「silent」でデビュー作にして早くも才能の豊かさを発揮し、名脚本を生み出した生方美久。
その第2作はどんな作品になるのか、大いに期待され、私めの期待度ランキングでは1位にしました。
初回を見る限りでは、いささか観念的すぎるかなとは思いましたが、よくありがちなテーマを新たな切り口で描こうとしている意図は十分に感じられました。
フジテレビ 木曜22時
「いちばんすきな花」第1話
主演…多部未華子、松下洸平、今田美桜、神尾楓珠
脚本…生方美久
演出…高野舞
「友だち」とか「恋人」とか「夫婦」とか2人組のカテゴリーはいろいろありますが、それを作れずに苦しんできた4 人の男女の話です。
まず塾講師のゆくえ(多部未華子)は友だちを昔から作れず、唯一何でも話せる友だちだった赤田(仲野太賀)が結婚を機に会ってくれなくなり、途方にくれます。
出版社勤務の椿(松下洸平)はやはり友だちは作れずにきましたが、高校の同級生の純恋(臼田あさ美)と婚約、家まで用意したのに、
純恋と共通の友だちに寝盗られ、婚約は白紙になってしまいます。
美容師の夜々(今田美桜)は、男性と親しくすると恋愛感情と誤解されがちで、同性からは男たらしに思われています。
イラストレーター志望の紅葉(神尾楓珠)は広く浅い付き合い方しかできず、親しい友だちは作れません。
そんな事情や悩みを抱えた4人がひょんなことから椿の家に揃うことになり、これきり会わないつもりで正直に語り合うというのが初回でした。
現代における人間関係の構築の難しさを丁寧に深堀りする意図を随所に感じました。
とりわけ特別なことではないし、椿の寝盗られ以外は、ありえる悩みや事情だなと思いました。
ゆくえも椿も学校という中で友だちを作らされたことへの嫌悪のようなものがあり、ゆくえはだから学校の教師ではなく塾講師になったのでした。
学校や友だちをそういう見方をしたことがなかったので、とらえ方によったらそういう風になるのかと、ちょっと刺戟的でした。
ゆくえと紅葉は幼なじみですが、それ以外は見ず知らずの他人だった4人が一堂に会する展開はいささか強引でしたが、
今後この4人がどんな関わり方をしていくのか興味はわきました。
それぞれの抱えるものをあぶり出すエピソードも端的に描かれていましたし、「silent」の初回ほど衝撃的なスタートではありませんでしたが、まずまず期待通りの出だしでした。
しかし、松下洸平も今田美桜も神尾楓珠も夏ドラマからの連投で、新鮮味がないのはちょっとネックではありました。
今回の評価は…8