初回を見てこのドラマは現代と昭和を行き来するタイムスリップコメディと思った方は多いでしょうが、
この第2話を見たら、単なるおふざけではなく、昭和を生きる人間の眼を通して現代のありようを風刺する深いものがあることも感づかれたのではと思います。
TBS 金曜22時
「不適切にもほどがある」第2話
主演…阿部サダヲ
脚本…宮藤官九郎
演出…金子文紀
救いを求める電話をしてきた渚(仲里依紗)な昭和から来た小川(阿部サダヲ)はこう言います。
「あんたが今、してほしいことが俺にできることだよ」
これをズバっと言えるところが小川の昭和男の男気みたいなもので、渚の周りには「1人で抱え込まないでね」とか「できることがあったら何でも言ってね」とか言う人ばかりだったわけです。
そんなの口だけの同情で大抵は何もやってくれないんでしょうね。
今回は産育休明けで職場であるテレビ局のAPに復帰した渚を通して、現代の働き方改革ってこれでいいのかね?って疑問を投げ掛ける内容でした。
渚は後輩APの指導を頼まれますが、今どきは労働時間がうるさくて交替制で、人が替わるたびにまた同じことを教えないといけない…
それでもすぐ辞めちゃうのでまた一から教えないといけない
託児所は社内に設けてもらえるが別館にあって行き来が大変だったり、
ペーパーレスと言いながら、年取った偉い人たちは紙資料を欲しがったり、
無駄と思える業界の習わしみたいなものはまだやらないといけなかったり、
それでも働き方改革で決めたことは守りましょう…ってそのしわ寄せは誰かのところへは行くわけです。
脚本の宮藤官九郎が奇才なのは、こんなシリアスな現状や心の叫びをミュージカル仕立てで歌って踊って見せるところで、
どうもこれは毎回おなじみになりそうです。
今回は渚の離婚した夫役の柿澤勇人が、美声とキレキレのダンスを披露し、舞台俳優の本領を発揮しました。
同調圧力を連呼するのとか、何ともおかしかったですね。
ズバリもの申す度量を買われ、小川はこのテレビ局のカウンセラーになるって展開も意外でした。
前回、よく分からなかったなぜ向坂親子(吉田羊、坂元愛登)は昭和にタイムスリップしたかも今回でわかったので良かったです。
社会学者の向坂サカエは昭和を直に見てみたかったんですね。
サカエの夫(三宅弘城)がタイムマシンバスを発明したようですが、初回にタイムマシンを作りたいって生徒が確かいましたよね。あの子が大人になって実現させたのかも?とチラっと思いました。
あと、気になるのは磯村勇斗が二役をやっているムッチ先輩と現代にいる秋津はどんな関係かってことですね。単純に親子とかなんでしょうか?
小川の娘の純子(河合優実)は妻を亡くした小川の悲しみをそらすために、グレたというのはちょっといい話でしたね。
なんでそんなに反抗的なのかそちらもちょっと分からなかったので良かったです。
今回の評価は…8