第11話と最終回では福(桜田ひより)が妊娠を担任の沖田(橋本淳)に告げたことから始まる学校での波紋が描かれました。
沖田はよく頑張ったと誉めてくれて、卒業できる方法を探ろうと言ってくれたのですが…
フジテレビ 火曜23時
「あの子の子ども」第11話、最終回
主演…桜田ひより、細田佳央太
脚本…蛭田直美
演出…山浦未陽(11)、アベラヒデノブ(終)
このドラマは感傷に流されることなく、現実的な厳しさもきちんと突きつけてくるのが優れているんですが、
沖田とは対照的に生活指導の山田(松角洋平)は、福は学校にはいさせられない頭ごなしに言ってきます。
自主退学か、休学か、定時制か通信制への転学の3つしか選択肢は無いってわけです。
人相がいかついし、高圧的な物言いなのでなんだコイツと最初は思いましたが、山田の言ってることも正論と言えば正論で、
このまま福が在学すると、他の生徒にも影響を及ぼすことになり、真似する生徒が出たり、妊娠を推奨した高校と噂されたら進路にも影響すると、その責任をわれわれ教師は取れるのかってわけです。
そんなことまで考えなきゃいけないのかと思いましたが、今の時代何が起きるかわかりませんからね。
望まれるタイミングでまた産んだらどうかと中絶を示唆しますが、それは養護教諭の足立にまたできるなんて簡単に言わないでと諌められます。
足立は不妊治療で苦しんだ過去があったんですね。
山田は産むなら卒業は諦めるように、そして他の生徒には知らせないようにと釘をさします。
しかし、福の母親晴美(石田ひかり)からのつわりを心配するLINEを誰かが見てしまい、
妊娠中という文字入りの福の写真が拡散されてしまいます。
クラスのみんなの態度もよそよそしくなってしまうのです。
一方、宝(細田佳央太)は退部届けを出していました。
なぜだ?と詰め寄る隼人(前田旺志郎)に子どもができたことを伝え、関東大会に出たら、その先も出たくなるから今のうちにやめると泣きながら話します。
顧問の先生には不祥事になったら大会に出られなくなるから誰にも言うなと、こちらも口止めされたようです。
ま~それが現実なんでしょうね。
宝と競いあい切磋琢磨するのが生きがいだった隼人はショックですよね。
2人の固い友情にグッときました。
11話で良かったのはなぜ宝を信じてくれるのかを晴美に聞くシーンでした。
何度も出てきた昔、捨ててこいと言われた子猫を宝が福と一緒に探してあげたエピソード。
捨ててこいと言ってしまったのを後悔した晴美は、福のあとをつけて一部始終を見ていたのだそうです。
それ以来、宝を信じてきたというのに、
ちょっと感動しました。
11話のラストでは晴美がつわりを心配したメールを誰かに読まれて、妊娠中と書かれた福の写真が拡散されてしまいました。
心ないコメントが書き連なり、クラスメイトたちもよそよそしくなってしまいます。
さて、どうなるかってところで最終回になりました。
最終回はよく30分におさめたなと思えるくらい濃密な内容でした。
福は登校しなくなり、担任の沖田が転学の書類を届けにきます。
GTOのような先生になりたかったのに、福に立ちはだかる壁を壊せなかったと詫びました。
沖田にしろ、自らの不妊治療の告白をして励ましてくれた足立にしろ、福は良い教師に恵まれましたね。
クリニックの野田先生(板谷由夏)も理解のある良い先生でしたしね。
中でも終業式で沖田が生徒たちに話した言葉は心に刺さるコメントでした。
悪意で人を傷つけると自分の価値を傷つけることになる、人にバレなくても自分にはバレているんだから自分に嫌悪感を抱くようになる
…って、SNSを悪用するすべての人に伝えたい言葉でもありましたね。
毎回誰かが主要人物たちにインタビューする映像がありましたが、沖田がこの実例についてをまとめて文科省に提出しようとしていることがわかりました。
もっと何かができるはずだと、机上の空論ではなくすためだったんですね。
伏線回収という意味では、このドラマのタイトルは福が最後にクラスメイトたちに告げる言葉からだとわかりました。
この選択が正解だと思えるようにがんばるので、「あの子の子ども」元気かなって思ってもらえたら嬉しいです。
福らしい前向きでたくましい言葉でしたね。
出ていく福を追いかけてきたクラスメイトたちが合唱祭で歌った曲をはなむけに歌うシーンには泣かされました。
矢沢(茅島みずき)のトラウマも飯田(河野純喜)によって癒されていくことでしょう。飯田はホントにイイヤツでしたね。
福と宝と赤ちゃんが幸せであれと素直に願える最終回でした。
11話、最終回ともに評価は…8