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連ドラについてじっくり語るブログ

連続ドラマでこれは面白いという作品のみをマメにチェック!

その内容紹介、批評、さらにヒット分析など、あらゆる情報を連ドラ好きの方々のために提供するブログです。

7話、8話と見てきて、ようやくこのドラマに見切りがつきました。

記事はこれが最後になります。




フジテレビ  月曜22時

「マウンテンドクター」第7、8話


主演…杉野遥亮

脚本…高橋悠也

演出…国本雅広(7)、保坂昭一(8)





「海のはじまり」を見たあとにこちらを見ると人物の描き方が雑なことやエピソードに粗が多いことがどうにも気になるんですね。




脚本の力がいかに重要かが如実にわかります。




まずこのドラマが致命的なのはここまで来てもまだ主人公の宮本(杉野遥亮)に魅力を感じないこと。




8話で親友の不整脈の息子が登山するのに帯同を頼まれながら、怪我人が出たか

らと簡単にそちらに行き、大したことないのに戻らず、おまけに携帯にもすぐ出ない。




確か宇田の時も携帯に出なかったのにまたかよ!と呆れて、もういいわってなりました。




医療ドラマでは特に主人公の信頼性が重要です。宇田の死から立ち直ってまたこれをやらかして、親友に責められて落ちこむって、もう勘弁してほしいです。




次に特に7話ですが、落石して足が挟まり、石をどけられないから足を切るって、なんだかそういう状況を作りたかったからという恣意的なものを感じて感情移入ができませんでした。




そして第3にさほど共感もてないままの村松(岡崎紗絵)が開業医を継がせるため内科医にしたかった母親(池津祥子)に逆らって麻酔科医になっていた問題。

いつまで引っ張る気なんだと、こちらもゲンナリです。




最後に極めつけはシレっとMMTのメンバーになってる江森(大森南朋)




どうやら身体の具合が悪いようですが、だったら尚のこと、最初からチームに入っていろいろ教えたら良かったじゃん!とただ呆れるばかりでした。




杉野遥亮には次の主演ドラマに期待します。彼には非はありません。





目黒蓮が体調不良で撮影を休むために特別編を放送ってニュースを知り、特別編ってここまで放送してきた分をダイジェストにしてまとめるんだろうなくらいに思ってました。




ところが、このドラマはそんな手抜きなことをしてきませんでした。完全新撮で水季(古川琴音)と津野(池松壮亮)の「恋のおしまい」を描くという中身の濃いスピンオフをわざわざ作ったのです。




しかも、目黒蓮も出演していて。

これってどのタイミングで作ると決め、どのくらいの期間で作ったんでしょう?

いずれにしても急ピッチで作ったものでしょうが、そうは感じさせない丁寧な仕上がりに感心してしまいました。




フジテレビ  月曜21時

「海のはじまり」特別編

「恋のおしまい」


主演…古川琴音、池松壮亮

脚本…生方美久

演出…山岸一行




第7話では津野がフィーチャーされ、津野が水季を支えるようになったきっかけや亡くなってからの悲しみ、喪失感が描かれましたが、




水季と津野の間に恋愛はあったのかは、

深くは描かれず、訃報にふれて号泣する津野に、少なくとも津野は愛してたんだろうなと感じさせられてはいました。




脚本の生方美久にしたら、そこも丁寧に描きたかったかもしれませんが、2人のことを描くと主役の夏をないがしろにすることになるので抑えたはずで、





目黒蓮には申し訳ありませんが、しっかりと描けるチャンスを得たということになります。




この特別編のおかげで水季や津野の分かりにくい部分はより明確になり、共感しやすくなりました。

特に津野のことを私めの妻は「いい人なのにね~」と夏と肩を並べるくらい好きになったようです。

(特に池松壮亮の声をベタぼめです)





前置きが長くなりましたが、この特別編は海が4歳くらいの話で、水季と海をサポートし続けてきた津野に対して、水季も好意を抱いている時期を描いていました。




津野はあまり恋愛にガツガツしているタイプではないので、恋愛関係には踏み込めてはいなくて、




水季は津野のためにおにぎりを作ってきたし、津野は水季の好きなグミを買ってきたのに、他の物を食べ始めたり、既に買ってたりしたら引っ込めてしまう…そんな関係性でした。




そんな中、津野は勇気を出して2人きりのデートを提案します。




海を育てるために自分が恋愛をすることを自制してきた水季でしたが、津野には好意を抱いているので、




津野の言う通りに両親に頼って海を預けて、津野とデートをすることに。





デートに向かうバスの中での会話がまず印象的でしたね。

津野の名前は晴明で「はるあき」なんですが生まれたの春でも秋でもなく、1月で冬ってこと。




娘になぜ海と名付けたかについて、夏が好きだから?と聞かれ、海が好きだからと答えた水季には、父親が夏だからと言えない含みがあったこと。




2人の会話には時おり夏の影がちらつくんですね。特に水季には。

その微妙な感じが絶妙な脚本でした。





水季が何でも自分で決めたいタイプと知っていて、デートの行き場所をあらかじめ決めてしまわず、水季に決めさせるあたりも津野の寛容さを感じました。





そうして行ったプラネタリウムでつい寝てしまう水季。津野に気を許しリラックスできている証拠ですね。




見終えて靴紐を直す津野の背中に水季がよりかかるシーンは名シーンでしたね。




子育てから離れて自分の時間が持てたこと、かつての夏との日々のようなときめきが持てたことに感謝の念と、1人で頑張ることに疲れ津野によりかかりたい気持ちが動作であらわされていて、水季らしからぬ姿にドキっとしました。




水季は100均で買ったペディキュアを塗った足を津野に見せ、可愛いと言ってもらえたあとにこう言います。




「爪に色塗ったの大学生ぶりで。子どもいると自分に色が無くなってきます。部屋とか子どものものでどんどんカラフルになっていくのに、通帳とか見ちゃうと人生お先真っ暗みたいな。頭の中真っ白みたいな…」




この色が無くなるって表現にしびれましたね。やはり生方美久ってスゴい脚本家だと思い知らされました。




家に帰ってやりたいことがあると言われ、津野も一緒に水季の部屋へ。




一緒におにぎりを作るシーンはほのぼのとして良かったんですが、勢いで津野が

自分には貯金もあるし、三人で暮らさないかと提案しますが、それは断られてしまいます。




津野と一緒になったら2人きりになりたいとか、海が邪魔だとか、2人の子どもが欲しいとか考えるのが怖いって言われてしまうんです。




こう言われてしまうと津野も引かざるをえませんね。

津野って人として好きだけど恋愛対象かっていうとそこまでではないのかもしれません。




津野と水季の恋はおしまいとなったのでした。皮肉なことにその同じ時期に夏は弥生(有村架純)との恋が始まっていました。




何か良質な短編小説を読んだような特別編でしたね。

本編では見せたことない表情をさまざま見せてくれた古川琴音と池松壮亮に賛辞をおくります。




記事の遅れを取り戻すために2話まとめての記事を続けていますが、今週月曜日に放送されたのは9話ではなく、特別編だったので8話単独の記事にします。





フジテレビ  月曜21時(8/19放送分)

「海のはじまり」第8話


主演…目黒蓮

脚本…生方美久

演出…風間太樹




お約束の冒頭シーン。今回は大学時代の水季(古川琴音)と夏(目黒蓮)。




夏が父親譲りのカメラで水季を撮っています。これまでも度々、夏がフィルムで現像する昔ながらのカメラにこだわっているさまは描かれていましたが、父親からもらった物だったのは初耳でした。

聞き漏らしてましたかね??




今、熱心に夏が海を撮っているのは、レンズを通して、海の中に水季を見ているんだろうなというのがより強く感じられました。




海の「父親」になるという自覚が強まりつつある夏は、3歳の時に両親が離婚して以来会っていない父親の基春(田中哲司)に会ってみたくなり、連絡をとります。




海を連れて喫茶店で待ち合わせると、そこに基春が現れます。

父親らしいことを夏にしてあげてない基春は、罪悪感や後ろめたさがあるのか、およそ感動的な再会とはかけ離れた態度で接してきます。




夏を怒らせたその言動をネットニュースなどではクズな父親最低!とか視聴者からは怒りの声が、とか取り上げられてましたが、





私めはひねくれて、わざと相手を怒らせるようなことを言うタイプの人間を多く見てきたので、この父親もそうなんだろうなと思って見ていました。




大抵、そういう人に限って、根は繊細でとても優しいんですよね。

田中哲司はそういう複雑な性格の基春を、実に自然かつナイーブに演じていましたね。




夏を怒らせたことを悔やんだ基春は、夏が現れるであろう写真館に足を運び、伝言を頼んでいました。




夏と基春は再び、今度は2人きりで釣り堀で会って話をします。




ここからの一連の親子の会話は脚本、演出、演技の三位一体で作り上げた名シーンでしたね。




まずグッと来たのは、基春が幼い時の夏がどんな子だったかを語り、毎日変わるその顔や姿を残しておきたいとカメラを買ったことを話し、





夏が今も大事にしているそのカメラを渡したら、ファインダーをのぞき、大人になった夏を見て基春がついグッと来てしまうくだり。




夏がいとおしそうに海を撮っているように、基春も撮っていたんだろうなというのが容易に思い浮かべられて、冒頭からのフリがここにつながる実に巧みな脚本でした。




そして、カメラを夏に戻すと、ここはダメだと基春を釣る場所を変えるべく歩きだします。



歩く基春と、それを追いかける夏。

そこからの会話がまた良かったですね。

喫茶店に会った時と違い、言葉に毒が減った基春はよく父親になる気になったなと夏に言います。





俺だったら無理だ、責任感があるのは俺の子っぽくないなどと言う基春に、いつしか夏は本音を吐き出し始めるのです。




「面倒くさいことになったって思ったんです」

「おろしたと思ってたから、生きてたってわかってホッとしたけど、でもただ自分の罪悪感から解放されただけで」



背中を向けたまま「面倒くさいよな」と同調してくれる基春。



3年も付き合ってて結婚も考えていたのに、タイミングは最悪だったこと。



知らなかったことを責めてくる人もいたこと。



夏の本音が止まりません。

「隠されてたっていうのも被害者だけどな」

この基春みたいな言葉を夏に言えた人は実はいなかったんですよね。



みんな自分より悲しそうで、ツラそうで、それでいて優しいから何も言えなかった、




自分だって悲しいのに悲しそうにできなかった、




嫌いになって別れたわけじゃない人がそのまま1回も会えずに死んで、子どものことも病気も何も知らないまま死んで…




誰にも言えなかった本音を、長らく会っていなかった父親にだけは言えたという皮肉さ。

関わってない人だからこそ言えることってありますよね。




しんどくなったら連絡してこいと、やっと基春は父親らしいことを言ってくれます。




本音を話してくれたこと、自分がはけ口になれた喜びがあったんでしょうね。




なぜ子どもがいたのに別れたのかというデリケートな質問にも正直に答えてくれました。

子育てを趣味の1つみたいにしていた自分に気づいたから…って、この人らしい理由だなと。





誰もがちゃんとした親になれるわけではないんですよね。





私めは夏が帰った家で優しく迎えてくれる義父(林泰文)や母親(西田尚美)の笑顔がやけにウソくさく見えてしまいました。優しくていい人なんですけどね。





さて、父親になる覚悟ができた夏に比べて気がかりなのは弥生(有村架純)ですね。




海がつけているネックレスを鉄棒をやるなら外したほうが、と言ってあげたのに、夏がやめて!それは水季の遺灰が入ってるから…って言われた時の弥生の心境って…。




夏が海を認知したら渡すようにって言われてた水季からの手紙を朱音(大竹しのぶ)が出してきましたけど、その中に夏の恋人あてのものがあり、それは弥生に渡されました。何が書かれているのか気になりますね。




誰にも言えない本音を弥生も津野(池松壮亮)に吐き出せたらいいのに、と思ってしまいます。




さて、目黒蓮の体調不良が報じられましたが、この8話の演技とかはホントに演じきるのがしんどかったと思います。




田中哲司を相手にしっかり渡りあって、一歩も引かなかった好演に拍手をおくります。




8話の評価は…8