このドラマの原作者の漫画家さんは、実にユニークな発想をする人ですね。
前回は現代からタイムスリップした高校生サブロー(小栗旬)が信長になりすますことになり、ホンモノの信長は「明智光秀」を名乗ることになるというのに驚かされましたが…
今回は信長の義父である斎藤道三(西田敏行)も実は40年前にタイムスリップしてきた元は警官で、そのまま帰れず戦国の乱世を生き抜いてきた人物という奇抜な設定に驚かされました。
フジテレビ 月曜21時
「信長協奏曲」第2話
主演…小栗旬
脚本…西田征史
演出…松山博昭
斎藤道三がうつけ者と悪評の高い婿の信長とはどんな男かを知ろうと、美濃に呼び寄せ、
会ってその器量を見抜き、以後友好な関係となる…というのは、
これまでも舞台や映画、ドラマでしばしば演じられた有名なエピソードですが、
2人だけで顔を合わせた身なりが、このドラマでは片や学ラン、片や警官の制服という前代未聞のユニークなシーンになりました。
大河ドラマでは絶対お目にかかれないシーンで、だからこそ民放でこれをやる意義、
現代劇と時代劇のカテゴリーをはみ出した独自性を感じました。
だからといって、それがウケ狙いの趣向に終わることなく、設定をうまく利用し、しっかりした人間ドラマになっているのが、このドラマの優れたところです。
今回の場合は道三の娘帰蝶(柴咲コウ)への深い愛情が実に感動的でした。
サブロー同様、道三になった男も歴史にうといというのがミソで、
娘を乱世の中でも生き抜いていけるように、織田信長が天下を取るのは知っているから
その信長に嫁がせたら、
その信長は未来から来たニセモノにすり替わってしまったので、
あわてて、忍びの者に各国に行かせ「豊臣秀吉」や「徳川家康」を捜させるのでした。
悲しいかな、そこが歴史にうといからで、秀吉も家康もまだその名前ではない時代なので
見つかるわけもなく、あきらめて現時点で最強とされる武田家へ無理やり嫁がせようとするのでした。
昔は可愛がってくれたのに、表面は冷淡に織田へ武田へと嫁がそうとする道三を憎む帰蝶。
しかし、それより前に今川義元(生瀬勝久)からのスパイ伝次郎(山田孝之)にそそのかされ、
道三と血のつながりのない息子の義竜(新井浩史)が謀反を起こし、道三は攻め込まれます。
その時にサブローが落とした日本史の教科書を忍ぶの者が拾ってきて、
それを見た道三は自分の運命、そして自分の援軍に向かっているサブローが
教科書に載っている信長の行動と同じなのを知り、
本能寺の変の部分を破って、それと、サブロー、帰蝶への手紙を託して死ぬのでした。
道三役の西田敏行がさすがの演技で、複雑な心理描写を見事に演じてくれて、
ぐっと見ごたえのあるものになりました。
また、それを受けての小栗旬や柴咲コウの演技も良く、
時代性をこえた親子愛がしっかりと描かれた回となりました。
脇ではナイスアシストした恒興役の向井理もやはり良いですし、
不気味な存在感を見せ続ける伝次郎役の山田孝之も今後に期待感を持たせます。
木下藤吉郎になりすまし、信長に近づく伝次郎がどんな行動に出るのか?
非常に楽しみです。
今回の評価は…