担当する演出家によって作品の雰囲気がガラリと変わるこのドラマ。
今回は第6話を担当したプロデューサーも兼ねる韓哲。第6話では絶対音感を持つ女性の苦悩を描きましたが…
シリアスな人情ものという作風の人のようで…
マイノリティの抱える苦悩を真摯に描こうとするところがあって…
今回はサブァン症候群である息子アタル(中居正広)を育て、手放さざるを得なかった両親(市村正親、原日出子)、そしてアタル本人の苦しみ、哀しみが描かれました。
TBS日曜21時
「ATARU」第9話
主演…中居正広
脚本…櫻井武晴
演出…韓哲
今回は沢(北村一輝)と舞子(栗山千明)がアタルを実家へ連れて行きました。
舞子に母親がアタルへの思いを明かすのを寝たふりしながら聞いているチョコザイが切なかったですね。
両親への手前、「アタルくん」と呼ぶ沢や舞子に対して、いちいち本人が「チョコザイ…」と言って反発するのが…
自分を厄介払いした親への怒りが込められて聞こえたのも印象的でした。
このドラマではあまり中居の演技に感心はしてこなかったんですが、今回は哀しみの深さをにじませるものがありました。
親から預けられたラリー(村上弘明)のもとで、捜査の道具に仕立てあげられたチョコザイ。
手のひらの傷から、捜査に協力させるのは虐待だとラリーを沢は責めます…
捜査を終えると必ず涙を一筋流していたのも…なるほどな…という感じでうなずけました。
韓哲はこのドラマの脚本家櫻井武晴がシナリオ協力していた「新参者」でも演出していたので、一番脚本と演出がしっくり行っている気がします。
絶対音感や放電体質とか、特殊能力を持ってしまった者が背負う苦しみを、このドラマは描こうとしていることが、後半になりようやく分かってきました。
アタルに戻って生きていくのか…
チョコザイとしてラリーとあるいは舞子と生きていくのか…
引っ張り続けている舞子の母親の死の謎など…
気になることが残っています。
今回の評価は…