42.3%という歴史的な視聴率で最終回を飾った「半沢直樹」
放送前は誰一人こんなことになるとは想像しえなかった、その爆発的なヒットはなぜ生まれたのか、その要因を私めなりに考えてみることにします。
1 誰もが望んだ「倍返し」
ヒットドラマには古くは「家なき子」の「同情するなら金をくれ」近くは「家政婦のミタ」の「承知しました」のようにきめゼリフが存在します。
今回の「半沢直樹」では初回から「やられたらやり返す、倍返しだ!」のセリフをフューチャーし、倍返しが10倍返し、100倍返しとエスカレートしていきました。
この「倍返し」は「あまちゃん」の「じぇじぇじぇ」や林先生の「今でしょう」をしのぐ勢いで、たちまち流行語になりました。
これが絶大なクチコミ効果となり、視聴者をグイグイ増やしていったのです。
なぜ、そこまで「倍返し」が流行ったのか?それはみんなが言いたい言葉だったからです。
これはドラマのテーマにも関係してきますが、今の世の中は長く続いた不景気にようやく明るい兆しが見えてきたかな~という時代です。
長いこといろんなことに我慢してストレスがたまっていた人々は、そろそろ爆発させたい時期に来ている。
でもまだ、会社の上司に逆らってクビになろうものなら、就職先をさがすのは大変なのはわかっているから逆らえない…
そんな願望を半沢直樹が代わりにドラマの中でかなえてくれるのです。
人間関係のストレスは単に会社に限らず、ほかにも学校や主婦仲間、どこでもあることですから幅広い世代が、半沢直樹の倍返しを望んだというわけです。
2 日本人の勧善懲悪好き
日本人の精神構造的に古来、悪い権力者や強い敵に弱者が勝つというのは大好きなんです。
江戸時代には赤穂浪士の仇討ちを題材にした「忠臣蔵」は歌舞伎で大ヒットし、繰り返し上演されいまだに人気の演目です。
同じことが「遠山の金さん」や「水戸黄門」のような人気時代劇、さらには高倉健さんの任侠映画、そして、悪役レスラーを馬場や猪木が倒すプロレスへとつながっていきます。
日本人が今まで熱狂してきたものの延長上に「半沢直樹」はあったのです。
最後は父親の仇討ちみたいなものでしたからね。
3 憎々しく魅力的な悪役たち
時代劇でもプロレスでもヒーローを引き立てる悪役の存在は非常に重要です。
とにかく憎々しくヒーローをまずいじめ抜き、窮地に追い込んでから、逆転されぶざまにこらしめられる…
「半沢直樹」では香川照之をはじめ、片岡愛之助、石丸幹二、緋田康人、宇梶剛士、手塚とおる、倍賞美津子ら悪役たちがみな個性的でアクの強さを見せてくれました。
私めは机をバンバン叩く小木曾を演じた緋田康人が鮮烈な印象として残っています。
4 ハッタリのきいた演出
全10話中7話を演出した福澤克雄の演出は顔のドアップを多用したり、ロケ場所も重厚感たっぷりの場所を使ったり、と役者がいくら大げさな演技をしてもいいように配慮されており、
スリリングなシーンの運び方も、ドキドキするようにうまく演出していました。
5 妻には弱い半沢直樹
とかく男くさくなりがちなドラマで、上戸彩演じる妻と半沢直樹のからみは息抜きのシーンであり、
職場ではシビアな顔の半沢直樹が妻にはやりこめられたり、やけに弱いのが女性視聴者を取り込むことにつながったのではと思います。
以上、5ポイント、私めなりに分析してみました。
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