私めはテレビ業界で長年働いてきましたので、そのテレビ業界を舞台にして、リアルかつ辛辣にそのありようを描いているこのドラマを見ていると、
自分自身の辛かったイヤな思い出がよみがえったりして、なかなかしんどいものがあります。
それだけ作品が素晴らしいんですがね。
フジテレビ 月曜22時
「エルピス~希望、あるいは災い~」第4話
主演…長澤まさみ
脚本…渡辺あや
演出…大根仁
番組内の自分のコーナーで流すVTRをまんまと差し替えて流してしまった浅川(長澤まさみ)
なかなかそんなことは実際にはできないんですが、慌ててプロデューサー(近藤公園)は止めようとするも、チーフプロデューサーの村井(岡部たかし)はイイから最後まで流せと止めなかったのです。
翌日、視聴率が出ると高視聴率でガラッと様相は変わり、VTRは出すなと反対したはずの局長(春海四方)も上機嫌で、なるべく早く続編をやるように浅川に言います。
局長がそう言っていたと伝えるとプロデューサーの態度も180度変わり、すぐやろうとなります。
テレビ業界がいかに視聴率次第かという愚かしさを見事に描いていました。
これは大げさではなく、ホントにこんな感じなんです。
視聴率を取れば文句を言ってた人間も、手のひら返しで褒めてくるし、視聴率が悪いとあれこれ変えろと口出ししてきて、番組をぐちゃぐちゃにされます。
私めも何度もそんな目にあってきました。
このドラマを企画した佐野プロデューサーもおそらく、何度もイヤな思いをしてきたでしょうし、
脚本の渡辺あやが民放ドラマを書いてこなかったのも、視聴率を民放ほど気にしないNHKのほうが自分が書きたいものを書けたからでしょう。
そんな2人の視聴率という亡霊への冷ややかな目を今回感じました。
さて、続編を放送しても好調で良さそうでしたが、裏では松本死刑囚の再審請求が棄却されたり、国家権力からは目をつけられ始めます。
政治家とつながりのある斎藤(鈴木亮平)が浅川に近づいてきているのも、実に怪しげです。
そんな中、岸本(眞栄田郷敦)は村井から中学時代に同級生がいじめで自殺した、岸本にとってトラウマの一件を蒸し返されます。
村井は当時取材担当だったようで、岸本にお前はいじめにどう関与していたかを聞きます。
岸本はその子に相談されながら主犯格の有力者の息子を恐れ、裏切ってしまったようです。
その過去から逃げて自分は勝ち組と思い込み生きてきたようですが、自分は何も勝ってなんかない、ダメな人間と自覚したようです。
闇落ちしたように目つきが変わってしまいます。目力がスゴい眞栄田郷敦がどんよりした目になると落差がスゴいですね。
岸本はどうなってしまうんでしょう。
ラストに飛び降りたのはチェリー(三浦透子)ですかね。
まだまだヒリヒリした展開が続きそうです。
今回の評価は…8