すれ違う愛の切なさ…「Nのために」 | 連ドラについてじっくり語るブログ

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まずは改めてお詫びを。
毎年、テレビ屋の私めは年末が一年で最も忙しいのですが、





今年は年末年始に4本の特番を抱えてしまい、まさに忙殺状態。家には寝るために帰るみたいなことになっていて、





ドラマの録画がなかなか見られません。記事が遅れていることを読者の皆さんにお詫び申し上げます。





…で、このドラマですが、最終章の2話分を一気に続けて見てしまいました。







TBS 金曜22時 12/12・19放送分
「Nのために」第9話、最終回

主演…榮倉奈々
脚本…奥寺佐渡子
演出…山本剛義(9)塚原あゆ子(終)






2話続けてあの日に何があったか、これまで小出しにされていたことが、すべてジグソーパズルのようにつなぎ合わされました。





そこで浮かび上がったのはすれ違う愛情の切なさでした。






このドラマはミステリー要素の強い恋愛ドラマだったんだなと痛感させられる最終回でした。





成瀬(窪田正孝)の実家が焼けたのは、成瀬の父親(モロ師岡)の自殺行為で、高野(三浦友和)の妻夏恵(原日出子)は、それを隠蔽し、






夫が警官だから隠し続けた…ってエピソードの結論はあまり興味ありませんでしたが、





やはり、成瀬と希美(榮倉奈々)の罪の共有から来る絆の深さが、このドラマの太い軸で、火事がもたらしたものの大きさを改めて知らされました。





しかし、成瀬の希美への思いと、希美の成瀬への思いにはズレがあって、希美にはもう1人安藤(賀来賢人)という存在があり、





それがまた単なる純愛ではない複雑なものにしていくあたりが、このドラマの一筋縄ではいかないところなのです。





暗い過去を持つ希美も西崎(小出恵介)も、安藤には明るい道を素直に歩んで欲しいという願い、






それが事件から安藤をのけ者にしていくのに、のけ者にしたはずの安藤が、希美を試すために外からチェーンをして、かえって西崎と希美を追い込んでしまう皮肉…





そのあたりの苦い切なさが、ドラマに深みを持たせていました。






皮肉といえば、そもそも西崎は奈央子(小西真奈美)を野口(徳井義実)から助けるために計画したことなのに、それが勘違いだったという皮肉も、






西崎の思いが純愛だっただけに何とも痛ましく、それでも幼い頃母親を見殺しにした罪の償いで、罪を背負うというのはやるせないものがありました。





それはかつて自分をかばってくれた希美のために、今度は自分がウソをつくことにした成瀬にも通じるものがあり、






それが希美にとって安藤のためにという皮肉と重なり合って、二重三重の皮肉が切なさを高めていました。






男たちに自分の弱さを見せまいとする希美が、あんなに避けていた母親(山本未来)に見せるというのも、皮肉なものだなと思いました。






このドラマ、回数かせぎの中だるみは否めませんでしたが、最終的にビターな恋愛ドラマに高めていった脚本、演出の手腕は評価すべきで…






とりわけ主演の榮倉奈々以下キャスト陣の好演が光っていました。





これまで天性の明るさが邪魔して陰のある役に無理があった榮倉奈々が、しっかりと陰の部分を演じた成長ぶりには目をみはるものがありました。






特に最終回で野口にバラしてしまう下りの迫力は、これまでに無かったものです。






彼女を取り巻く窪田正孝、賀来賢人、小出恵介も、みな男のナイーブさをそれぞれ巧みに表現し、甲乙つけがたい好助演でした。





第9話、最終回共に評価は…4










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