今クール、私めが最も期待しているドラマがこの作品です。
9日スタート
フジテレビ 火曜22時
「ゴーイング マイ ホーム」
主演…阿部寛
脚本・演出…是枝裕和
テレビドキュメンタリーのディレクターとして秀作を作ったのち、
映画監督へと転身し、 「誰も知らない」や「歩いても歩いても」などの
名作を撮った是枝裕和。
どんな心境の変化なのか、その是枝が初めて連続ドラマの脚本を書き、
演出するというのが、この作品最大の目玉。
最近の連続ドラマは脚本も演出も複数が回によって担当する形が
多いのですが、 それを全話1人でやろうというのですから、
それは偉業ともいえる作業です。
公式サイトの是枝氏のインタビューによれば、最後の3話以外は
既に書き終えていて、 撮影を進めながら柔軟に最後の方は
書き変えていくそうです。
あえてホームドラマを選んだのは、家庭の中で起きている些細な
出来事や ありふれた会話を組み込みながら、取るに足らない話を
ほじくり返そうという 意図のようです。
自分の中に核として向田邦子の存在があると語っているように、日常の
ありふれたエピソードの中で人間の深い部分を描くというのが狙いだと
察します。
既に映画では「歩いても歩いても」でその試みを成功させていますから、
それをドラマでもやってみようということなのでしょう。
「歩いても歩いても」でも主演した阿部寛と再びタッグを組むのも、
無理からぬことですし、向田作品と縁の深い山口智子をその妻役に
オファーしたのもうなずけます。
今回阿部が演じるのは人が良く憎めない性格で家庭でも職場でも
板ばさみ状態の CM制作プロデューサー坪井良多。 父親が倒れて
入院した長野で、謎の女性(宮崎あおい) や謎の男性(西田敏行)と
出会い、 自らの家族関係を見つめ直していく…というお話。
良多の父に夏八木勲、マイペースな母に吉行和子。
ちゃっかり者の姉にYOU。 気弱なその夫に安田顕。
良多の部下に新井浩文。長野でよく使うタクシー運転手に阿部サダヲ。
実力派ばかりのキャスティングで、そちらも楽しみの一つ。
ただ、ちょっと心配なのは、長野の大自然でクーナという妖精がいると
信じている 人々と信じられない人々を対比させるというもう一つの是枝の
もくろみがうまく いくかどうかという点。
ファンタジックな話すぎてしまうと、シラケるかも…。
一般的な視聴者には是枝だからという興味はあまりないでしょうが、
阿部寛の主演であること。珍しい山口智子や宮崎あおいが出ることで、
関心はあるはずなので、大コケはないかと…
ただ題材の地味さで初回は高くても、結局は11~13%くらいで落ち着く
かなと予想します。
たとえ視聴率が低くても質の高さを最後まで維持してくれれば、
私めは本望です。