記事のアップがかなり遅くなりました。このドラマ最後まで家族についてしっかりと描いてくれましたね。
NHK 火曜22時
「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」第9話(9/17)、最終回(9/24)
主演…河合優実
脚本…市之瀬浩子
脚本、演出…大九明子
まず第9話は七実(河合優実)の弟、草太(吉田葵)が親元を離れ、職場に隣接したグループホームで一人暮らしを始めるまでが描かれました。
母親のひとみ(坂井真紀)にしてみれば、心配で仕方ないんですが、最終的には許してくれましたね。
いかにダウン症で生まれた草太を、ひとみがいとおしく大切に育ててきたか、産まれた時からのさまざまな回想が、ひとみの切なさを伝えました。
グループホームの体験入居から抜け出した草太が歩きながら父親・耕助(錦戸亮)の幽霊と会話するシーンが印象的でした。
「パパ、この道でええ」
「この道でええで」
「ボク、合うてる?間違ってない?」
「間違ってない。草太はずっと合うてる。そのままでずっと合うてる。これからもずっとずっと合うてる」
きっと草太のことが心配でならなかった耕助は、草太にだけは見える幽霊として草太を見守り続けてきたんでしょう。
一人暮らしノートを作り、一人暮らしを夢見てきた草太が、その夢を果たすのは、嬉しくもあり、もう側にいなくても良い寂しさでもあったんでしょうね。
「パパ、今までありがとう」と草太が言うと、耕助は歩みをずらし消えていきます。
親離れ子離れをこんなにもファンタジックかつ切なく描いたシーンって他には無かったのではと思います。
そして、最終回はその耕助を再び中心にした回でした。
さまざまな回想で紡ぎ直されていくのは、ひとみはじめ家族を幸せにしたい耕助のポジティブにがんばる姿。
その象徴が耕助の死後、手放してしまった愛車の真っ赤なVOLVO。
そのボルちゃんで沖縄旅行したのはキラキラと眩しい幸せな日々でした。
しかし、無理して頑張りすぎたからか、耕助は亡くなってしまいます。
大丈夫、大丈夫と家族に言い続けた耕助は、自分は大丈夫じゃなかったんですね。
耕助の死後、いろんな大変なことが岸本家を襲いましたが、ひとみも七実もへこたれずに頑張ってきたんです。
最終回は回想やら妄想やらが入り乱れて夢見心地のような内容でしたが、ラストに七実が印税収入でVOLVOを買い戻したのは感動的でした。
耕助に褒められたくて頑張った七実は、一番耕助が喜んでくれることをしたんです。
耕助役の錦戸亮はどこか飄々とした感じが、そこに居るような居ないような幽霊というか幻にピッタリでした。
「見とけよ、世界。この家族と笑い続けてやる!」
この七実の宣戦布告こそ、このドラマのテーマでしたね。
どんな苦境もたくましく前向きに生きた七実たちのバイタリティーに圧倒されたドラマでした。
9話、最終回共に評価は…8