不法滞在者も1人の人間…「東京サラダボウル」第3、4話 | 連ドラについてじっくり語るブログ

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3話を見て前後編なので4話を見てからまとめて書こうと思い、2話まとめての記事になります。



名作を生み続けているこの枠ですが、この3、4話で名作になりうる可能性を強く感じました。




NHK  火曜22時

「東京サラダボウル」第3、4話


主演…奈緒、松田龍平

脚本…金沢知樹

演出…川井隼人




まず、妻が中国人から帰化した夫婦の赤ちゃんが誘拐されるところから始まります。





妻が中国人なので、国際捜査係から杓野(中川大輔)、通訳で有木野(松田龍平)もその家に乗り込みます。




しかし、異様なことに犯人からは身代金要求の連絡が一向に来ません。




幼児誘拐が頻発している中国と違い、日本なら安全と思い、わざわざ帰化して子どもを産んだのにと、妻はひどく落胆し嘆きます。




なぜ誘拐されたのかを探るために捜査一課の八柳(阿部進之介)は夫・幸次(浜野謙太)の身辺を探ります。




すると幸次は多額の借金を抱えていて複数の消費者金融から借りているのがわかり、その内の1つに最近100万を返済しているのがわかります。




金の工面に苦しむあまり、幸次は戸籍を売っていました。

そんな怖いことよくやるなと唖然としました。

と同時にそれと誘拐はどうつながるのか?俄然興味がわきました。




一方、鴻田(奈緒)はオムツの大量万引きが頻発するスーパーに従業員になりすまして潜入捜査をしていました。




そこでオムツを買いに来ているワンという中国人の工員と知り合います。

一見いかがわしい感じのワンにも鴻田は誠実に接して会話を交わすようになるのです。




実はできすぎた偶然ですが、そのワンのもとに誘拐された原嶋夫婦の赤ちゃんが預けられていて、オムツはその赤ちゃんのための物でした。




オムツ万引き犯が現れた時にワンも居合わせましたが、追いかけた鴻田が警察と知り、ついワンはビビって買い物を放り投げ逃げてしまいます。




何か事情があると察した鴻田はワンに会いに行き、お父さんが良い人か悪い人かは分からないけど、赤ちゃんを思う気持ちはホントだと思うからと外国人育児支援のパンフレットと自分の名刺を渡します。



このまっすぐな思いやりを見せる奈緒の演技には打たれましたね。

鴻田の常にワンを1人の人間として向き合おうとする姿勢が今回は随所に示されそれが感動を生みました。




元捜査一課の刑事だっただけに有木野は優れた推理力を発揮し、幸次から買った戸籍を使って不法滞在者に偽造パスポートを渡し、赤ちゃんとニセ家族にして出国させるのが目的と見破り、空港で待ち伏せするように八柳に進言します。




飄々としていながらキレ者らしさをすんなり表現する松田龍平の良さも今回は十分発揮されました。




ワンは空港から赤ちゃんを連れて東京に戻り、鴻田にもらった名刺をたよりに東新宿署に出頭します。




しかし、取り調べにもワンは誰が誘拐したのか、出国の手配をしたのかはかばって話そうとはしません。



立ち会った鴻田はそいつらはワンたちを騙した悪魔で、3人を人身売買ビジネスで売ろうとしていたかもしれないと話します。




供述する決め手となったのは通訳センターのメンバーの協力を得て探し出したワンの誘拐されたらしき息子の写真でした。




ワンは行方不明になった息子を探す資金を稼いで中国で探し続ける妻に送る内に不法滞在になってしまったのでした。




そんな不法滞在者に親切ごかしで近づき中国に送って売ってしまう人身売買ビジネスの闇が浮かび上がりました。

我々の知らないところでそんなことが起きているんですね。




国際捜査係ではボランティアと呼ばれるその犯罪組織の男たちの摘発をめざすことになりました。




強制退去が決まったワンと別れる際に、鴻田は有木野を通じて伝えます。


いつか息子のユーハンくんと会える日が来ると…それまで生き続けて…と。




さらわれた息子を重ねて、誘拐された赤ちゃんを大切に世話するワンの映像が改めて流れた時は泣けましたね。




3、4話の評価は…8