先週の「ボクらの時代」はこのドラマの村瀬Pと風間Dと脚本の生方美久の対談でした。
その中で印象的だったのは、生方美久がこのドラマを書くにあたってのこだわりで、まさにそれが集約されたような最終回でした。
フジテレビ 木曜22時
「silent」最終回
主演…川口春奈
脚本…生方美久
演出…風間太樹
「ラブストーリー自体にそんなに興味がなかった」そうで、「恋愛だけを描かないようにした」ところにこだわったそうで、その理由は「11話かけて描くならメイン2人の恋愛だけってもったいない」からだそうです。
特に印象的だったのは次のコメントで…
「自分がラブストーリーを見てて1番イヤだなと思うのが『当て馬』というポジション」
「恋が実らない子を当て馬だとか、可哀想な子みたいな、ありがちな、反発して結果身を引くっていうだけの子にしないっていうのは1番こだわりました」
なるほどな~。いろいろこの発言で腑に落ちました。このドラマが他の恋愛ドラマで一線を画するものだったのは、まさにそこのこだわりにありましたね。
湊斗(鈴鹿央士)と奈々(夏帆)がただの当て馬キャラではなく、それぞれを実に丁寧にメイン2人と同じくらい、しっかりと描き、視聴者が深い部分で共感し応援したくなるキャラにしましたからね。
最終回でも湊斗は紬(川口春奈)に、奈々は想(目黒蓮)に彼らだから言えることを助言していたのが印象的でした。
特に奈々が想にうつむいてないで今の相手を見なさいというのは、奈々自身の春尾(風間俊介)との関係性にもつながっていて、響くものがありましたね。
2人からおすそ分けで渡されたかすみ草。それは雪の結晶のようで、それが主題歌の歌詞ともリンクしていくのは心憎い演出でした。
これまで手話が紬と想のコミュニケーションでしたが、今回はあえて筆談を2回させていたのも心にグッと迫るものがありました。
1つは付箋に紬が次々書いて想に見せるシーン。
想が辛いなら「声を出さない」「笑わない」「電話しない」「音楽を聞かない」…でも「一緒にいたい」
しかし、それを想は受け入れてくれず…
次は、母校の教室に行き、黒板にお互い思いを書きあって対話するシーン。
ここでも、同じ文言を紬は書きますが、書くなり、想はそれを手で消していきます。
このまま一緒にいたら紬を苦しめるかもしれませんが、でも想も紬と一緒にいたい。
想のホントの思いを伝えられました。
昔から変わっていない紬ではなく、想と一緒にいたいから変わっていく紬と前向きに歩んで行こうという姿。
電話はビデオ通話で手話を使えばできるし、手をつないで歩くことも。
高校の時のように想は紬に何を耳元でささやいたんですかね。
知りたかったです。
メイン4人の他にも、脇の人々への目配りもきちんとできている最終回で、みんなが2人の行く末を応援してくれている感じがとても心地よかったです。
最終回の評価は…9