暗殺者の悔恨 上 (ハヤカワ文庫NV)暗殺者の悔恨 上 (ハヤカワ文庫NV)感想
本書には珍しくシックスの一人称パートがある。それは恐らく彼のこの台詞をより強く印象づけるためだろう。以下抜粋「こういうことを何年もやって、学んだことがある。罪の意識がなかったら、人間は変われない。罪悪感は善行の原動力になる。正しいことをやろうとする。あるいは、自分を縛る力になる。自分を正当化するために善悪の観念を捨ててしまう。(中略)罪悪感のために邪悪な領域に閉じ込められるか、それとも善行に駆り立てられるかを左右するのは、自分の心のなかの力だ。心の中の道義のコンパスだ」著者が伝えたい事がここに凝縮している
読了日:09月05日 著者:マーク・グリーニー

 


暗殺者の悔恨 下 (ハヤカワ文庫NV)暗殺者の悔恨 下 (ハヤカワ文庫NV)感想
行きがかりでユーロポールの女性と人身売買組織を追うハメになったシックス。彼の仕事が「拉致して殴って知ってることを吐かせる」と端的に表現されてて笑える。そんな彼が頭脳を使って敵の情報を得る相棒の彼女にすっかり感心するのが微笑ましい。「女のくせに」とか無駄に嫉妬しないのがシックスの良い所。さらにクライマックスではこれまでずっと虐げられるか守られるかの受け身だった女性達が自ら銃を取って戦う宣言をする。細かい点まで作者の神経が行き届いていて嬉しい。物語は映画の「96時間」から「バトルシップ」へと移行する胸熱展開!
読了日:09月05日 著者:マーク・グリーニー

9月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:3095
ナイス数:81

暗殺者の追跡 (上) (ハヤカワ文庫NV)暗殺者の追跡 (上) (ハヤカワ文庫NV)感想
本作は英国が舞台。ロシア人がロンドンの一等地を買い占めた経緯が書かれている。実は裏でクレムリンが糸を引いていて資金が還流してる等、真偽はともかく映画的にはいろいろ納得(『ロックンローラ』等)。生物兵器の阻止では『アンロック/陰謀のコード』が念頭に。前々作でシックスと絆を結んだゾーヤが再登場し、彼女の過去が明らかになる。それが本筋に絡んでくるのだからよくできたストーリーですよ。作者はいつからその構想を抱いていたのかつくづく感心してしまう。北朝鮮のスパイ活動にからんで日本も出てきたけれど、単に通過点でガッカリ
読了日:09月02日 著者:マーク グリーニー


暗殺者の追跡 (下) (ハヤカワ文庫NV)暗殺者の追跡 (下) (ハヤカワ文庫NV)感想
スーザン、常日頃「殺してやりたい」と思っていたのが愚痴ではなくて本気だったとは!「暗殺者」シリーズは登場人物が多いけれど皆きちんと書き分けられていて配置の妙があるけれど、ここでスーザンがそう出るとは思わなかった。意外性という意味では最高かも。彼女の動き一つでオセロのようにコマがほとんどひっくり返って黒になり、次はまた盤が一面の白へ豪快に変わったのを見たような気がした。このスーザン、実はアメリカ男が嫌う「仕事ができて野心的で様々な規則を押しつけてきて、従わない者は糺弾するか陥れる」女の典型的なタイプなのよね
読了日:09月04日 著者:マーク グリーニー

8月の読書メーター
読んだ本の数:16
読んだページ数:6168
ナイス数:78


暗殺者の潜入〔上〕 (ハヤカワ文庫NV)暗殺者の潜入〔上〕 (ハヤカワ文庫NV)感想
「一宿一飯の恩義」という台詞は昔の時代劇でよくきいたものだけど、グレイマンはそれどころじゃない!命の恩人やその家族ならまだしも、コンビニで優しい言葉をかけて貰ったとか戦闘中目が合った程度の関わりでも救うために飛び出していくのだ。最近ではターゲットでさえ哀れを催すと助けしまう。大丈夫なのか。その解答は本書にある。彼の ”倫理のコンパスはつねにさしでがましい邪魔者だと、頭脳がとっくに結論を下していたからだ。「だめだ…」" と思っても倫理の方が常に勝つのがジェントリーなのよ。ほとんどスーパーヒーローだよ、もう。
読了日:08月29日 著者:マーク・グリーニー


暗殺者の潜入〔下〕 (ハヤカワ文庫NV)暗殺者の潜入〔下〕 (ハヤカワ文庫NV)感想
グレイマン史上最も困難な任務、それは赤子を連れての敵地脱出だった!シックスがあまりにも育児について無知なため子守が絶望的な表情になるのがオカシイ。ラストでは彼が珍しく私情に走り復讐を遂げるくだりがある。それは途中で命を失ったシリアの善良な人々のためなのだろう。彼らは例外なく現政権によって肉親を殺されている。途中に出てくるシリアの都市は瓦礫と化し、人々がその中に住んでいる。彼らを殺す事になるのが耐えられなくてシックスは敵に自分達の位置を教える。ほとんど自殺行為である。だがそれが起死回生となるのだから堪らない
読了日:08月31日 著者:マーク・グリーニー

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