今回だと前半は「すき焼きと自転車」の巻、後半は「寿司とダンボール」の巻。
およそ25分弱の短さの中にギュッと凝縮して家族の哀歓が描かれており、その試みは成功しています。
日本テレビ 土曜22時
「俺の話は長い」第1回
主演…生田斗真
脚本…金子茂樹
演出…中島悟
食卓を囲んで家族か言い争いをするのはホームドラマの王道てすよぬ。
古くは「寺内貫太郎一家」とか、近くは「渡る世間…」とか。
…で、その王道に現代的なニートとか、不登校とかを入れ込んで新しくしたところにこのドラマの妙味があります。
前半のすき焼きの回は姉夫婦か建替えの仮住まいを頼みに来るエピソードで、主人公の滿(生田斗真)かすき焼きは嫌いって屁理屈を言うのが、まず楽しめました。
かく言う私めも霜ふりのいい牛肉をすき焼きにするのはもったいない派で、滿の言い分は納得できたからです。
このドラマの面白いのは、そんな滿に真っ向から言い争う姉の綾子(小池栄子)がいて、滿同様にひねくれ屋で滿を言い負かす姪の春海(清原果耶)がいるところで、
そんなすき焼きに否定的ながら食べたら美味しかったと姪の春海に素直に言うあたりが、憎めないキャラで、姪の不登校を気にしてアドバイスするあたりも優しさがあって良かったです。
…で、後半の寿司とダンボールの方は、綾子が人が大切にしている物を平気で捨ててしまうってところから、滿の起業に失敗してしまった痛みと未練、綾子の夫、光司(安田顕)の音楽活動をやめてしまった後悔などが、巧みに描かれていました。
家族の関わりようをシンプルな中で、じんわりと描き出す巧みなホームコメディで、会話劇をしっかりと書き込んでいる脚本に感心しました。
生田斗真と小池栄子の言い争いの面白さ、
清原果耶の不登校の女の子のクールさ、
安田顕の人の善さ全開の頼りなさ、
原田美枝子の母親の根っからの甘さ、
個性がしっかりと描かれた上での会話劇。
これは素直に楽しめそうです。
今回の評価は…