも檜山の父親(中村嘉津雄)に恨みがあるらしく、その復讐のため檜山親子に近づいているようなのです。
その村雲と檜山が初めて顔を合わせるシーン、なんでもない顔をして村雲の魂胆を見透かそうとする中村の演技が、ARATAもかすむ迫力で、まさに役者が一枚も二枚もウワテという感じでした。
このドラマ、脇を固める役者が皆クセ者ぞろいで、益岡徹や田中圭に至るまで、ハズレがない見事なキャストです。
あと3回で終わってしまいますが、春馬はどう事故の真相に迫り、村雲の正体を知るのか?村雲は檜山にどう復讐するつもりなのか?展開が気になりますね。
今回の評価は…
パーマネントトラベラーとか現在行われている脱税の手口を知ることができるのも、このドラマの楽しみの一つです。
税金というものがある限り、脱税する側と暴く側の知恵くらべは続くんでしょうね。
( ̄▽ ̄)b