私めは難病や闘病ものの映画やドラマが基本的にはあまり好きではありません。
どうです?
この人かわいそうでしょう?
泣けるでしょう?
という作り手のあざとさが見え透いてしまうからです。
なので、この「美丘」というドラマも、そのへんがどう描かれるのか…気になるところでした。
しかし、幸い杞憂に終わり、リタイアせず最後まで見てしまいました。
変にお涙ちょうだい的に作らなかったのは、評価したいと思いますが、結局泣けずに終わってしまった物足りなさも実のところありました。
言ってることが矛盾しているようですが、うまく泣かせて欲しかったんです。
この手のドラマってお約束なところがあるので難しいとは思うんですが…。
他のドラマレビューを読むと、主演の吉高由里子の演技に抵抗感を抱いている人が結構いるんですね。
私めは「あしたの喜多喜男」に出ていた時から、面白い女優が出てきたな…と注目していたので、あの甘ったれネコ的な演技は個性と思って、気にはなりません。
むしろ、憎まれ口をたたく裏側にあるもろさやけなげさの表現のうまさに目を向けて欲しいと思いました。
今回の美丘という役は、どこまでも残りの日々を前向きに生きようとする姿勢が共感できるところで、だからこそ病状が悪化していっても悲惨な感じがしなかった…
それが救いでした。
あと、美丘を支える太一役の林遣都の純粋さも、良かったと思います。
小細工せずにストレートに演じている感じが、平凡な学生が巻き込まれた状況をリアルに表現していました。
このドラマで私めが気になったのは美丘の母親役の真矢みきの演技。
この人の演技パターンなので仕方ないんですが、つい大げさな芝居をするのが、鼻につくところが多々ありました。
父親の寺脇康文や主治医の谷原章介が抑えた演技なので、余計気になったんですね。
あと、このドラマの主題歌、福山雅治の「蛍」は、心に響くいい曲でした。
この手のドラマは特に主題歌が大切であることを、改めて認識させてくれました。
全10回の平均視聴率は…
9.7%
最高 ♯9 ♯10 10.6%
最低 ♯3 8.0%
ラスト2回が最高視聴率という、今クールの中では珍しいパターンの視聴率でした。
平均が10%を超えなかったところに、このドラマの物足りなさがあらわれている気がします。