最後まで余韻を大切にしたドラマ…「おかしの家」 | 連ドラについてじっくり語るブログ

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途中、変な天使が出たり、天使の歌声になったりしたのは玉にキズでしたが…





とかく過剰に説明したり、心理描写がくどかったりするドラマが多い中で、





このドラマは映画監督の石井裕也が自ら脚本を書き演出する回がほとんどだったために、テレビドラマが失いつつある、あえて描ききらない手法が数多く使われていました。





TBS  水曜23時53分
「おかしの家」第9話、最終回

主演…オダギリジョー
脚本、演出…石井裕也





前回と2話連続の記事になります。
前回は隣に住む男(太賀)にいわれのない訴えをされ、




双方、弁護士を立てない珍妙な裁判になってしまう…という話でした。




話自体は大したことなかったんですが、得体の知れない無気味でイヤ~な感じの男を太賀が好演していて、楽しんで見れました。





ただ、それを吹き飛ばすようにラストで太郎(オダギリジョー)のおばあちゃん(八千草薫)が養護老人ホームを見学に訪れるシーンが衝撃的で、






それが最終回へとつながっていきました。
私めは太郎のように両親を亡くしたわけではありませんが、おばあちゃんに可愛がられて育ったおばあちゃん子なので、






太郎とおばあちゃんの関係には共感できる
部分が多々あり、

自分のことを忘れられて、まだらボケが始まったのを知った時のショック、

自分に相談なく店を売って、その金で老人ホームに入ることを決められてしまい、裏切られた気になる憤り、

自分の仕事が忙しくなり、それを理由にして会いに行かなくなってしまう冷淡さ、




老人ホームの入所日に付き添いで行き、その後ろ姿を見送るシーンは、太郎の複雑な思いが画面から伝わってきて胸がしめつけられました。





最終回のサブタイトルは「忘却」でしたが、シェフになった太郎に今は脚本家になった三枝(勝地涼)が会いに来て、自分たちは大事なものを忘れてしまった…と嘆くシーンも印象的でした。




仕事で充実しているはずなのに、虚しげな表情の三枝の太郎にだからこそ言える言葉には胸をつかれました。





ラストはおばあちゃんの容態が悪いとの知らせが入り、礼子(尾野真千子)と向かうシーンから、





かつてのさくらやの店先でおばあちゃんと座っていたシーンへ。







おばあちゃんがどうなったかを見せずに、日々繰り返していたおばあちゃんとのやりとりで終わる。





このドラマが大事にしてきた深い余韻が最終回にもありました。





こういう終わり方をする連ドラはなかなか無いですね。
良質な短編小説を読み終えた時のような感覚。





じんわりと人生を考えさせてくれました。
ある種、寓話的な作品でしたね。






八千草薫さんは大好きな女優さんなので、お元気でいて欲しいです。






前回の評価は…3
最終回の評価は…4