このドラマのギクシャクさはどこから来るのか?私めなりに考えてみました。
そうして出た答えが脚本家と演出家の相性の悪さです。
連ドラはプロデューサーを中心に脚本家と演出家がトリオを組んで、キャストを使ってどんな作品を作り上げるかを決めていきます。
脚本家野木亜紀子の成功へのステップとなった「空飛ぶ広報室」は演出の土井裕泰がプロデューサーも兼ねていて、野木亜紀子を脚本に起用し、その後、野木作品の「重版出来!」「逃げ恥」も土井Dが演出に名を連ねていました。
続く「アンナチュラル」は今クールの「中学聖日記」の塚原あゆ子ディレクターと初タッグ。
こちらも成功しました。
しかし、今回の作品は…
日本テレビ 水曜22時
「獣になれない私たち」第1話
主演…新垣結衣、松田龍平
脚本…野木亜紀子
演出…水田伸生
同じ日本テレビで以前、新垣結衣主演、野木亜紀子脚本だった「掟上今日子の備忘録」はチーフ演出が、「ごくせん」や最近では「サバイバル・ウェディング」担当のベテラン佐藤東弥でしたが、
今回はなぜか変わって、同じくベテランの水田伸生になりました。
水田伸生は坂元裕二脚本で「Mother」や「Woman」を演出し、数々の賞を受賞。映画も何本も監督しています。
しかし、中園ミホ脚本、堺雅人主演で「Dr.倫太郎」という凡作を作ったり、坂元裕二との「anone」もイマイチな作品に終わったり…で、
初回を見た限り、野木亜紀子脚本との相性の悪さを随所に感じました。
演出家自身の主張をかなり強く感じて、自分の世界観に野木亜紀子の脚本も、新垣結衣の演技もはめ込んでいるのでは…と勘ぐってしまいました。
ヒロインの職場をあそこまで、しつこく、酷く描く必要があるでしょうか?
ヒロインの婚約者の抱える事情をいわくありげに描く必要があるでしょうか?
この演出家好みの映画的な質感の映像がより重苦しさを際立ててしまうのも、気になるところでした。
周りに愛すべきキャラクターがいないドラマは見ていてしんどいです。
初回のラストでヒロインは変貌しましたが、そんな新垣結衣は求めてないんだけど…と、更にがっかりしました。
あれだけ酷い社長や後輩たちが簡単には変わらないでしょうけどね。
今回の評価は…あえて辛めで