極上の短編小説を読むかのような…「ミステリと言う勿れ」第5話 | 連ドラについてじっくり語るブログ

連ドラについてじっくり語るブログ

連続ドラマでこれは面白いという作品のみをマメにチェック!

その内容紹介、批評、さらにヒット分析など、あらゆる情報を連ドラ好きの方々のために提供するブログです。

いや~今回も堪能しました。わずか30数分で終わってしまうエピソードでしたが、



必要以上に長かった、我路(永山瑛太)かららしき贈り物を、女性からと勘違いする風呂光(伊藤沙莉)のくだり以外は、無駄のない凝縮された内容で、極上の短編小説を読んだ時のような充実感を味わいました。




フジテレビ 月曜21時

「ミステリと言う勿れ」第5話


主演…菅田将暉

脚本…相沢友子

演出…松山博昭




これまでさまざまな人とおしゃべりをしてきた久能(菅田将暉)ですが、今回は遂に元刑事の牛田(小日向文世)の幽霊とおしゃべり。




病室で隣り合わせになった牛田は、自分が刑事だった時に起きた事件について、久能にクイズを仕掛けてきますが、久能はいともたやすく解いてしまいます。




3つの謎解きがあるんですが、1つめ、2つめはあくまで3つめの伏線で、それは連続殺人に見えて、最後の殺しに巻き込まれ、重傷を負い、刑事をやめた牛田の相棒、霜鳥(相島一之)が最後の殺しは犯人だったという話でした。





牛田は当時、それに気づいたのに、相棒をかばって、証拠の品も隠し続けて手元に置いていたのでした。





身よりも仲間もみな先立たれ、病院で長らく孤独でいた牛田は、久能が入院した日の朝に亡くなったようですが、伝えたいことがあってか、幽霊として出てきたようでした。




今回の久能と牛田の会話の圧巻は「闘病」についての久能の持論でしたね。




病との闘いに負けて死んだとか言うけど、患者が病気に負けたんじゃなく、医療が病気に負けたんです。




という久能の解釈はなるほどな~と思いました。

なんでも「勝ち」「負け」で片付けるのは私めも好きではありません。





しかし、そんな久能に牛田は若くて当事者じゃないからまだわからないんだ、病と闘うぞと思う気持ちも大事なんだよと、サラリと言い返します。





淡々とした菅田将暉と小日向文世のやりとりはグイグイと引き込まれる吸引力がありました。




霜鳥が病室に来て、牛田に入院費を出すと申し出たが断った話も久能にします。




これが、牛田の気持ちを変えたというのは皮肉な話でしたね。

そんな情けをかけられるのが嫌いな性分なのを忘れたのか、というむなしさ。




霜鳥をかばった自分の罪を償うためにも、証拠を警察に牛田は送ったんです。




久能の前に現れた霜鳥は、霜鳥が裕福になったのに腹が立ち、プライドを傷つけられたから証拠を送ったと、やはり理解していませんでした。




「そんな申し出をされるのがイヤな人間だってことを、あなたが知らないか、忘れているということが、悲しかったんじゃないでしょうか?」



久能の言葉はどこまで霜鳥の心に響いたんでしょうか?




相島一之も人生の深さを感じさせる演技でした。




牛田にしろ、霜鳥にしろ、名脇役の2人が演じたことで、原作漫画で描かれたキャラより厚みが増したというか、より重く原作者が伝えたいことを伝えたように思います。




今回の評価は…8