真打披露の高座での「芝浜」、つい涙が出ました。
ちょっと聞いただけで…。
与太郎もまた、己が背負う「業」というものを知り、自らの落語を見いだしたようです。
NHK 金曜22時
「昭和元禄落語心中」第8話
主演…岡田将生
脚本…羽原大介
演出…清弘誠
小夏(成海璃子)が組長(中原丈雄)に会いに行ったと知り、小夏のお腹の子の父親は組長と思い込んでいる与太郎は、
料亭に乗り込み、自分がお腹の子の父親になると組長に直談判をします。
ここで組長に向かって淀みなく与太郎がまくし立てる啖呵には惚れ惚れしました。
組長が良い噺家になったと誉めるのも納得の演技、まず今回、竜星涼を誉めたい第一点。
そして、珍しく八雲(岡田将生)が与太郎の住む部屋を訪ね、稽古をつけてくれます。
稽古と言っても、目の前で一席すべて与太郎のためだけに語ってくれるだけですが、
八雲の十八番の「死神」でも「品川心中」でもなく、助六(山崎育三郎)が死ぬ直前に旅館での二人会で語った人情噺の「芝浜」です。
助六が万感の思いを込めて語った「芝浜」を、八雲は自分では高座にかけずにずっと覚えていて、助六の名を継ぐ与太郎に口伝したのです。
それを真打披露の初日に小夏の前で高座にかけた与太郎。
先代助六が乗り移ったかのような見事な「芝浜」
竜星涼の落語の上達ぶりにも驚きましたし、先代助六が願った女房、子供と幸せに暮らすという願いが、
与太郎と小夏によって果たされるんだな…ということが頭に浮かび、小夏が流す涙につい触発され、私めもポロポロ泣いてしまいました。
しかし、助六とみよ吉(大政絢)にはまだ明かされてない秘密があるようで、小夏って実は八雲の子供なのか?なんて思ってしまいました。
今回、添い寝するシーンもありましたしね。
岡田将生の八雲は、特殊メイクが気にならなくなってきました。抑えた演技の中に感情をこめ、八雲が歩んできた孤独のやるせなさを漂わせ、こちらも見事です。
今回の評価は…甘めでこのドラマ二度目のです。