心が折れてしまった鉄の女…「コウノドリ」第9話 | 連ドラについてじっくり語るブログ

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今回は切迫早産で産まれた赤ちゃんの死によって、新生児科医の新井(山口紗弥加)の心が折れてしまう…という、このドラマとしては珍しくバッドエンドな回でした。





新井の悲しみは、ずっと見守り続けた少女を亡くした四宮(星野源)の悲しみとも重なり、救えない命に傷つく医師たちの重い十字架を感じました。






TBS  金曜22時
「コウノドリ」第9話

主演…綾野剛
脚本…山本むつみ
演出…金子文紀




新井みたいな人っていますよね。
私生活を犠牲にしてでもおのれの職務を全うしようと、自分を追い込んでしまうタイプ。






もっと楽に肩の力を抜いて物事を考えたらいいのに、それができない。






ピーンと張りつめているだけに、何かの拍子にポキっと折れてしまうんですね。






私めのいるテレビ業界でも、そうして心や身体を病んでしまったり、業界を去っていく人はいます。





結婚を間近にした大事な時期なのに、保育器を無理に空けてまで受け入れた切迫早産の赤ちゃんを何とか無事に育つよう必死になる新井。





赤ちゃんの両親(吉沢悠、酒井美紀)にも、何もそこまで言わなくても…ということまで予告して、そうならないように懸命に努めるのですが、






管でつながれた小さな赤ちゃんは容態が悪化、これ以上は生きられない状態になってしまいます。





両親が赤ちゃんから管を抜き、よく頑張ったねと誉めるシーンは泣かずにはいられませんでした。





なぜ、そんな子を産ませたと怒りをぶつけていた父親がすべて受け入れ赤ちゃんを誉めるところは、同じ男性として特に泣けました。





日頃は冷静沈着で鉄の女と呼ばれる新井は、これが心の傷となり、他の赤ちゃんの出産の際に簡単な挿管もできなくなってしまいます。







鉄の女のもろさを山口紗弥加が実に説得力のある演技で見せてくれました。







新井を救ってあげられなかった院長(浅野和之)と今橋(大森南朋)の苦い悔恨も、察せられました。心の傷は自分で癒してもらうしかないですよね。






その点、四宮はサクラ(綾野剛)の前で号泣できて、少しは心がやわらいだことでしょう。






永井(小栗旬)のシングルファーザーとしての苦労も盛り込んだり、ぎっしり詰まって一分の隙もダレ場もない見事な脚本でした。






今回の評価は…5