しかし、そのためには廓ばなし以外のジャンルもやれるようになること、みよ吉(大政絢)とは別れることを求められるのです。
NHK 金曜22時
「昭和元禄落語心中」第4話
主演…岡田将生
脚本…羽原大介
演出…清弘誠
まず、廓ばなし以外のジャンルってことで、菊比古が会得するのが、初回でも八雲になった老年の菊比古が高座にかけていた「死神」。
技量がありながら酒でしくじって落語界を追われた彦兵衛(柳家喬太郎)に出会い、教えを乞うのでした。
実はこのドラマの落語を監修しているのが、この喬太郎で、実際に岡田将生にどう指導しているのかをうかかい見るみたいで、稽古をつけるシーンには引き込まれました。
菊比古の真面目すぎるほど真面目に学び取ろうとするストイックさと貪欲さは、岡田将生自身に重なるようにも見えました。
まだ若いから仕方がないが…って彦兵衛が言ってましたが、芸事には年輪を重ねないと身につけられないものってありますからね。
でもホント、喬太郎の教え方が上手いのか、岡田将生も山崎育三郎もどんどん落語が上手くなっていて驚かされます。
そして、もう1つの条件のみよ吉との別れ。
みよ吉自身も菊比古が邪険にし始めているのを悟り、
自分に来ている身請け話をして試したりもしますが、結局は菊比古からつれなく別れを切り出されます。
芸道にのめりこみ、名声欲の虜になった菊比古の変貌ぶりを、岡田将生は冷ややかな美貌で演じ、実に役に似つかわしかったです。
みよ吉役の大政絢も良いですね。情の深さというか業の深さというか、男をダメにしてしまいそうな危うさがあって、その哀れさが印象的でした。
一方、助六は天才なのに、生き方や身の処し方は無器用で、師匠や落語協会の会長(辻萬長)を怒らせるようなことばかり。
真打ち昇進披露の寄席でも、わざと会長の十八番のネタをかけて客席をわかせ、会長を怒らせます。
狭い落語界であまりに異端児的な助六は、遂に師匠を本気で怒らせてしまい破門されてしまいます。
菊比古に捨てられたみよ吉と、師匠に破門された助六。
二人は急接近するようです。
助六はただの破天荒な天才ではなく、落語は伝統を守るだけでは古びてしまうと、古典は認めながらも、伝統を壊して笑いを作らなきゃいけないんだという熱い思いも持っていて、
そんなデリケートな部分も山崎育三郎は巧みに演じてます。
今回の演出は、加賀まりこのパートナーで大ベテランの清弘誠。
それぞれの人物の感情表現を際立たせて演出していましたね。
今回も見ごたえ十分でした。
今回の評価は…