このドラマ、ウチの奥さんが今クール唯一見ているドラマで、彼女は寝るのが早いので録画したものを翌朝起きてすぐに見ます。
…で、今回は見終わるなり、寝ぼけている私めに「今回はスゴく良いから早く見て!」と言われたので、前倒しで先にこちらを見ました。
確かに良い回でした。
昨夜、もう一度じっくり見て、記事を書いております。
TBS 金曜22時
「不適切にもほどがある!」第5話
主演…阿部サダヲ
脚本…宮藤官九郎
演出…金子文紀
宮藤官九郎がいかに他の脚本家と違い優れているかを知らしめる回でしたね。
笑わせて笑わせて、グッと泣かせる…そのさじ加減が絶妙です。
同じ宮藤官九郎脚本の傑作「タイガー&ドラゴン」で私めが大好きな回が、古田新太と清水ミチコが夫婦の漫才師を演じた「厩火事」の回でして、これもラストに奥さんの方は死んでしまいます。
今回で主人公の市郎(阿部サダヲ)は娘の純子(河合優実)と共に阪神淡路大震災にあって亡くなると分かりましたが、
宮藤官九郎の脚本は主人公が死んでしまうパターンがありますね。
「木更津キャッツアイ」のぶっさんがそうでしたし、「俺の家の話」の寿一は途中から幽霊でした。
…で、今回、市郎が自分は9年後に純子と震災で亡くなることを純子の夫のゆずる(古田新太)から聞かされるところで衝撃を受け、グッと来るんですが、そこまでの運びが実に巧みでしたね。
まず、渚にゆずるを紹介され、市郎はゆずるが義理の息子、渚が孫だと知ります。
純子はどうしてると聞かれ、苦し紛れにゆずると渚は、純子とは離婚し今はフランスにいるとウソをつきます。
しかし、渚は以前、自分の母親は阪神淡路大震災で亡くなった話を市郎にしてましたから、孫と知った時点で純子はもういないとわかっていたはずなんです。
一度見たあとにもう一度見ると、ウソに騙されたふりをしている市郎に胸をしめつけられます。
心臓の手術をしたばかりで痛々しいゆずるですが、なぜ純子と夫婦になったかを聞いていくと、
女子大生になった純子は、折からの女子大生ブームに乗ってグラビアモデルになり、六本木のディスコに出入りするようにそこで黒服でブイブイいわせてた400人斬りのゆずる(錦戸亮)と出会ったのでした。
当時のイケメン写真を自慢げに見せる現在のゆずるに市郎は…
「面影ってもんがあるんだよ、普通。どんなに時間が経ってもね」
確かに面影がかけらもないところが笑えましたね。
錦戸亮はTBSの連ドラは同じ宮藤官九郎の「ごめんね青春!」以来実に約10年ぶり!今年もう40歳になるんですね。河合優実と並んでもあまり違和感ない若々しさは流石!と思いました。
ダンスはするわ、歌うわでファンはさぞお喜びだったでしょう。
純子のワンレンボディコン、ゆずるの肩パットとかで笑わせておいて、
話は純子とできちゃった結婚したゆずるが実家を継ぎ、神戸でテーラーに。初めて仕立てる背広は市郎にと、採寸をしに市郎は神戸へ
今回はここがミュージカル部分で、回想の過去と、現在、2人のゆずるが交互に歌う形式でした。
そうして、震災のことが伝えられるのですが、その時の阿部サダヲの表情が何とも言えませんでしたね。
阿部サダヲも古田新太も仲里依紗も錦戸亮も磯村勇斗もそうですが、コミカルとシリアスをしっかり演じ分けられる頼もしい演者によって、今回は笑って泣ける絶妙な回になりました。
あの時に着てもらえなかった背広を、タイムスリップしてきた生前の市郎に着てもらえるという不思議。
市郎がやけにカッコよく見えましたね。
背広をビシッときめて、タバコをスパ~~!
美味しいタバコだったでしょう。
しかし、自分と純子の死について知ってしまった市郎は過去に戻ったら、どうするんでしょう。
過去を変えたらタイムパラドクスが起きてしまいますが、何だかややこしくなってきましたね。
今回の評価は…8