坂元裕二の脚本は突きつけてきますね~見る者に…。
人間が人を愛し憎むことの、理屈では簡単に割り切れない奥の深さを…
セリフの行間にこめられた底知れぬ闇のようなもの。
母と娘、姉と妹。同性だからこその難しさを思い知らされる回でした。
日本テレビ 水曜22時
「Woman」第3話
主演…満島ひかり
脚本…坂元裕二
演出…相沢淳
植杉(小林薫)は何とか紗千(田中裕子)と小春(満島ひかり)母娘に仲良くなってもらいたくて、小春に子供たちを昼間預かるという申し出をします。
言葉に甘えて預ける小春。
孫たちにもどこかそっけなく距離を置く紗千。
子供たちを小春が引き取りに来たところで、直接顔を合わせると、
せっかく小春もよく作るちくわのチャーハンを紗千が作ってくれて場が和みかけたのに…
些細なことで紗千は小春に食ってかかります。
ピアノのレッスンに行かず嘘をついた…
私が肺炎になっても見舞いにも来なかった…
そして、
たまにしか帰ってこないで娘を甘やかす父親にばかりなついて…
お父さんみたいな小説家になりたいって作文に書いた…
話が父親のことになると、小春もカチンと来て、小説を書いてもダメ、仕事も転々とした父親は社会的にはダメでも私にはいい父親だったと弁護します。
苦労して育ててくれた大切なお父さんだと…
何言ってんのとばかり苦笑する紗千に家族を壊したのになぜ笑えるのか?と食ってかかる小春。
植杉はボタンの掛け違いなんだ…と、なんとかとりなそうとするんですが…
植杉と紗千との間の子供、栞(二階堂ふみ)が、陰でやりとりを聞いていて…
小春に向かい敵意むき出しで、植杉は紗千に暴力をふるっていた小春の父親から、紗千を守っただけだとぶちまけます。
あなたがお母さんを捨てたんだし、
あなたが人間のクズみたいな男を選んだのに、なぜお母さんを責められるのか…
「あなたがいい父親だと思っていた人は人間のクズで、それで死んだ人のことをキレイな思い出にして、生きている人間傷つけて…」
「あなたの結婚相手だって…痴漢して、それで死んだんだし…」
義理の妹から姉に突きつけた、あまりにも痛烈な言葉。
息苦しく、やりきれなく、重くよどんだ空気。
いくらか救われたのは、紗千が小春の娘の望海のために、小春が着ていた浴衣を着せてくれ、貰ってもいい?と聞く望海に「いいよ」と言ったこと。
帰りしな、小春が見送らない紗千に聞こえるようにチャーハンおいしかったです、と言うのを聞いている紗千の背中が少し嬉しそうだったこと。
小春の息子陸が置いていった紙のパトカーをなんとなしに触るしぐさにも、それが伝わりました。
田中裕子、満島ひかり、二階堂ふみの演技バトル、実に見ごたえがありました。
男同士ではこうはならないあけすけな感情の吐露、
理屈で言えば、やはりいくらDVされても娘を置いていっちゃダメでしょう…とも思いますが、
これが息子なら連れて行ったのでは?とも思うんです。自分より夫になついた娘がどこかで許せなかった…
母と娘ゆえの複雑な感情…
それでもどこかですまないという思いもあり、それが栞への強い愛情ともなった…
紗千を慕い、紗千を苦しめる小春を許せない栞。しかし、小春の夫・信(小栗旬)の死が栞への痴漢行為のためでそれが栞のでっちあげだとしたら…
話は複雑になっていきます。
小春は父親の紗千へのDVを全く覚えてないのか?父親の記憶を美化してしまっているのか?そこも気になります。
今回の評価は…
Android携帯からの投稿