私めの行きつけの居酒屋には時々偏見めいたことを酔客に言われても、ニコニコしながら働くベトナム人の女性が働いています。
また近所のコンビニにはレジを嫌って品出しばかりしているミャンマー人の男性が働いています。
そんな彼らのことを今回このドラマを見ながら思い浮かべました。
NHK 火曜22時
「東京サラダボウル」第5話
主演…奈緒、松田龍平
脚本…金沢知樹
演出…水元泰嗣
日本にいる外国人にまつわる犯罪やトラブルをこのドラマでは扱っていますが、今回は避けては通れない外国人技能実習生についてでした。
介護施設で入居者のタブレットが盗まれ、ベトナム人技能実習生のティエンのロッカーから出てきたのでティエンが疑われ取り調べを受けます。
ティエンはいかにも真面目で善良そうな青年で、自分ではないと否定します。
立ち会っていたベトナム語通訳の今井(武田玲奈)はティエンを信じます。
ティエンは手が腫れていて骨折していて、脇腹に暴力をふるわれたらしきアザもありました。
今井の思いを汲み取り、鴻田(奈緒)は関係者に聞き取りを始めます。
施設にはティエンにいつもつらく当たっていて今回も犯人と決めつけた別島(黒田住明)という先輩と、同年代でキャリアも変わらず親しくしていた早川(黒崎煌代)という同僚がいました。
結論から言うとタブレットをティエンのロッカーに入れたのは早川でした。
早川は最初はティエンを可哀想と下に見ていましたが、ティエンは早川は自分と同じと接してきて、遂にはタブレットの持ち主の老人にはティエンの方がケアが上手いと誉められ、自分が下のようになってしまいます。
同じような境遇でも自分の方が上と思っていたのが下にされ、その屈辱や嫉妬が早川にティエンをおとしめる行為に走らせたのでした。
早川に言った鴻田の言葉が胸に刺さりましたね。
「自分より下の存在ならいいけど、脅威に感じたら追い出すの?」
そんな早川の複雑な感情を実にナイーブに演じた黒崎煌代の演技力には舌を巻きましたが、朝ドラ「ブギウギ」でヒロインの義弟六郎を演じて新人ながら評判になった人だそうですね。これはまた注目すべき逸材が現れました。
ティエンが早川に同じと言ってたのは、早川の名前の「進」は、ベトナム語では「進」だとわかったところや、
別島に初めて怒りをあらわにしてティエンが怒鳴った言葉は最初は字幕無しでしたが、再度流した時は字幕ありで早川を必死でかばう言葉とわかったところ、
そして、退院したティエンが施設に戻ってきた時に、早川の口癖の「ドジった」を言って早川に微笑みかけたところ、
どれも涙腺ゆるむ感動ポイントでした。
壊れかけた友情でしたが、きっとまた戻れるでしょう。
一方、別島はいつもは見下していたティエンに歯向かわれ、早川には顔を殴られ、ビビったのか体調不良と言って早退し欠勤していました。
そして警察での取り調べにヨーロッパのように外国人労働者を受け入れたら治安は悪くなるし、権利も主張してくると悪口雑言を並べたてます。
それを立ち聞きしていた今井はたまらず別島に去り際にこう呼びかけます。
これが今回最も心に刺さるセリフでした。
「私たちが彼らに働いてもらってるんです」
「日本人だけじゃあ、もうこの国はもたないんです」
「外国人を無理に愛せとは言わない。でも彼らを敵視して排除しようとしても、あなたの居場所は守れないですよ」
「あなたが苦しくなるだけです」
よくぞ言った!今井!
私めが感じていたモヤモヤを言ってくれた言葉でした。
技能実習生もそうですが、日本で働いてくれている多くの外国人が担っているのは日本人が嫌ってその仕事をしたがらないものが多いのは紛れもない事実なんです。
我々日本人はそこをよく踏まえた上で、彼らと接するべきですよね。
今回はそんな外国人労働者について考えさせてくれる内容でした。
更にもっと広げて考えれば、マイノリティーとマジョリティーとの話にもなりますね。
次回は有木野(松田龍平)の同性愛についても踏み込んでいくんでしょうか?
このドラマを応援したい気持ちも込めて感動的だった5話の評価は…今年初めての…9