秀吉の冷酷さと家康の温情…「真田丸」第20、21話 | 連ドラについてじっくり語るブログ

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今回の大河ドラマで面白いのは、歴史上の人物を脚本の三谷幸喜がどう描くかにあって、第20話の秀吉(小日向文世)と第21話の家康(内野聖陽)には、三谷のユニークな解釈が盛り込まれていて、興味深く見ることができました。






NHK 日曜20時

「真田丸」 第20話(5/22) 第21話(5/29)


主演…堺雅人

脚本…三谷幸喜

演出…渡辺哲也(20) 木村隆文(21)







普通、信長、秀吉、家康のイメージと言えば、信長は「鳴かぬなら殺してしまえ」で、秀吉は「鳴かせてみしょう」、家康は「鳴くまで待とう」に象徴されてきました。







しかし、第20話では、これまで子どものできなかった秀吉に茶々(竹内結子)との間に初めて子どもができ、






聚楽第の壁に何者かが、茶々が産んだ子の父親は誰だか分からないという落書きをしたために、秀吉が激怒、犯人を探し出して殺せ!と厳命。ちゃんと見張っていなかったからと門番もみんな殺してしまう…という残忍さを見せるのです。







明らかにやりすぎで暴走する秀吉に、三成(山本耕史)や信繁(堺雅人)は対応に苦慮します。

ここで面白かったのは、秀吉は変わってしまったと嘆く家臣たちに対して、長年連れ添ってきた正室の寧(鈴木京香)が言った言葉。







何も変わってはいない。あの人は元々冷たい人だったのだ。そういう人でなければ天下など取れはしない…。







これは三谷幸喜が寧の言葉を借りて提示した秀吉観ですね。

秀吉は単なる人たらしではない、もともと冷酷さを内に秘めながら、それを隠していただけ。

権力を手にしてそれが露呈してきたのだ…ということですね。






そういう意味で、小日向文世のこの回の演技の凄みはいつに増してすごいものがありました。

いつもは秀吉の言いなりの三成の諫言、秀吉の扱いに慣れている寧の話のおさめ方と見ごたえのあるシーンが続きました。







第20話の評価は…4








続いて第21話はまだ秀吉になびかない北条をどうするか?という話。







この回で面白かったのはずる賢いイメージがついている家康が、北条氏政(高嶋政伸)に見せた温情。







わざわざ氏政に会いに行って、自分にとって得にならないのに、氏政にここは秀吉に従って時を待ってはどうかと勧めるのでした。







これまで隣国同士で戦ったり、和解してきたりを繰り返してきた、いくさ仲間に、家を滅ぼさぬようにとアドバイスするというのは、ちょっと家康らしくない行動でしたね。







家臣の本多正信(近藤正臣)もその家康の行動には驚いて、なぜと問いかけますが、家康もなぜそんなことをするのか自分でも分からないと言う。

家康の根っこにどこか温かいものがあるのかもしれないなと思わせました。







そんな家康も変貌していくんでしょうが…。








次回は北条、真田、徳川が秀吉の前で三者会談。

面白そうな回です。







第21話の評価は…4