このドラマで加賀まりこの演技を見ていると、セリフとして発せられる言葉の持つ力が、演じる人によってかくも違うのかということに気づかされます。
齢90にして幸せな日々を手にしている鈴さん(加賀まりこ)の言葉は、病を患い暗い気持ちになりがちなさとこ(桜井ユキ)に光をさしこんでくれるのです。
NHK 火曜22時
「しあわせは食べて寝て待て」第2話
主演…桜井ユキ
脚本…桑原亮子
演出…中野亮平
司(宮沢氷魚)に薬膳の指南を頼んだのにあっさり断わられたさとこは、落ちこんでしまい体調も崩しがちになります。
司に断わられたのを見ていた鈴は、さとこにふかし芋とミルク紅茶を持ってきてくれます。
ふかしたままフタをして冷ました芋はしっとりとして甘みも増すそうです。
芋とミルク紅茶に癒されたさとこが、病気のせいで全てを失ったと嘆くと鈴はこう言います。
「これまでの自分と比べるから苦しくなるんじゃない?こう考えたらどう?新しい自分になったんだって」
「果報は寝て待てって言うでしょう?だから運が巡ってくる時のために、少しでも元気になっていないとね」
どちらも人生の達人ならではの言葉で、すんなりと心にしみますね。
さとこは背中を押され、前向きに薬膳の本を買って食生活に薬膳を取り入れる努力を始めます。
鈴はなぜ司がさとこの申し出を断ったかの原因である、過去にあったつらい経験についても教えてくれました。
しかし、引っ越しで金も使ったせいか金欠のさとこには薬膳のための食材はお金がかかります。
スーパーでは高く手が出なかったトウモロコシを鈴におすそ分けしてもらって助かったりもしました。
職場の同僚とどこか壁もありましたが、病気のことを伝え、やれていなかった歓迎会を薬膳カフェでやることになりました。
職場に出入りする編集者の青葉(田畑智子)に陳皮入りのジャスミン茶を出し喜ばれたり、スーパーで梅シロップを勧めてくれたりく(北乃きい)に出会ったり、世界が広がっていくようでした。
そんなさとこに司は焦らず頑張りすぎないようアドバイスします。
そういえば、司はやはり鈴の息子ではなかったです。放浪していた司を鈴が拾ったようです。
ニートですが、団地のお年寄りたちにいろいろやってあげているようです。
鈴は司に知らなかったことをいろいろ教わり、世界が広がったようです。
このドラマは、そんな人と人とのつながりの素晴らしさを声高ではなく教えてくれますね。
しみじみと良いドラマです。
2話の評価は…8