勧善懲悪ものはその最たる例ですね。
概して高い視聴率を取る作品はその傾向が強い。つまり万人受けするんです。
一方、万人受けしなくてもいいからと、とんがった内容を視聴者に突きつけてくる作品も稀にあります。
昨今の坂元裕二脚本はそういう作品が多く、分かる人が分かってくれればいい…的な挑発的な作りに拒否反応を示す方も多いかと思います。
もちろん、私めはそういう方々を否定するつもりもないですし、特に今回の作品はそれも仕方ないかなと思います。
ただ、だんだん分かってくることで面白みが増してくる作品というのもありますから、まだ見続ける気持ちの余裕のある方はしばらくは見続けてみることをオススメします。
日本テレビ 水曜22時
「anone」第1話
主演…広瀬すず
脚本…坂元裕二
演出…水田伸生
このドラマ、内容的には映画館の暗い客席でどっぷりと独特の世界観に浸って見たい…という作品です。
明るいリビングで、ながら見はとてもじゃないが、できない部類のドラマなんです。
…なので、真剣に見ようとするとぐったりと疲れます。
特に今回はまだまだ説明不足のところが多々あって、それを推測したりするので余計に疲れたんです。
両親も弟も亡くし孤独に暮らすヒロイン、ハリカ(広瀬すず)の祖母との楽しい思い出の記憶が、更正施設での虐待の日々だったと思い出してしまう時の痛ましさは、
そこにせめてもの救いを感じていたので、そこまでもかと、シビアさを突きつけてくる展開にぐったりしました。
ハリカがチャットでやりとりする病床の青年、彦星(清水尋也)との対話も、彦星は不治の病のようで、痛ましさに胸がしめつけられました。
広瀬すずも清水尋也も澄んだ良い声でしたね。
清水尋也はテレビドラマではなじみの薄い人ですが、映画「渇き」で注目した個性的な若手です。
広瀬すずにはやはり女優としての大器さを感じますね。
彼女の今の段階を見ておくだけで、このドラマは価値があります。
しかし、坂元裕二の脚本には今回は文句をつけたい部分はあります。
一番気になったのは、余命半年と宣告され、店をたたんだカレー屋(阿部サダヲ)と、刑務所から出てきて死にたがっている女(小林聡美)とが死出の旅に出る唐突さ。
強引な設定で、さしもの手練れの二人が演じていても、一向に魅力を感じず、しらけて見てしまいました。
田中裕子も、瑛太もまだ力を発揮するに至らず。
次回以降、ヒロインにどうからむか期待です。
今回の評価は…