30分放送時間拡大とはいえ、随分話が進むな~と、その有無をいわさぬテンポによる展開に驚かされました。
趣向ばかりが浮いてしまうタイムスリップものになりそうなところを、見ごたえあるものにしたのは、
脚本の西田征史の人間の深いところまで描こうとする真摯な姿勢と、キャストたちの熱のこもった演技の確かさによるものでした。
フジテレビ 月曜21時
「信長協奏曲」第1話
主演…小栗旬
脚本…西田征史
演出…松山博昭
高校生のサブロー(小栗旬)は修学旅行中に、戦国時代へタイムスリップしてしまいます。
そこで病弱で身内からも命を狙われているホンモノの信長(小栗旬2役)と出会い、自分になりすましてくれ…と頼まれ、信長の身代わりにさせられてしまいます。
小栗旬の高校生役ってさすがにムリがあるな~などと気にしている間もないほど、グイグイとサブローは信長にならされていくのです。
髪型も服装も言葉づかいも全く違うサブローを、ずっと一緒にいたはずの家臣の池田恒興(向井理)らが怪しまず信じてしまうのは、できすぎな気はしましたが、
そのへんにこだわってはこのドラマを楽しめないと、目をつむることにしました。
何かの冗談かと思っていたサブローは、戦場に出て目の前で殺される兵士を見たり、自分の命を狙われたりして、ホントに戦国時代に来たことを思い知らされます。
現代で生死なんて真剣に考えたこともなかったサブローが、死がごく身近にある戦国の乱世の中で、たくましくなっていくさまが描かれるんだな…というのはよく分かりました。
戦国時代だからこその物の考え方に、サブローは反発を覚え、現代的な考えを持ち込もうとする…そこで生まれる葛藤が見どころになっていきそうです。
今どきの若者らしいフワフワした軽い物言い、例えば窮地を救ってくれた織田信清(麿赤兒)を見送る時に「気をつけて帰ってね、バイバイ」って言うあたりがツボでした。
こういう何気ないところに面白みがあって、今回はサブローが泣きわめくみたいなシーンがちょっと多くて閉口しました。
小栗旬はそのへんの振り幅をしっかり演じているんですがね、サラッと演じる上手さの方が、彼の真骨頂だと思います。
さて、周りのメンバーですが、今回だけで死んでしまうのが惜しいなと思ったのが、
兄信長の命を狙い続け、果たせず切腹する弟信行を演じた柳楽優弥。
狂気にも近いその一途な殺意を、白目をひんむいて演じた迫力は、主役を食うほどのものでした。
大河ドラマや本格的な時代劇映画にも出て欲しいなと強く思いました。
まっすぐなひねりのない演技がハマっていたのが向井理。主役だと物足りなさを感じる人ですが、このくらいポジションの役の方が合っているようです。
柴咲コウの帰蝶は、彼女にあてがきでキャラを作ってますね。姫さまの初々しさがないのが難です。
今回はちらっとしか出ませんでしたが、信長の父信秀を暗殺した伝次郎役の山田孝之。
そのダークなたたずまい、クールな早乙女太一と共に暗躍する今川義元のスパイ役。
しかも、のちの秀吉になるという不思議な役どころです。
小栗旬とのからみが早く見たいなと思いました。
どうもテレビドラマだと戦場のシーンなとが、予算の都合でチャチくなるところもあり、金をかけて映画で見たいのが本音ですが、
なんとか頑張って欲しいなと思います。
それにしてもホンモノの信長が明智光秀を名乗るというのは驚きました。原作者はスゴいことを考える人ですね。
今回の評価は…
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