プロデューサーも脚本も演出も「半沢直樹」と全く同じで、原作も同じ池井戸潤ですから、
今回も視聴率を取るために、
堂々と「半沢直樹」の時に成功した手法を踏襲するのも無理からぬことだとは思います。
しかし、同じ池井戸潤の作品でも、これはこれ、あちらはあちらです。
どうも随所に「半沢」色が濃く出過ぎていて、そこに抵抗感を覚えずにはいられませんでした。
TBS 日曜21時
「ルーズヴェルト・ゲーム」第1話
主演…唐沢寿明
脚本…八津弘幸
演出…福澤克雄
このドラマの原作を読んだ時には映像化を望んだ私めではありますが、
原作は誰が主役ということはなく、いろんな人物の視点で描かれていて
そこが良かったりもするのですが、
ドラマでは、やはり半沢直樹的な主人公を必要ということで
経営不振に陥った会社の危機を立て直さなければならない
細川社長(唐沢寿明)を主人公に押し上げています。
その事情はわかるし、原作どおりじゃなきゃイヤ!なんてことを
言うつもりはないんですが…
どうもこの細川を半沢チックにしようとする意図が見えすぎて
それが私めには引っかかりました。
特に融資先の林田融資課長に散々いびられた末に、
その不正を暴いて危機を切り抜けるシーンは…
半沢直樹が自分の銀行の人間を「おぎそ~~~!」と呼び捨てにするなら
分かりますが、融資していただいてる側なんですから、
いくら悪いヤツでも「はやしだ~~」って怒鳴りつけるのはいかがなものかと思いました。
唐沢寿明がまたここぞとばかり目をひんむいて
熱演しているので、余計引いてしまったのです。
他にもアップの多用や音楽の使い方など、
「半沢直樹」を踏襲しているところは随所にあり、
香川照之は大和田常務とどこが違うんだ?という感じで
親会社の社長を演じているし、
「半沢直樹」に出ていた役者がここかしこに出ていて
それが気になって仕方ありませんでした。
そこへいくと、野球がらみのエピソードの方は
「半沢直樹」にないこのドラマのオリジナリティなので、
落ち着いて見ることができ、
助っ人で登場した元高校球児の沖原(工藤阿須加)が
すごい球を投げて、場の空気を一変させるシーンは
今回の白眉でした。
「八重の桜」で八重の弟役を好演していた
工藤公康の息子の阿須加。今回もまっすぐな眼差しが印象的で
今後への期待感を高めました。
今回の評価は辛めで…